FIREブームの火付け役として知られる「お金か人生か」(ヴィッキー・ロビン、ジョー・ドミンゲス著)を読みました。正直、FIREに興味のない人も、これからの人生を幸せに生きたいなら、必読の1冊だと確信しました。
本記事では本書の根底に流れる主張、なぜこれほどまでに本書が共感を呼び、受け入れられるのか?また、私達日本人はFIREをどう捉えるのがいいのか、について僕が本書で感じたこと、僕の意見も交えてお伝えします。そこには、現代の私達が抱える社会の「病」が隠されていました。
理解の鍵は「時間を失うことによるコミュニティの危機」です。
まずは本書の主張を紐解いていきましょう。
本書の著者、ヴィッキー・ロビン氏とジョー・ドミンゲス氏はFIREブームの最初の火付け役と言われています。まさにFIREの原典とも言える存在ですね。出版は1992年ですが、著者の1人ドミンゲス氏は1969年に既にセミリタイアを果たしています(1997年がんで死去)。ロビン氏も持続可能なライフスタイルの実践者、第一人者として知られているそう。持続可能性とFIREって、相性抜群ですよね。
本書が生まれる前の20年間、ロビン氏がドミンゲス氏のアイデアを元にFIREの伝道師としてセミナー、執筆、講演活動を精力的にこなしていました。そのため1992年時点で米国にはFIRE実践者がかなりいたようですね。そういう背景もあって、本書もたちまちベストセラーになったんだろうと思われます。
さてそんな本書の中身はどうなっているのか、気になりますよね。僕もどんな内容なんだろうとワクワクしながら読み進めましたが、当初のイメージとはだいぶ違う内容で、いい意味で期待を裏切られました。なんと、FIREのための投資手法等の解説は、本書の最後、8章と9章だけの2割ほどしかありません。
前半8割の7章までは「より良く生きる方法やマインド」について詳しく書かれているんですよね。この部分が他のFIRE本との決定的な違いになっています。タイトルの「お金か人生か」はまさに「名は体を表す」で、この前半8割の部分で、「あなたはお金を選択しますか?それとも人生を選択しますか?」と問い、そして解決策を提示していくわけです。
もちろん、お金を捨てろみたいな怪しい話ではなく、お金と人生のよりよい調和を目指すことを説いています。本書では最も調和のとれた点を「十分(じゅうぶん)」と表現。十分の点よりも少なくても不満、多くてもただのゴミになる。このあたりのロジックが明快で、さすが持続可能の第一人者のアイデアだと唸らされます。
人生を最大限輝かせ楽しむために、お金と人生の最高の調和を目指す。「自分にとって」の「十分」を知り、それ以上は「ゴミ」だと知る。本書の主張は、まさにこの点に集約されていると思います。
本書の出版後、たちまち大ベストセラーになり、多くの人の共感を得、一大ムーブメントになっています。一体なにがそうさせているのでしょうか。
米国市場が好調だったからその波に乗っただけ?いえ、決してそうとは言えません。FIREの活動は1992年より随分以前から始まっており、その間インターネットバブル崩壊やリーマンショックなど、いくつかの暴落相場も含まれていますからね。
実は、FIREを一部の特殊な活動として一蹴するわけにはいかない深い理由があるんです。キーワードは「家族・コミュニティの危機」です。
僕の拙い知識の範囲内で恐縮ですが、この本質的な問題を理解するために、いくつかの例を挙げてみましょう。
人類史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は著書「サピエンス全史」で、人類の文明が、幸福を達成したとは断言できないと指摘しています。さらに物質的な富は確かに初期の幸福をもたらすが、一定の水準までに留まること、また家族やコミュニティは強大化する国家や市場によりその絆を弱められ、幸福度は低下しているとも指摘しています。
次に、人生100年時代で著名なリンダ・グラットン氏、アンドリュー・スコット氏は著書「LIFE SHIFT」で、健康、家族、友人関係という無形資産の重要性を指摘しています。彼らをこれらを「活力資産」と呼び、自己再生をもたらす上で大きな役割を果たすと指摘しています。「LIFE SHIFT2」でも結婚観が変わるかもしれないが、絆の大切さは揺るがず、むしろ激動の時代を乗り切るために、相互依存を強めるべきだと主張しています。
さらに独立研究者の山口周氏は著書「ビジネスの未来」の中で「精神的孤立あるいは精神的飢餓が大きな課題」であると指摘し、生産者と消費者とが互いに「顔の見える関係」にすることが重要だと指摘しています。現代において生産効率を高めるために極度に合理化されたバリューチェーンが、皮肉にも「(広いコミュニティにおける)助け合う精神」という経済の根本部分の危機を招いている、というわけです。
歴史、ライフ、ビジネスという異なる分野の専門家のいずれもが、家族・コミュニティ(広い意味での人間同士の精神的つながり)の危機的状況や強化を訴えています。これは一体どういうことでしょうか。
これら著者は本を記した年も専門も思想も住む場所もバラバラです。にも関わらず、同様の主張が現るのは非常に興味深い共通点です。家族やコミュニティの弱体化とそれに伴う幸福度の低下は、近代共通の危機意識として世界中にあるのではないでしょうか。だからこそ、絆を復活させる取り組みであるFIやFIREが、米国のみならず、日本でも共感を生み、こうして実践者を増やしているのだと考えます。
FIやFIREを実践し、家族やコミュニティと関わる時間を増やせば、失った絆を少しずつ回復し、徐々に強くすることもできるでしょう。
FIREは単に不労所得で楽してウェイウェイして生きようぜ、などという薄っぺらい話ではないのです。なんなら人類の幸せの根幹を揺るがすほどのインパクトを持ち得る取り組み、とすら言えるかもしれません。
あなたには、失った絆がありませんか?今からでも遅くはありません。FIRE実践を通じて大切な人との絆を修復し、取り戻していきましょう。
ではどうすればいいのか?具体的には本書を紐解いて頂くとして、僕はFPですから、お金の専門家として、必ず意識しておいて欲しい事を最後にお伝えしようと思います。
本書の中で「FIREは一部の人にとって長期休暇の連続のようなもの」という表現が出てきます。LIFE SHIFTにも「マルチステージ」という概念が出てきますが、これは人生100年において従来の3ステージモデル(教育→就職→老後)が破綻し、4つも5つもステージが現れる事を予言しています。
ただ、あるステージから別のステージに移るには当然、準備が必要です。特に全く新しい仕事に移るにはスキルアップや人脈形成など相応の努力と時間が必要です。そのため、LIFE SHIFTでも余暇時間で自分を磨き高める「リ・クリエーション(再創造)」を提唱しています。
欧米には「サバティカル」といって、在職中に1年2年程度の長期休暇を取れる制度があります。日本でもヤフーや全日空など一部の企業で導入されているようですが、まだまだ少数派。むしろ未だに違法残業を含むブラック企業が横行しているのが現状でしょう。
そこでFIREの手法を用いて「自分サバティカル」を用意する方が、日本の労働環境に適しているかもしれません。FIRE後、一生働かないという「意味不明の厳しい制約」を課す必要なんて全くなく、働きたくなったらまた働いたらいいわけです。必要に応じてFIRE中に自分を磨き、次の「新しい仕事」への準備をすればいい。
FIREを「早期退職→一生働かない」という特定パターンに矮小化するのではなく、人生100年を上手に、幸せに生きる手段と柔軟に捉えて欲しいと思います。
そう考えれば、FIREって一部の特殊な人の話ではなく、人生100年時代の、誰でも検討する価値があるスキルや生き方だと思えてきませんか?
自らを幸せにするためのFIRE、ライフプランを描いていきましょう!
以上「お金か人生か」について、読後の感想をお伝えしました。話がいろいろな所に飛んでしまいましたが、それだけ示唆に富む、濃い内容であったことは間違いありません。
もう一度、ポイントを振り返っておきましょう。
誰もが幸せになりたいはず。ならば広い意味でのFIREは、全員目指すべきでしょう。
あなたもぜひ、本書で幸せな人生を歩むヒントを掴んでください。
「お金か人生か」(ヴィッキー・ロビン、ジョー・ドミンゲス著)
それではまた!
The post FIREブームの原典「お金か人生か」が暴く「現代の病」とは first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>先日、金融庁が「外貨建て保険を比較可能にする共通KPI」を発表し、いくつかの分析結果も提示しています。投資信託については既に共通KPIが始まっていますが、それの外貨建て保険版といえるものです。非常に興味深いですよね。
以下、金融庁が発表した新たな「外貨建て保険の販売会社における比較可能な共通KPI(金融庁)」(長い!w)の資料を元に、FP視点で噛み砕いて説明していきたいと思います。細かい定義とかは元資料を参照してくださいね。
今回新たに導入された共通KPIは以下の2つ。
それぞれ見ていきましょう。
「運用評価別顧客比率」は、基準日に外貨建保険を保有している各顧客について、購入時以降のリターンを算出し、全顧客を100%とした場合のリターン別の顧客分布を示したもの。
と説明されています。なんだかよく分からないと思いますが、ざっくり言えば「どれぐらいのリターンを顧客に提供してるの?」を説明するためのKPIです。例えばこちらのような感じです。
このグラフを見ると、0%以上+10%未満のプラスリターンが得られている顧客は全体の38%、同+10%以上+30%未満は18%、などということが分かります。プラスになっている顧客は全体の60%ですね。
なーんだ、儲かってるじゃん、と思われるかもしれませんが、-30%から-10%とそこそこ損をしている人も1割ぐらいおられます。外貨建て保険の運用は外貨建の債権(海外債権)ですので、債権自体の利回りは株式等に比べて安定しています。にも関わらず、損失が出る可能性があるということです。為替リスクを受けたり、あるいは保険会社や代理店の手数料コストに勝てなくて損失に落ち込んでいる可能性ですね。
今回は保険会社全体の分析ですが、これと例えば各保険会社別に作成することで「保険会社同士の比較」が可能になります。各保険会社が顧客にどれぐらいリターンを提供しているか、という視点が得られるわけですね。例えば先行して分析されている「投資信託版の共通KPI」では、金融機関別の分析結果が提示されていて、各社の特徴が分かって非常に興味深いです。
例えばこちら。
少し前の資料ですが、運用業者、ネット証券会社に絞った比較分析。投資運用業者が運用利益となっている割合が高い(上位を占めている)のが分かります。もちろんこれをもってネット証券がダメだ、と短絡するのはNGですが、一部であれ全体の傾向が掴めるのはありがたいことです。
つまり、外貨建て保険を販売している業者間でもどうような比較が可能になるということです。このあたりは、今後のさらなる分析が期待されます。
ちなみに冒頭の資料には投資信託での同様の共通KPIの結果も掲載されていましたが、運用先が全く異なるので、正直比較してもあまり意味がありません。比較するなら、少なくとも投資先の金融商品をあわせないと、何を比較しているか分からなくなってしまうからです。
「銘柄別コスト・リターン」とは外貨建て保険の各銘柄について、平均コスト、平均リターンをプロットしたもの。
と説明されています。こちらはコストとリターンの分析ですので、1よりは比較的分かりやすいかなと思います。
例えばこちらが示されていました。
横軸に外貨建て保険の商品コスト、縦軸にリターンを取っています。資料にはコスト・リターン間に明瞭な関係は見られない、と記述されていました。
直感的にはコストが低い方がリターンが高まりそうに思うのですが、要因として考えられるのは
という可能性があります。ただ、じゃぁ長期保有すればいいの?と考えるのはこれも短絡的。そもそもコスト・リターン分析である以上、その他の運用商品、つまり保険ではなく、証券会社等から購入できる「同等の商品」とも比較せねば結論は出せません。
これは、さらにハードルが高い仕事になります。というのも、外貨建て保険の場合、保険機能が付加されているため、そこのコストや商品性が生じます。それを単純に投資先が同じ商品と比較するのはちょっと違うとも言えます。
ただ、それでも比較していくことで顧客メリットになります。外貨建て保険の方が(保障の分)コストがかかるはずですが、それが「見える化」されれば、本当にそのコストが妥当かどうか、判断する手がかりが掴めるからです。
今回の共通KPI導入に関しては、業界からの反発も多いかもしれません。理由として「業務負荷が上がる」というのがいつも使われる定番ですが、それは建前でしょう。内実は、こんな共通KPIで比較されたら商品が売りにくくなるから、ではないでしょうか。
でもそれは本来違うはずです。本来、顧客にとって良い商品であればあるほど、比較されたらその優位性が浮き彫りになりますので、逆に売れやすくなります。が、実態は売りにくくなると感じている関係者が多いということかもしれません。
ということは結局、顧客の利益を考えずに自分たち(保険会社や代理店)の利益を優先的に考えていたということになりはしませんか。そういうところに、今回金融庁はメスを入れてきたと考えればスッキリ納得できますね。
今後、このような動きが加速するのは確実です。なぜなら金融庁の活動は「顧客本位の業務運営に関する原則」に則ってるからです。この原則を今更放棄するはずもなく、今後さらに「顧客本位化」を加速させるのは確実と言えます。今回の共通KPI化は、その中の1歩に過ぎないです。
関係者は戦々恐々としてたり、固唾を飲んで見守ったりしているかもしれませんが、今こそ動き始めればいいと思います。お金を出すのは顧客ですから、結局は顧客本位の金融機関や考えの人しか、生き残れませんので。古びた価値観に恋々とするのはもうやめた方がいいのではないでしょうか。
金融庁が新たに発表した、外貨建保険の販売会社における比較可能な共通KPIについて解説してきました。共通KPIは大きく2つ。
まだ始まったばかりのKPIですが、比較してやすくなることで、顧客本位を実現しようとする金融庁の方針は変わりません。僕たちFPも、このようなKPIを用いて、できるだけ分かりやすく説明していく工夫が必要になっていくでしょう。
保険にしろ投資にしろ、良い商品が、本当に必要な人に届くことを願っています。
The post 外貨建て保険に逆風?金融庁が新たな共通KPIを導入。その中身とは!? first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>冬ですね。寒いですね。はい。先日、めっちゃ驚いたことがありまして。全く身に覚えのないアカウントが作成されちゃったようなんです(笑)
もうこれね、ホラー以外の何物でもないです…。すいません、ホラーは夏限定ですよね。でも起こっちゃったものは仕方ありません。
参考になることもあると思うので、情報をシェアしておきます!それと今回、いい意味で危機対応の練習ができたので、その観点でもお話してみます。
いつものようにご機嫌でPCに向かって仕事をしてたら、ふとある「不審」なメールを見つけまして。なんとそこには
「お客様のアカウントが作成されました」
とデカデカと書かれているではないですか!
え!?ど、ど、ど、どういうこと!?(マジでお茶吹きかけるww)
全っっっ然、身に覚えがないんですけど!?笑
っていうかこの時間、朝ごはん食べてましたけど!笑笑
その後、◯◯を設定しました!っていう呑気なメールも届いて、いやいやいやいやいや。作成もしてないし、設定なんてもっとしてないし!怖すぎる、怖すぎる!笑笑
で、ですね。ちょっと冷静になって考えまして。
もちろん最初は、詐欺かスパムを疑ったんです。でも詐欺やスパムにしては、サイトへの誘導が曖昧すぎるし、リンクを確認しても、ちゃんと公式サイトのドメインになってます。
…ということは!考えられる可能性がいくつかあって、僕が考えたのは
この2つです。
1はどうしようもないのでまぁいいとして(良くはないか…)、問題は2。
個人情報が流出したのなら、どの範囲に、どれだけ流出しているのかを知っておかないと流石に怖い。場合によっては、こちらの対策が必要です。
ということで、早速電話して状況を聞いてみました(もちろん公式サイトから電話番号を調べました)。
該当業者のコールセンターに問い合わせた所、以下が判明しました。
スパム行為や嫌がらせ行為、間違いなどを防ぐために、一般にメールは2段階認証します。
2段階認証では、
のステップが一般的ですね。
なぜこんな面倒なことをするかというと、今回のような「間違い」や「迷惑行為」を防いでくれるから。他人のメアドで登録しようとしてもそのメールは読めませんよね?なので、メールを読めない他人が2段階認証を突破することはできません。つまり、なりすましのアカウントを作成できないわけです。
カンタンな仕組みで予防効果が大きいことからほとんどの業者やサイトで導入されてます。
が、まさかの「最大手級」の業者さんが導入してなかったとは…マジか…w
早急に改善して頂けることを切に願ってます。
っていうか未だにアカウント削除できなくてメールが届き続けるのなんとかして欲しいです(泣)新手のスパムですやん(笑)
で、今回はいい経験をさせてもらったので、ここから少しでも有益な情報に、強引に引っ張り上げてみたいと思います。笑
上記の通り、今回は事なきを得ましたが、いつなんどき、これ以上の危機に「不意に」遭遇するかは分かりません。ですので、普段からセキュリティ危機の対応意識を高めておきくのは大事なことかと。
セキュリティ危機対応のステップはこんな感じになります。
ひとつずつ見ていきますね。
メールの真偽は、主にメール内にあるリンクのドメインを調べれば分かります。今回のメール内のリンクは公式サイトのドメインでしたので、少なくとも無視はできないと判断できました。
なお、メールのリンクを調べるには
「本文で表示されているリンクの文字列を信用してはいけません」
これ、めちゃくちゃ大事です。
どうやって調べるかというと、メールアプリによってまちまちなんですが、だいたいマウスをリンクに乗せる(クリックしない)だけで、リンクのURL、または関連情報がポップアップで表示されるはずです。スマホアプリなら長押しして、メニューを開けばリンクのURLが表示されることが多いと思われます。この時点では決してリンク先を開かないようにしてください!
そこに公式サイトのドメインが含まれていなければ、基本、詐欺(フィッシング)メールだと思って間違いありません。
例えばこちらのようなメール。
警告がなければ、一見メルカリ公式からのメールのように感じますが、青枠の部分に注目してください。メルカリと書いてあるものの、送信者アドレスのドメインは「gingou.net」というメルカリとは全く関係ないドメインですので、まず送信者が疑わしい。
ただし送信者アドレスは詐称できるので、ここが正常に見えても安心はできないです。よくあるのは送信アドレスも受信者のアドレス(あなたのアドレス)になっているものです。自分で自分に送っている形ですね。こうなると、迷惑メールフィルタもすり抜けてくる可能性が高まるので注意が必要です。
幸い、逆に見抜きやすくなるのでこういうのは瞬殺でゴミ箱行き。だって、自分自身にメール送ることなんてないですやん。ただ、ブログからの問い合わせなどはその形式になっている場合もあるので、個別に状況を確認してくださいね。
さてこのメールで一番危険なのは、クリックを促している下の青枠部分。メール内の文字列にはちゃんとメルカリのドメインが含まれてますので一見、正しいリンクのように見えますよね。
ですが実はこれも引っ掛け。
マウスを乗せると、文字列に隠された実際に設定された、裏の情報が読み取れます。
はい。本文とは関係ない、意味不明の文字列が出てきてますね。
ですので、メール内のメルカリドメインは表示だけで、実際にはフィッシングサイトに繋がる可能性が極めて高いと推測できます(怖くてやってませんがw)。
この作業を守れば、メールの真偽はほぼ確定でき、恐らく99%以上は単なる詐欺メールだと判断できてそのままゴミ箱いき、なはずです。
ただ…今回の僕のように、これを通過してしまうことも稀にあると思います。その場合は次に進みます。
ここから先は、要は状況確認の作業なんですが、公式サイトから送られている可能性が高いなら、公式サイトに直接問い合わせるべきです。
ただし決して、メール内に表示されたサイトを訪問したりメール内の電話番号に掛けないようにしましょう。
自分で別途公式サイトを検索して、公式サイトの連絡フォームや電話番号に問い合わせます。今回僕は、公式サイトから電話番号を調べ、そこからオペレーターにつないで状況確認しました。
不測の事態ですから、基本、頭が混乱しがちです。場合によっては頭に血が登っていることもあるかもしれません。だからこそ、意識的に冷静に対処するのが大事です。
今回僕も、問い合わせ中にちょっとムッとすることもありましたが、そもそもセキュリティ対策が緩いというだけで相手に直接非があるわけではないです。第三者が間違ったのがそもそもいけないわけですので…
ですので、公式サイトの担当者を「敵」とみなすのではなく、冷静に、協力関係だと思って対処していくのが大事ですね。
もちろん言うべきことや聞くべきことは遠慮してはいけませんが、こちらが混乱してたり、勘違いしている可能性もゼロではないので、一つ一つ、確実に状況把握していきましょう。
いや、それにしてもメールの所有者には、アカウントの削除ぐらい、させて欲しいなぁ…。メール内に削除についてお問い合わせって書いてあるのにぃ(泣)
ということで、セキュリティ危機(メール編)の事例と対応として
についてお話しました!
こんなことは滅多に無いかと思いますが、危機対応能力を高めるための予備訓練(?)みたいなものができたと思って、前向きに捉えています。これをお読みのあなたも、危機意識を高めておいてもらえると嬉しいです!
それではまた。
The post 【セキュリティ対策】恐怖!アカウントが勝手に作成された!?対処法と心構えについてシェアします first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>年末年始の空いた時間で「LIFE SHIFT 2」を読んだんですが、この元の「LIFE SHIFT」も忘れかけてたので、対比させながら理解を深めました。せっかくですので、ブログでまとめてシェアしたいと思います。
人生100年にもなければ、人生の課題も、ライフスタイルも、キャリアも、様々な選択肢が考えられます。LIFE SHIFTはさすが名著なだけあって、この複雑で見通しにくい問題に鋭く切り込んでくれます。LIFE SHIFTとLIFE SHIFT 2の違いを紐解きながら、問題の本質を探って行きましょう。
本記事のポイントは
です。では始めましょう!
LIFE SHIFTやLIFE SHIFT 2の根底にある共通課題は「超長寿化」です。これは何も、近年いきなり始まったことではありません。
例えば1981年刊行の書籍を紐解くと
これは現在の定年が55歳から57歳が圧倒的に多いのに対し、年金の中心である厚生年金の支給は60歳だからである。
中流の上の生活法(青木茂)
との記述が見られます。40年ほど前の当時、定年は55歳から始まり、60歳の年金支給開始まで最長5年の空白期間があったことが分かりますね。これ、現在では60歳定年の65歳支給開始が標準です。つまり5年、そのまま後ろにずれてるわけですね。興味深いです。
1980年代は60歳定年が「努力義務」で、60歳定年になったのは1998年のことです。さらに改正高年齢者雇用安定法により、2025年4月から65歳定年に引き上げられる予定です。なんなら今は70歳まで働きましょう、という雰囲気もありますよね。
このように定年年齢一つとっても、長い時間をかけて着々と長寿化に対応してきている歴史があります。
40年以上前から認識されている長寿化なのに、なぜ今になってLIFE SHIFTが注目されたかというと「3ステージモデルが破綻」するレベルで超長寿化しているからです。
3ステージモデルとは「教育」→「就職」→「老後」の3ステージで人生を考えるモデルで、長らくこれが主流でした。例えば上記「中流の上の生活法」の中にもライフプランの概念が出ていますが、典型的な3ステージモデルを前提に構成されています。
当時も長寿化は着々と進行してましたが、まさかこの3ステージモデルが破綻するとはつゆほども思ってなかったでしょう。当時は一億総中流時代と言われ、よりよいマイカーやマイホームに皆が憧れ、より上質なモノの所有を目指した時代でした。
しかし今、終身雇用の崩壊が叫ばれている通り、この3ステージモデルが崩壊の危機(もしくは既に崩壊状態)に直面しています。定年が55歳→60歳ならまだ3ステージで行けても、65歳、70歳になってくると、もう限界なわけですね。
そこに一定の解決法というか「考え方の枠組み」を提示したのがLIFE SHIFTだったわけです。そりゃぁ、みんな飛びつきますよね。
LIFE SHIFTでは、人生を100年スパンで捉え、生き方の戦略や行動指針について幅広く論じています。超長寿化の時代背景に支えられ「人生100年」という分かりやすいフレーズも相まって、大きな注目を集めたと言えそうです。
さてこのように注目を集めているLIFE SHIFTですが、2021年後半にLIFE SHIFT2が出版されました。FPとしてこれは無視できない(笑)と思い僕も手に取って読みました。LIFE SHIFTとLIFE SHIFT 2(以下2)の違いについて結論から言えば
と言えそうです。
LIFE SHIFTは概念や考え方の枠組みが中心で、2はその中の特定の概念をピックアップして事例を交えながらさらに深堀りしていく構成になっていますね。
LIFE SHIFTと2は同じぐらいのボリュームなので、LIFE SHIFTの方が多くの概念や説明が含まれています。例えばLIFE SHIFTの第7章では「新しいお金の考え方」としてライフプランの概念が30ページ割いて説明されています。が、2の方にはそれに明確に対応する章がありません。
もちろん人生設計とお金の話は切っても切れませんから、2の中でもお金の話は随所に現れます。ただ、2ではお金の設計に関してはある程度「既に知っているもの」として話を進めている印象があります。
2の主題は「社会変革」です。人生100年時代で人生の選択肢が爆発的に増える中、仕事はAIに置き換わっていくというなかば「カオス」な状態なのが現状です。その理屈は分かっていても、社会制度が全く追いついていないというのが著者の問題意識。
そのため、2の冒頭でも読者に社会変革を促す「社会開拓者になろう」という強いメッセージを出しています。
これがLIFE SHIFTと2の主題の違いでしょう。そのため2では、より具体的な行動を促すような構成になっていると理解できます。
両者の違いが端的に分かる部分として、タイトルと表紙に着目してみましょう。
デザインがほぼ同じなので気づきにくいですが、LIFE SHIFTは100年時代の「人生」戦略になっているのに対し、2は100年時代の「行動」戦略となっていて、人生→行動に変化しています。これを見るだけでも、2がより具体的な行動戦略や行動指針にフォーカスしているんだな、ということが分かります。
余談ですが、共著者はいずれも同じで、第一著者(左側)が入れ替わっています。通常、第一著者がメインで執筆しますから、著者の視点も大きく変化している、と考えて良さそうです。実際、読んでて違う人の本かな?と僕も感じることがしばしばありました。
全く余談でしたね。はいすいません(笑)
LIFE SHIFTと2の違いが理解できたところで、我々FPは何をどうしていけばいいんでしょうか。一緒に考えてみましょう。
まず両書で指摘されているのが「AI化」です。AI化によって単純な仕事や数字を扱う仕事が機械化されていくに従い、特に金融業の従業員は苦境に立たされる、という見方があります。これはこれで一理あると思います。
ここからは僕の持論、意見になりますが、今後FPは「金融(セールス)業から離れていくべき」だと考えます。金融サービスそのものがAI化していくならば、そこで働くのはかなりの苦痛ですし、価値も与えにくくなっていくでしょう。
そんな「苦行」をする必要は全くありません。その代わり、顧客の「伴走者」となるべきです。これからの超長寿時代では、人生の選択肢が多様化していきます。ということは今後、人生を生き抜く戦略立案が難しくなることを意味しています。
また人生が多様化することで、一人ひとりの戦略も違います。誰かのマネをすれば生き抜けた昭和的な時代は終わり、自分の人生を、個別に真剣に考えなければ生き残ることすらままならない時代だと言えます。
そんな時代に「全て1人で考えなさい」というのは、あまりに負担が大きすぎます。ただでさえ仕事や生活のストレスや労力が多い中、お金や人生戦略を1人で考え抜くのは決して容易ではありません。だからこそ、FPがライフプランを通じて、顧客それぞれの人生に伴走し、必要なタイミングで随時、支援し・応援していく。
そのような存在になることができれば、FPがAIに負けることは、少なくともしばらくはなさそうです。
FPは人生戦略を立案するための、非常に重要な役割を担っていると僕は考えます。今、あなたは保険販売がメインかもしれませんが、そのような金融セールス業はいずれAIに淘汰されていくことになるでしょう。
消えゆく産業に固執するのではなく、新しい働き方、新しい役割を目指していくべきです。それがLIFE SHIFT 2で指摘されている「社会変革」の一つになると個人的に思います。
社会変革と聞くと人並み外れたリーダーシップが必要になるのではないか?などと尻込みするかもしれませんが、決してそういうことではありません。変革というのは「小さな意識の変化」から生まれます。
独立研究者の山口周氏は著書「ビジネスの未来」の中で『(変革のためには)「私達自身の思考・行動様式をどのように変えるか」という問いが大事』と述べています。僕たちは無意識の中で今までの常識や思考様式に囚われ、「そんな事はできない」と条件反射的に考えがちです。
しかし、そこを意識的に変えることによって変革が始まるということですね。FPからまず意識を変える。それがリーダーになる、ということです。
つまるところ、変革とは人々の意識の変化だ、といえます。僕もできるだけ多くの人の意識を、当然ながら可能な限り良い方向へ変えるために、これからも情報を発信し続けます。
LIFE SHIFTとLIFE SHIFT 2を紐解きながら、今後のFPの方向性について考えてみました。LIFE SHIFTと2はそれぞれ
という違いがありますので、目的に応じて読み分けるのがお勧めです。両方読むのがベストですが、時間と労力が足りない方はLIFE SHIFTだけでも、全体像は理解できます。
社会変革と聞いて、なにも尻込みする必要はありません。ほんの少し、意識を変えるだけでいいのですから。この2冊があなたの意識を変えるキッカケになればと思います。
それではまた。
LIFE SHIFT/2についてはこちらの記事もご参考に。
The post LIFE SHIFT2 から学ぶ、先の見えない時代のFPの役割とは first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>先日、いつものようにTwitterしてたら「年末年始に本を読みたいけど、沢山あって迷う!」というツイートを見かけまして。
もしかしたら同じような悩みを抱えてらっしゃるかもと思い、僕の独断と偏見にはなりますが、年末年始にお勧めの本をチョット解説してみますのでよかったら参考にされてください!
ちなみに今年発売された新刊ではありませんのでご了承ください。新刊のおすすめ本は、書店やネットにいくらでもあると思いますので、そちらをご参考に。
10冊ぐらいにすれば選ぶのが楽だったんですが(汗)いうてそんなに読めないと思います。なので、めちゃくちゃ悩んで選んでなんとか3冊に絞り込みました!
以下、3位からのランキング形式でご紹介しますね。
いやもう既に2冊やん!っていうツッコミはなしでお願いします(笑)これはセットで考えましょう。
実はLIFE SHIFT 2は僕もまだ読んでないんですが、LIFE SHIFTは読んでて良書だと分かってますので、まだお読みでない方はぜひ。LIFE SHIFT 2は1の続編、という位置づけです。
というのがLIFE SHIFT全体のテーマ。2は続編ですので、どちらか一方だけと言われたら、もちろん1を読んでおきましょう。
LIFE SHIFTが有名ですが、著者のリンダ・グラットンはこの本に先立ちWORK SHIFT(ワークシフト)を執筆していて、ライフシフトは集大成みたいな位置づけだと個人的には理解してます。なので、ライフシフト内でも職業選択の話に割と文量が割かれているわけですね。
ライフプランとの関連も深く、FP活動するなら、必須級の1冊(2冊)。お勧めです。
こちらも2冊構成ですが…(汗)セットで考えましょう(笑)あ、Kindleなら、合本版もあるそうです!
ジャンルとしては「歴史書(人類史)」になります(のはず?)。
ただ…こんなに面白い歴史書は僕、生まれて初めてです。中学卒業後に歴史の教科書を「燃やして捨てる」ぐらいめっちゃ歴史嫌いだった僕が、最後まで読める本ですから、超オススメしておきます。
「認知革命」を起点とする人間の思考様式を鋭く分析し、有史以前を含む人類の文明、技術の発展をなんと「たった一つのアイデアを元に一貫性を持って」説明してしまうという恐ろしさ。一体どんなアイデアなのか!?それはぜひ本書を読んでお確かめ下さい。
前半で著者のハラリ氏のそのアイデアが示されるのですが、人類史を紐解いていく中で、次々とその「アイデア」が立証されていく…。まるで伏線を回収していく推理小説のように。
著者ハラリ氏の底知れない「知力」と「創造力」にただただ脱帽です。
サピエンス全史 上下合本、Kindle版(ユヴァル・ノア・ハラリ)
独学大全、堂々1位です!(祝)はい、すいません。1人で盛り上がっちゃいました。笑。でもそれぐらい、最推しです。
これは1冊ですが、巷では「鈍器本」と言われるぐらい分厚い本でして、全752ページ、普通のビジネス書の3冊分ぐらいあります。
「分厚い本ばっかりかよ!」って怒られそうですが、ちゃんと理由があるんです。
年末年始、時間のあるときにこそ、こういう読みにくい本にしっかり取り組んで欲しいんですね。読みやすい本ももちろんいいんですが、知識を「消費」するのではなく知識を「積上げて」欲しいんです。
知識の消費は、そのときにしか役に立ちません。一方、しっかり積上げた知識は一生役に立ちます。実際、僕が知識の積上げ方とその大切さを教えてもらったのが、この「独学大全」。一見回り道に見えますが、結局それが一番「コスパのいい読書(学び)」なんですよね。
そして、独学大全は単なる知識ではなくて「知識を学ぶための知識(技法)」を教えてくれますから、その価値はめちゃくちゃ高い。
独学大全については、こちらの記事にも詳しくお話してますので、よかったら、参考にしてください。
この3つのうち、どれを読むべきかと問われたら、迷わず「独学大全」と僕は言うでしょう。独学大全で学び方を知ってから他の本を読めば、知識の吸収率やその後の応用力が「レベチ」になりますから。
以上、3冊(3セット)ご紹介しました。最後にリンクだけまとめておきますね。全てAmazonへのリンクです。
いずれも知識の積上げに役立つ、一生モノの骨太な本。軽くてすぐ読める本もいいですが、せっかくの年末年始、こうした骨太な本もぜひお読み下さいね。
もちろん僕の独断と偏見に過ぎませんので、他にも読みたい本があれば、自由に読んで頂いたらいいと思います!
では良いお年を!
それではまた。
The post 知識を積み上げる!年末年始に読み込みたい、お勧め厳選3冊! first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>先日、とある方のツイートで教えて頂いたのですが、令和4年の税制改正大綱で金融所得に関する課税方式の見直しが検討されているようです(→令和4年度 税制改正大綱(自民党))
僕は税金の仕組みが(複雑すぎて)苦手なんですが、個人投資家にも大きな影響がありそうなので、再解説してみたいと思います。
基本的にこの記事は後追いで、元ツイや元記事を僕なりにさらに分かりやすくし、意見を追加しただけです。教えていただいた方々には感謝いたします!
ちなみに教えていただいたツイートはこちらです。
エルさんもおけいどんさんも、いつも有益なツイートや記事を発信されています。よかったらフォローされると今後も有益な情報が届くと思います!
お恥ずかしいことに実は僕、知らなかったんですが、
の課税方式って「別々に選択できる」んですね。当たり前のように統一されてるもんやと思ってました(苦笑)。これに関する参考記事を引用しておきます。
実はこれ、法制化されるまでは自治体によって対応がバラバラだったらしく、知らない税理士さんもいたとか…。専門家も知らない情報をすくい上げるなんて、まさにネットの集合知、恐るべしです。
で、所得税と住民税を別々にできるとなにが嬉しいかと言うと
と2重で節税できて美味しいからです。FPであればこの意味は分かると思います。が、税理士さんが知らないとなれば、当然FPも知らない方が多いと思われます。僕自身の理解を深めるためにも、少し図で説明してみますね。
上記の戦略は表の赤枠部分に相当します。注目すべきは、所得税はCの申告コース、住民税はBの申告不要コースという、別々のコースを選択している点。こうすることで、節税面で最適な組み合わせができる、というわけですね。すごくよく考えられた方法だと感心します。
もちろん正確な計算をしないと最終的な損得は分からないので、実際にやる場合はご自身で計算するか税理士に相談して欲しいのですが、こういう手段があるというだけでとても有利ですよね。
で、投資家さんが今回騒いでいるのは、冒頭の令和4年度 税制改正大綱の91ページ目にあるこちらの記述。
①と②がありますが、インパクトが大きいのが①。
所得税と住民税の課税方式を一致させるということは、上記別々にできたことができなくなるって話。つまり上記の節税二重取りの道が防がれる、ということですね。上記表で言えば、A+Bか、C+Dの組み合わせしかできなくなります。
②は①と併せて、住民税でも損益通算や繰越控除ができるようにする、という意味ですね。これは課税方式が一致してれば従来でもできた気がしますがどうなんでしょう。税に詳しい人、ぜひ教えて下さい(笑)
ここから先は、単なる僕の意見ですので、読み飛ばしてもらっても構いません。
今回の税制改正大綱をみて増税だと騒いでいる向きもあるようですが、むしろいい方向だと僕は思います。なぜなら、課税の公平性を担保するのに所得の捕捉は「基本中の基本」であり、それが一歩進むからです。
所得税と住民税で課税方式が異なるということは、所得税では所得を認識させて、住民税(地方税)では認識させない、ということ。そういうややこしことをやめて統一していきましょう、ということです。
恐らく、金融所得の源泉徴収だろうと所得を捕捉した上で、累進課税が理想なんでしょうね。累進課税なら、高収入者の税率は上がりますから。逆に所得が少ないなら、税負担は軽くなります。これが累進課税のいいところです。
どんな所得であれ、所得は所得です。担税力のある国民であれば、それに見合う税負担は当然必要なことです。年収500万円のサラリーマンと配当収入500万円の人の税・社保負担に大きな違いがあるのは、大多数の国民としては納得しにくいでしょう。
ですので、どのような所得であれ、累進課税(総合課税)にしていくのが恐らくは理想。ただし今はそうなっていない部分も多々あります。金融所得も、配当控除以外はそうなってませんね。
現政権は、金融所得課税の強化を掲げています。今後どのようになっていくのか、注目されます。
将来の仮定の上での議論ですので、どこまで有効かは分かりませんが、おおきな戦略を考える上での参考ぐらいにはなるかと思いますので書いてみます。
税制にはいろんな穴がありますが、上記の通り「公平性の観点」から、徐々に防がれていきます。これは投資でいえば「裁定取引」のようなもので、美味しい面はあるものの、基本的には縮小していくと僕は考えています。特に今はSNSの時代ですので、どんな小さな穴でも不公平だとみなされれば、誰かがそれを見つけて拡散します。
節税は当然やっていいですし、与えられた権利ですので、やるべきだと思います。ただ、抜け穴的な節税に頼った戦略は、脆弱だとも言えます。政府が変わるたびに投資戦略の変更を余儀なくされるのでは、ちょっと困りますよね。
だからといって特効薬もないのですが、お得な税制は変わるもの、という認識を持ち、できるだけ堅牢な戦略を練っていくのがいいと思います。
個人的には、
と考えています。配当を受け取らず、再投資に回すことで課税を繰り延べることができますね。この効果は意外に大きいものだと考えます。課税を先延ばしにすることで、本当に資金が必要になったとき、その時点で最適な課税方式を選択することができます。
僕がETFや高配当株式より、分配金を出さない投資信託を優先している理由の一つがこれです。
令和4年税制改正大綱から、所得税と住民税の課税方式を統一するという記述が見られました。これについて、分かりやすく再解説してみました。課税方式が統一されれば
となります。
後半個人の意見で述べたように、これは氷山の一角で、長期的には金融所得だろうがなんだろうが、捕捉され、課税されていくと個人的には思っています。
とはいえ課税されるのは僕だってやなのはやなので(笑)制度が良い方向に向かうことを願いつつ、個人として節税できるところはどんどんやっていきましょう!
iDeCoやNISAなどの非課税制度の活用が今まで以上に重要になってくるはずです。非課税ならば、そもそもこのような課税の問題は発生しませんからね。それ以上は、課税を繰り延べて、できるだけ先延ばしにすることです!
ちょっと課税の話で難しかったと思いますが(というか僕が難しかったw)、大事なところなので、理解しておくことをお勧めします!
The post 「配当節税二重取り」の穴が防がれる?令和4年税制改正大綱で判明。さらなる対策とは? first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>以前から学びたいと思っていた行動経済学。FPはパーソナルフィナンスが対象となるため、個人の「非合理的」な行動を説明する行動経済学は、そのままコンサルティングに活かせます。というか読んでると僕もめっちゃ非合理的やなって、思わず唸ってしまいます(苦笑)
さてこの行動経済学を魅力いっぱいにお伝えしたいのですが、僕は行動経済学の専門家ではないので、どうしたものかと。そこで今回学んだ行動経済学入門(筒井義郎ら)というテキストを手がかりに、面白く、役に立ちそうな内容を厳選してお伝えします!
短い記事ですので、ササッと読んで、概要だけ掴んでください!
この記事の概要
・行動経済学を知らない方のために、短い概要をお伝えします。
・行動経済学の特徴をつかんでもらうために、身近な事例を2つお話します。
では始めましょう。
本記事はこちらのテキストをベースにしています。
ただ、この本だけでなく行動経済学の書籍数冊を元に「面の読書」技法(→参考記事 【勉強家必見】点から面への読書に進化する方法!「鈍器本」独学大全の魅力と、技法のご紹介)で理解を深めています。ですので、本のレビューをメインにしつつ、僕の学びのアウトプットの面もありますので、その点ご了承ください。本の詳細は記事末尾にまとめました。
行動経済学は伝統的な経済学を否定するのではなく、それを拡張し、適用範囲を広げるのが目的です。例えば伝統的な経済学では、完全無欠で、完璧な人間を仮定しますが、まぁ実際問題、完璧な人間などありえません。僕なんてあきれるほどいつも計画が後ろにずれ込んでしまいます。すいません。ごめんなさい。
そこで行動経済学では、この完全無欠な人間モデル(ホモエコノミカスと呼ばれます)を修正、拡大し、その拡大部分に理論を構築していくことになります。イメージとしてはこんな感じ。
これで僕も人間になれる気がします。(笑)
完全無欠ではなくなるわけですから、どこか人間臭いモデルとなるのが行動経済学の魅力の一つ。「あ、それあるある!」と思わず心の中で叫びたくなる知見が満載です。では具体的にどこがどう修正されるのか。全てを書ききるのは難しいので、僕の理解の範囲内でポイントをご紹介しますね。
古典的な経済学が仮定するホモエコノミカスさんは、100%完全に合理的。知的なスーパーマンで、感情に左右されず、計画したことは100%達成します。んなわけないやん…(苦笑)と思わず突っ込みたくなりますよね。
行動経済学では「時間選好(じかんせんこう)」で、計画したことを後悔する仕組みを取り入れています。また、「プロスペクト理論」からは、人間が感情に左右されて取引を実行したり、非合理的な計画を立てることも理解できます。後で事例でお話する心の会計にも、プロスペクト理論が関連することがあります。
さらには知的スーパーマンどころか、人間にはそそっかしいところがあって、多くの判断を深く考えずに「経験則」だけで結論づけたりします。この経験則のことをヒューリスティクスと言います。
このように行動経済学では人間を人間臭いまま、定式化しようと試みるわけですね。ただ、だからといってホモエコノミカスの全てが否定されるわけではありません。人間の一部には、相変わらず「合理的」な部分があるからです。これを限定合理性と言っています。合理的なところと非合理的なところが共存する…それが人間なのかもしれません。
古典的な経済学は人はみな自分の利益しか考えない、と仮定しています。これを完全利己性(かんぜんりこせい)と言うそうですが、まぁ、これもちょっと違和感がありますよね。確かに自分の利益を考えるのは当たり前ですが、決してそれだけで行動しているわけではない。
行動経済学では「社会的選好(しゃかいてきせんこう)」という枠組みで、自分のことしか考えないのか、あるいは相手の事や社会のことを考えながら行動しているのかを解き明かします。実験結果からは、自分の利益と社会の間でもがく(?)人間像が浮かび上がってきて、とっても面白いです!
さて、以上で概要のレビューはだいたいできてると思うのですが(え?全然不十分ですか?^^;)以下はもう少し具体的に、行動経済学的に面白そうなトピックを僕の意見も交えてお伝えしてみます。
FPとして一つ押さえておくとすればこの「心の会計(メンタルアカウンティング)」は外せないと思います。
人間は心の会計という、バーチャルな家計簿を頭の中で管理してて、その会計がまた感情的であったりするために、非合理的な意思決定をしたり、バイアスが掛かったりしてしまいます。
1981年に発表されたトヴェルスキーとカーネマンの研究成果が紹介されてました。心の会計の効果がわかりやすく、面白いので、引用しておきます。
(シナリオA)当日券が50ドルのコンサート会場でチケットを買おうとしたところ、50ドル札を失くしていたことに気づいた。50ドル出して当日券を買うか?
(シナリオB)前売り券を50ドルで買ってコンサートに行ったところ、このチケットを失くしたことに気づいた。当日券も50ドルで買えるが、買うか?
行動経済学 経済は「感情」で動いている(友野典男)P196より
Aで「はい」と答えた人は88%、でBは46%。なんとBはAの半分近くになってしまうわけですね。100%合理的なホモエコノミカスさんであれば、AでもBでも同じ回答になるはずです。だって、当日チケットを買う状況は、AもBも50ドルを失った状況で、同じですから。でも実際の人間の回答はここまで変わるわけです。
この現象を心の会計で説明すると、Aは心の会計である「交遊費」をまだ使っておらず、まだ予算があると判断。逆にBは既に交遊費のうち50ドルを消費しているのでこれ以上使いたくない、という判断がなされた、と解釈できます。
このように心の会計は実際の合理的な判断を妨げる強い力となりえますので、合理的な判断をしたいと考えるなら、注意が必要です。僕たちFPも、自分自身が罠にはまらないよう気をつけるのはもちろん、顧客にもこうした影響があることを伝えていく必要があると思いました。
経済活動の中でも、投資といえば、特に100%自分の利益を追求するもの!と考えられていると思います。僕も、直感的にはそう思います。
ただ、近年はこれとは違う動きも出てきているように思います。例えばESG(環境・社会・ガバナンス)投資。一見、素晴らしい投資に見えますが、環境や社会に配慮することはコストがかかることであり、100%自分の利益を追求する投資とは相容れません。
しかしESG投資は近年世界的に拡大していて、2020年には35兆ドルを越えています(→【金融】世界と日本のESG投資「GSIR 2020」の統計|Sustainable Japan)。ドル円110円とすれば、3,850兆円と、日本のGDP500兆円の7倍以上と、桁違いに大きな投資額に膨れ上がっています。
これは一体、どういうわけでしょうか?
以下は個人的な分析ですが、近年、ESG投資額が増加してきた背景には、戦略的互酬性(せんりゃくてきごしゅうせい)がESG投資の中に見いだされてきたからかもしれません。戦略的互酬性とは、相手が利益を返してくれることを期待してこちらから投資をする行為を指します。
投資先に直接的な利益とならなくとも、環境や社会といった「全体」に利益があれば、回り回って自分のところに返ってくるかもしれない、と期待して投資するわけですね。
ESG投資のリターンが自分のところに返ってくるのはとても時間がかかります。しかしここで、世界経済の成長率が長期的に低下していく予測を踏まえれば、また違った世界が見えてきます。
FPならばすぐおわかりかと思いますが、成長率が低下する→期待利回りが低下する→割引率が低下する→より長期間待つことの価値が増えていく→ESG投資に有利な環境、となります。
あくまで推測ですが、この世界成長のトレンドは30年前(1990年代頃)ぐらいから分かっていたものです。もし人類がホモエコノミカスさんであれば、そのトレンドをいち早く察知し、急速にESG投資に舵を切っていたかもしれません。が、ESG投資が膨らんできたのはここ10年の話で、随分立ち上がりが遅いようにも見えます。これは行動経済学の「時間選好」が影響しているかもしれません。
つまり、1990年代はESG投資よりも利益が取れそうに見えた投資案件に目が奪われていたので、長期的に先のことは軽視しがちだった、と言えるかもしれませんね。ようやく最近、その重要性に気づけてきたのかもしれません。
まぁもちろん、これは僕の個人的な分析でしかなく、正確なところは研究結果を調べてみないと分かりません。戦略的互酬性や時間選好で説明するのが正しいかどうかも、僕にはそこまで分かりません。しかし投資が完全に利己的な合理性だけでなく、近年多様化しているというのは言えるのではないでしょうか。
行動経済学には他にもヒューリスティクス、時間選好、プロスペクト理論、行動ファイナンス、幸福の経済学、実際の応用(ナッジ)、などなど、たくさんのトピックがあります。
ただ、僕の力量でたかだか1記事で行動経済学の全てを分かりやすく伝えるには無理があります。なので、短い概要と面白そうな事例を2つ挙げて、行動経済学の面白さと特徴を伝えてみました。この広大な学問の、ほんの一端でも伝わりましたでしょうか?(汗)少しでも伝わったよ!って方は、Twitterでいいねやリプもらえるとめっちゃ嬉しいです!
改めて、本記事のポイントをまとめると
です。
この記事で行動経済学に興味を持たれたならば、これ幸いです。その勢いで、こちらの参考文献も手にとってみてください。いずれも良書だと僕は思います。リンク先はAmazon。迷ったら1番上をお勧めします。
それではまた。
The post FPも顧客をお金もちにする?「行動経済学入門」カンタンレビュー first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>コロナの影響もあってか、ここ最近日本の「貧しさ」に焦点を当てた発信が多いように感じますね。例えば最近の記事で興味深かったのがこちら
日本の豊かさは70年代に戻った?GDPは4位?賃金は韓国以下?どの調査が正しいのか(筆者:野口悠紀雄)
野口氏は実質為替レートでの比較をしていますが、『実質為替レート指数が表しているのは、そのような意味での豊かさではなく、全体の中での相対的な位置である』とのこと。あくまでも相対的な差であって、技術や環境は進歩してるので、なにもかもが70年代に戻ったわけではない。ただ、成長し続ける米国等海外に比べて日本は相対的に貧しくなった、とは言えそうです。
僕たちの今後の生活にも直結する話なので、過去と現在の日本の状況を確認しながら、個人ができる対策を考えてみます。
この記事のポイント
日本の経済力が70年代に戻ったかどうかの議論はなかなか厳密には難しいですが、確かに給与も上がらず生活も苦しい中、株価だけが上昇しても全く実感が伴ないません。特に日本人は株式投資が少ない(後述)ですから、米国のように株高→個人資産増える→景気良くなるというサイクルが起きにくいです。
そんな状況ですから、70年代に戻った!と言われれば、なんとなく共感してしまいそうではあります。
では相対的に70年代に戻ったとして、過去の70年代と、今の70年代相当とでは決定的に違うことがあります。それは「経済成長力」です。70年代の日本といえば、高度経済成長の真っ只中。
例えばこちらの論文
世界経済の発展と技術革新(1)(増山幸一、『経済研究』明治学院大学、126、2003、PDF)
によれば、1950年から1973年までの日本の一人あたりGDP成長率は年平均8.05%と諸外国に比べてダントツに高くなっていますね。以下この論文の助けを借りつつ、議論を進めていきます。
8%超の成長とか、今は想像もつきにくいですが、毎年平均8%給与が増えていくイメージですかね…。そりゃぁ、国全体で飲めや歌えのどんちゃん騒ぎしててもおかしくはありません(笑)
1970年代に10代、20代だった人はざっくり+50して今、60代、70代の方々。ちょうど岸田総理も、60代ですね。この年代の人たちは、高度経済成長時代を肌感覚で知っているわけです。1960年の所得倍増計画を持ち出すとか、あの時代をもう一度!みたいな政策も耳にしますが、こうした原体験があるから、とも言えそうです。
経済成長率が異なると一口に言いましたが、ではそれは一体どれぐらい違うのでしょうか。先程の表で分かる通り、1973年から1998年の日本の成長率は一気に下がって2.34%。対して、同じ期間に中国が5.39%と先進国を猛追し始めています。
さらに1990年代に入り、バブル崩壊以降は一人あたり名目GDPが400万円前後で横ばいしておりほぼゼロ成長です。毎年、GDPが増えたとか減ったとか言ってますが、それは正直細かい話で、大局を見ればここ20年間、全然増えてないわけですね。
まとめると、
と言えそうです。
まぁ横ばいならいいじゃないか、と言われるかもしれませんが、本記事の冒頭の通り他国が成長すれば相対的に日本は貧しくなります。経済は繋がってますので、自国の経済だけではダメなんですね。そんな中での70年代逆戻り疑惑なので、このまま成長がなければ日本はずるずると、60年代、50年代とさらに相対的に貧しくなる可能性は十分考えられます。
特に日本は国土も狭く、資源や食料などを海外からの輸入に大きく依存しています。海外と比べて相対的に貧しくなるということは、そうした資源や食料品などが値上がりすることでもあり、無成長なのにインフレとなる、スタグフレーションに近い状態となることも予測されます。
先程の論文から、こちらの表も掲載しておきましょう。
年代によって、トップの国が入れ替わっていることが分かりますね。特に産業革命以後、1800年代以降は数十年でトップが入れ替わるぐらい変化が激しくなっています。
この変化の激しさは近年になってさらに加速していますので、日本もあと数十年したらいったいどこに行っているか、残念ながら見当もつきません…
この表は1998年までですが、2020年時点の一人あたりGDPは、日本4万ドルに対して米国6.3万ドルと、約1.6倍です(→世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF))。これを分かりやすい例で話すと、日本で640万円の車は立派な高級車だと思います。かたや、米国人から見るとその車は日本人の感覚で400万円ぐらいの「大衆車」に感じるというわけです。
ずいぶんと大きな違いですよね…。夏のオリンピックで海外から日本に来た外国人が「日本の物価は安い」と言っていたわけが、よく分かると思います。
ここから先の話は将来の見通しであり、あくまで僕個人の意見でしかありませんが、日本は今後も大きな成長は望めないと考えています。詳しく理由を書き出すと長くなりそうなので今回はやめておきますが、ポイントとしては
とまぁ、偉そうに感じたなら申し訳ありませんが、良し悪しは別にして、これが客観的、冷静な分析だと思っています。もちろん僕個人に、これらを覆すような力はありません。ですので、状況分析を踏まえた上で、個人ができる対策を考えるほうが現実的、前向きなんじゃないかな?と思っています。
以上のように、日本の現状を踏まえれば、今後も労働収入が大幅に伸びることは期待しにくいでしょう。ならば我々はどうやって生き延びればいいのでしょうか。
個人的に大事だと思うポイントを3つ、挙げておきます。
それぞれ簡単に見ていきましょう。
具体的には、インデックスを通じて、世界の成長に投資すること。これは何も、今海外株の調子がいいからとか、最近、非課税制度ができたからとかそういう視野の狭い話ではありません。
ここまでの議論でお気付きの通り、日本は既に自国だけでは大きな成長が望めない状況なのです。だからこそ、投資を通じて海外(他国)の成長の果実を積極的に取りに行くのが日本人にとって重要になってきています。
また投資は日本だけではなく、世界的に大きなテーマです。米国は401k制度(日本の企業型DC)を通じて多くの個人資金が、投資資金として投入されています。また、日本のNISA制度が英国の恒久的なISA制度を参考にした話はご存じの方も多いと思います。
日本よりも成長している海外の国が、日本以上に積極的に投資してるんです。このままでは、国の格差は広がるばかりでしょう。
例えば、日本と米国では個人の保有金融資産の内訳が大きく異なります。
米国では特に株・投資信託が半分以上を占め、現預金の割合が少ない一方、日本の金融資産の大半が現預金で占められています。日本と米国では、株・投資信託と現預金がまるっと入れ替わっているような状態。あなたがお持ちの現預金を株式に、株式を現預金に置き換えてみると分かりやすいです。ちなみに欧州はこの中間ぐらい。
低金利、マイナス金利で現預金に利息がほぼつかない現状で、大半が現預金のままでは資産の増加は見込めません。1,000兆円を超える大量の現預金のうち、わずかでも株式投資に向かえば、市場へのインパクトは非常に大きいと言えます。もちろん株式には価格変動のリスクがありますが、そのリスクを受け入れるからこそ、米国民はその成長の果実を受け取っているわけですね。
あなたは今ここで投資の重要性に気づけたわけですから、ラッキーだと言えます。もちろん投資は個人の責任ですから強制はできません。やるかやらないかは、自由です。ですが、少なくとも重要性は理解しておいて欲しいと思うのです。
日本人の現預金が多い状況は以前からずっと続いています。これだけの低金利でもなお状況が変わらないのは、金融教育の遅れも影響していると個人的に考えています。いまだに株式投資と言えばギャンブルという固定観念を持つ人が多い現状が、日本の金融教育の遅れを象徴的に物語っています。
教育の遅れによる機会損失たるや、数百兆円は下らないでしょう。市場の中のクジラと言われるGPIF(年金運用機関)の総資産は約200兆円。働かずとも、これを2倍、3倍にすることができたかもしれません。僕たちの年金足りない問題は、一部こうしたお金の無知から生じています。お金のことを学んでこなかったツケは想像以上に大きいですね。
教育機関やFPの役割は、とても大きいと思います。
今後日本がどうなるかは分かりませんが状況が変わらない、もしくは悪化していく可能性はあります。指をくわえて見ているだけでは将来が危うくなるかもしれません。今はもう、誰もがハッピーリタイアできると信じていた70年代とは違います。
また平均寿命はどんどん伸びて、今の子たちの半数が100歳まで生きると予測されています。これだけ長寿の人生となれば、生きる戦略もリスクも、過去の常識とは大きく異なってきます。英国の経済学教授であるアンドリュー・スコットとリンダ・グラットンは「ライフシフト」というキーワードで長寿時代の個人の生き方を論じています(参考→LIFE SHIFT 2)。
このように、人生が100年に伸びた時代、大きな成長が見込めない日本では、個々人にフィットしたさまざまな人生戦略を考える必要があります。ライフプランの作成を通じて、将来何が起こりそうかを予想し、合理的に備えましょう。
また、ライフプランを通じて生活を合理化できれば、投資に回す資金も増やせます。長期投資を通じて成長の果実を受け取ることができれば、ライフプランが改善していく可能性もあるでしょう。先程の表のとおり、日本人の現預金比率は海外と比べてかなり高い状態です。日本人の投資人口が増えていけば、経済を活性化させる起爆剤になる可能性すらあります。
日本の常識は、海外では通用しないことがあります。既に日本の成長は長期間停滞していて、このまま国内ばかりに目を向けても状況を打破できない可能性は高いと思われます。
いろいろ意見はあるかと思いますが、海外から学ぶ姿勢が必要なのは変わりませんし、これから一層必要性が高まる可能性すらあります。
日本が貧しくなるということは、海外に渡航したり、学ぶ費用も相対的に上がるということです。だからこそ、海外から学ぶことは個人にとって、貴重でかけがえのない経験となり、財産となると予想されます。ただしインターネットが海外への壁を下げてくれてもいますので、やる気さえあれば、いくらでも学ぶチャンスはあると思います。
とまぁ偉そうなことを言ってますが、僕も3はまだほとんど手つかずです…(苦笑)最近ようやく、スマホのAnkiDroidというアプリで英単語やフレーズの暗記を始めました。僕の英語の弱点の一つに語彙力があるのは分かってたので、まずはそこを補強していきます!
70年代に逆戻りか?といった最近の話題をヒントに、日本の過去と現状を振り返ってみました。またその現状から考えられる、お金の対策についてもお話しました。
まとめると
だと考えます。楽観視できる状況ではないですが、できることはたくさんあります。投資をしながら、個人として学び、成長を目指していきましょう!
The post 70年代に逆戻り?日本はもう先進国とは言いにくい。個人はどう対策すべき? first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>過去の僕も含めて、あなたは、学ぶといえば「とにかく本をたくさん読んでインプットする」と思い込んでいませんか?
例えば年間100冊、あるいは1000冊読んだと言われれば、それは凄い!ってなりますよね。しかしそれは読書の一面でしかなく、そこに目を奪われると本質を見失ってしまうのです。では何のために学ぶのか、どう学べばいいのか?その秘密が、読書猿氏の独学大全という本に隠されていました。わぉ。
読書猿氏の「独学大全」という本は、その名にふさわしく大変分厚い本で、厚みを測ったらジャスト50mmありました(測るんかよw)。普通のビジネス書籍が15,16mm程度なので、3倍以上ですね。あまりの厚みと重みに、俗に「鈍器本」とも表されているようです。
そんな事典か鈍器か分からないぐらい、威圧感たっぷりにも関わらず、不思議な魅力をこの本は放ってるんですよね。そんな魅力たっぷりの独学大全のどこがどういいのか、また55技法の一つ「目次マトリクス」の実践結果も、レビューも兼ねてお話してみたいと思います。
技法の実践と紹介は後ほど行うとして、まずは独学大全の魅力を僕なりの視点で3点ほど、お伝えしたいと思います。お伝えさせてください。お願いします。
そんなのうざいからさっさと技法を教えて!という方は、大変残念ですが、スキップして次項からお読みください…。ぐすん。
学びの価値を示す例えとして「魚を与えるのではなく、釣り方を教えよ」という老子の言葉はよく耳にすると思います。ここで詳しく解説することはしませんが、釣り方を知ることで、一度学べば繰り返し応用でき、とても実用的で価値が高いことはすぐに理解できます。
一方でさらにその上の「学ぶことを学ぶ」価値を示す例えは、僕自身あまりみたことがありません。というか、一つも見たことがない。
学ぶことを学ぶ効用として
などがパッと思いつきますが、たったこれだけ見ても、ワクワクしますよね。であるにも関わらず、恐らく学ぶことを学ぶ人は、学ぶ人よりもさらに少ないと思われます。これは自戒を込めて言うのですが、とても残念なことです。
複雑で課題の多い現代において、必要な学びの質、量は増え続けています。しかし一方で僕たちは、学ぶことに対してとてもナイーブで、学ぶ=学校で教えられるイメージから脱却できていません。そのため、大学を卒業後(いや、大学の途中でさえ)学ぶことをほぼやめてしまう人が後をたたない。この事実は成人の学習時間が1日平均たった5分という数字にも現れています(平成28年社会生活基本調査・総務相)。
さすがにこれは危機的状況だと僕は思うのです。
そのような状況で、学ぶことの意味とは何か、効率よく学ぶためには何を、どのように学べばいいかを学ぶ(知る)ことは、非常に価値が高く、効果も高いと言えます。
有り体にいえば、独学大全を読んでしっかり実践すれば、学んでいない人にはもちろん、他の独学者にも大きな差をつけることができるでしょう。ジョブ型採用など、今後日本が実力主義になっていく中でこれは朗報です。
独学大全を読んでいると、そのことをヒシヒシと感じることが出来ます。
とはいえ、学ぶことを学ぶのは、意外と難しいことに、大いに賛同します。僕ももう40代後半ですが、なんたってこの歳に至るまで学ぶことを学ぶのは満足にできていませんでしたから。
世に「学習法」と呼ばれるものはたくさんありますが、その多くが「どう学ぶか(how to)」に焦点を当ています。なぜ学ぶ必要があるのか、何を学べばいいのか、という課題は読者に委ねられたまま。結局僕も、この独学大全に出会うまでは「中途半端」な状態で満足するしかありませんでした。
いえ、世の独学法が中途半端だというつもりはないのです。それぞれの学習法については、各著者が苦労して編み出された手法で、一つ一つにはしっかり価値があるのです。ただいずれも、学習へのモチベーションを生み出す「なぜ学ぶのか」や、一体この知識の大海をどうやって溺れずに泳げばいいのかといった、根本的な問いには答えてくれませんでした。つまりhow to だけでは、学ぶことを知ったとは言い切れないのです。
もちろん僕自身の努力不足だといえばそのとおりです。なぜ学ぶかや、何を学べばいいかは、別の書籍や文献を当たればいいだけの話ですから。でも、学び方の全体像を知らなかった僕にとって、それはあまりにも手に余ることでした。あなたも、学びたいことはたくさんあるけど、どう進めたらいいか分からない、という経験は一度や二度ではないはずです。
独学大全は、これらの根源的な問いに、かなりの紙面を割いて丁寧に答えてくれます。全4部構成で
となっており、全55技法のうち33技法までが1部(なぜ学ぶのか)と2部(何を学べばよいか)に費やされています。なぜ学ぶのか、何を学べばいいのかというのは、どう学ぶかに先立ってとても重要なことです。これらがなければhow toばかりを仕込んでも意味がないよ、と言わんばかりの構成であり、実際そのとおりなのです。
これだけの知識と技法が全て1冊に凝縮されて、手元にあるならば、もうやるしかないじゃないですか。美味しいごちそうが目の前にあって、豊かな香りを漂わせているのに、食べないで我慢できる人がいようか。いやいまい。
ちなみに当初、僕はこの本の価値を見誤っていました。大全(事典)として、必要な部分だけ読めばいいや、と。しかし一つ一つを読み進めるうちに、ほぼ全ての項目が僕にとって大いに価値があることに気付かされました。結局、ほぼ通読しています。自分のあまりの無知さに呆れます。
余談ですが、この本の各章の冒頭に「無知くんと親父さんの対話」が出てきます。最初、無知くんのことを鼻で笑ってたんですが、どんどん自分の事のように思えてきて…最後は応援してました。がんばれ、哀れな無知くん!
話を元に戻して、学ぶということについて、ここまで包括的なガイドは、独学大全の他に僕は知りません。単に僕が知らないだけの可能性も大いにありますが、唯一無二と言っても過言ではないと思います。
内容についてはなんとなくイメージ出来たと思いますが、あとがきまで含めて752ページもある鈍器…いや大著が、税込たったの3,080円(紙版)とは安すぎます。ポップコーン食べながら映画を観るぐらいのお金で手に入ります。余談ですが、電子版より紙版がお勧め。余白にいっぱい書き込みできるから。
独学大全は単なる学びの事典ではなく、「知的エンターテインメント」+「包括的ガイドブック」+「事典」の3つの要素を兼ね備えていると僕は思っています。学びが深く、エンターテインメントとしても秀逸ですので、ぜひ手にとって、楽しみながら、学んで欲しいです。
もちろん読むだけでなく、ここにある技法を1つでも2つでも実践すれば、学びの質と効率が上がることは間違いありません。大事なことなので繰り返しますが、これで3,080円(税込)は安すぎます。今すぐポチりましょう。たった飲み会1回分です。
さて前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ55ある技法の一つ「目次マトリクス」を実践しましたので、自らのアウトプットも兼ねてご紹介してみますね。
今回この技法をご紹介する理由は、恐らく僕と同じように、たくさんの書籍や文献に埋もれて溺れかけている人が多いだろうと思うからです。この知識の海を上手に泳ぐためには、大量の知識を取り回す「足場」が必要です。目次マトリクスはその足場の一つとして、大いに役立ってくれるからです。
目次マトリクスは「何を学べばよいか」に属する技法の一つです。どう学ぶかの前に、何を学ぶべきかを見極めるのは、前項でも書いたとおり、極めて重要です。
過去の僕も含めて、恐らく皆さんは、学ぶといえば「とにかく本を読んでインプットする」と思い込んでいませんか?例えば年間100冊、あるいは1000冊読んだと言われれば、それは凄い!ってなりますよね。しかしそれは読書の一面でしかなく、本質ではありません。
なぜなら学びとは、自らの問いへの答えを求める行為であって、インプット自体が目的ではないからです。だからこそ、何をインプットすべきか、その取捨選択が必要になってきます。独学大全では多くの書籍や文献を取り回すために必要な技法も紹介されていて、その一つがこの目次マトリクスという技法です。
一例として僕が行った目次マトリクス調査と、そこから得た気づきをシェアしますね。選んだテーマは「行動経済学」。以前からしっかり学びたいと思っていた分野です。また、何を学ぶかの素材として、こちらの書籍をピックアップしました。独学大全には書籍の選択法についての技法も紹介されていますが、今回は煩雑になりすぎるので省略します。
果たして目次マトリクスを使えば、これらの書籍のどこを、どのように学び進めればいいのか、指針が得られるのでしょうか。
百聞は一見にしかず。まずは独学大全をガイドに、僕が試作した目次マトリクスをご覧ください。
縦方向に各文献(書籍)が並び、横方向に各文献の目次から章見出しと概要を入力しています。概要が分からない場合は、キーワードだけでもOK。目次は文献データベースから抽出可能と独学大全には書かれていましたが、文献データベースの目次は大見出しだけのことがほとんどで、さすがに物足りないと思います。ですので、図書館で借りるか購入するかした方が僕はいいと思いました。ただし、100冊、1000冊規模で分析するなら、データベースでいいと思われます。
入力が完了したら、各章の概念、キーワードについて、文献間のつながりを可視化します。目次マトリクス上で、色付きの枠を線で結んでつながりを示したのがそれにあたります。本当なら似たような概念もつなげばいいのですが、僕自身は行動経済学の専門家ほどの知識がなく、概念までは汲み取れなかったので、今回はキーワードのつながりだけをみることにしました。
そんな初学者の僕でも、目次マトリクスから分かったことがたくさんあります。例えば、各文献について
のような分析ができました。
さらにこれらの分析から、以下のような学習方針を立てることができました。
途中計画変更はあるかもしれませんが、このように進めれば大丈夫だろうという安心感は何にも代えがたいですね。
このように、書籍の目次とキーワードだけから様々な特徴を汲み取り、その後の学習方針を立てられるという事実を知ったのは、僕にとって非常に画期的な経験でした。
今まで、これといって学び方を知らなかった僕の読書スタイルは、とにかく1冊ずつ通読するという「力づく」なものです。イメージとしてはこんな感じの読み方。
この方法は単純明快でシンプルというメリットはあるものの、必然的に自分が学びたいこと以外の情報もインプットせざるを得ないため、精神的に苦痛というか、知的興味よりも作業に近い読書となることが多々あります。それゆえ、このまま読み進めても大丈夫かと不安になり、長続きしません。結果、本をつまみ食いしては放置して…ということを繰り返していたわけです。お恥ずかしながら。
こうした力づくの学習は、いわゆる「点」の読書を機械的に並べただけであり、戦略もへったくれもありません。ですので、各書籍間の関連も把握しづらく、時間効率も理解の効率も非常に悪いものだと言えます。
一方、目次マトリクスから導き出した上記の学習方針は、1冊を通読する方向と、複数の書籍を横断する読みとを組み合わせており、独学大全でいうところの「面の読書」に一歩近づいた形にできそうです。これならば時間効率を高めながら、かつ興味も理解も深められるという、一石二鳥、三鳥が期待できます。例えば上の読書方針を実行する場合、読み方はこんな感じになると予想できます。
しかも本を読む「前」に方針と各書籍を取り回す基礎が得られるので、時間効率がものすごく高く、非常に助かります。例えばこれが今回のように6冊(7冊)ぐらいなら、力づく読書でもなんとかなるかもしれませんが、10冊、20冊…と増えていくに従い、一体自分が今何を、何のために学んでいるかという根っこを見失い、迷子になりそうです。そんなとき、目次マトリクスという「文献の地図」があれば、迷わずに済みますよね。
僕にとっては、なにより沢山の書籍を目の前にして、気後れしなくなったのが一番の収穫でした!
いいですねこれ。早速あなたも目次マトリクス、作りましょう!(笑)
メリットばかり言いましたが、デメリットもなくはないです。
多くの場合、メリットのほうが大きいと思われます。
僕が感じた独学大全の魅力と、技法の一例として僕が試した「目次マトリクス」の特徴についてお話しました。まだまだ伝えきれていない気もしますが、この記事は一旦これぐらいで終わりにしようと思います。長すぎても辛いですよね?(笑)
要点をまとめると、まず独学大全の魅力について
事例として挙げた目次マトリクスについては
という特長がありそうです。効果が高い技法ですので、こちらもおすすめです!
学ぶことへの学びの投資は、非常に価値が高いです。もちろん、目次マトリクスは独学大全のごく一部でしかありません。ぜひ、独学大全、手にとって学んでみてくださいね!
本記事の主旨とは直接関係ないのですが、行動経済学を事例にもってきたので、興味を持つ人もおられるだろうと思い、補足しておきます。
僕自身最近知ったのですが、行動経済学(の主に行動≒心理学の部分)は、近年その効果を疑問視する結果がしばしば出てきているようです。元々心理学実験ではアンケート調査に頼るなど結果の客観性を担保するのが難しいため、そういうことが起きやすいと思われるのですが、けっこう再現性が低い、もしくは無い結果がバンバン出てきてるようですね…。例えばこちらのnoteがかなり興味深く、参考になりました。ありがとうございます。
心理学・行動経済学等の著名な研究論文が次々に追試失敗(手記千号氏)
このnoteで指摘されている「再現性実験に失敗」した、または疑わしい例を挙げると
※いずれも上記noteでの指摘を抜粋。詳しくはnote参照。
などなど…。いやぁ、いっぱいありますね(汗)結構、聞いたことがある項目が含まれている人も多いのではないでしょうか?
上記の「プライミング効果」は本記事にもある「ファスト&スロー(ダニエル・カーネマン)」も4章で取り上げています。またそれを基礎とした論理展開もあるため、そこが否定されると、著書の信頼性にも影響が出てきますね。(ちなみにファスト&スローが全否定されているわけではなく、Shimmackの調査で11の章のうち5つが否定、残り6は肯定されている)
古典的名著にも誤りが含まれているとなると、独学の方向性にも影響を与えかねませんが、まずは古典を学んでから、最新の研究で補足していく、というのがやはり定番だと思います。上記追試の結果を踏まえつつ、一旦は上記古典から行動経済学を学んでみようと思っています。
これだけたくさん追試に失敗していると、行動経済学や心理学全体が否定されているような気分にもなりますが(苦笑)、そういうわけではありません。上に挙げたものは大量の研究の一部であり、有益なもの、追試や検証を耐えて生き残っているものもあり、むしろそちらのほうが多い、ということは覚えておく必要があります。また、追試自体にさらなる検証が必要な場合もあり、上記にあるからといって100%否定されているわけではありません。効果が疑わしいな、というぐらいで捉えておくといいです。
また、仮に結果が否定されたからといって「だから学者や専門家は信用できない」という態度を取るのは極端な話です。確かに許すべきではない行為に走る専門家もいますし、実際そうであれば非難されるべきですが、それはごくごく一部。多くの方は努力家で誠実ですし、少なくとも自分の専門ではない分野に明るいことは確かなので、これからも学者、専門家の必要性は変わらないと思います。我々一般人はむしろこうした誤りと上手に付き合っていくことを考えるほうが前向きなのかなと。
いやはや、真実を追求するのは、大変な労力や時間が必要なことを、改めて認識しました。
以上、補足でした。
The post 【勉強家必見】点から面への読書に進化する方法!「鈍器本」独学大全の魅力と、技法のご紹介 first appeared on 【行列FP】行列のできるFP事務所.]]>今回はネット集客を実践したことがない、もしくは実践して間もない初心者FP向けに、ネットメディアの基本的な役割の違いを図解で説明していきますね。
FPで集客をしていくなら、メディアの違いを理解し、それらを上手に組み合わせていく必要があります。
難しい話は一切ありませんので、気楽に読んでみてください。
図の上から順番に、説明していきますね。
まずフロント集客の部分を見ていきましょう。
SNSは人の繋がりから、新規アクセスを生むことができるメディアです。TwitterやYouTube、Instagramなどが該当します。これらのSNSの中でもYouTubeはブログのようなサイトの特徴が強く、逆にTwitterは純粋にSNS的な要素が強いです。
中でもTwitterはリツイート(RTと省略される)という簡単にシェアできる機能があって、Twitterでは驚きや共感される内容がRTで拡散されやすいという特長があります。RTのおかげでTwitterは拡散力が強く、ブログやYouTubeを活用している人も、Twitterを併用して拡散を狙う、ということが多く見受けられますね。
対してブログにはSNSのような拡散機能はありません。その代わり、文字数やメディアの掲載数に制限がなく、自由に記事を書けるのが特長です。しっかりと情報がまとまっていることが多く、検索エンジンもブログ(サイト)の記事を好んで上位表示する傾向があるようです。ですので、ブログやHPは検索エンジンからの集客が期待できます。
また、情報発信の基地やデータベースとしての役割をもたせることもできます。SNSでの情報発信はタイムライン上でどんどん流れていってしまうので、どうしても「その場」の「旬」の情報を継続的に発信していくことになります。対してブログやHPは特定の記事を何度も何度も再利用することができます。しっかりとした記事を残しておくことで、新しい読者に何度でも再利用して読んでもらうことが出来ます。
例えば僕のこのブログでも、ブログやメルマガの始め方の基礎を記事にまとめています。↓
このように何度でも読んでもらえる記事を書けば、読者にも喜ばれますし、あなた自身の効率化にもつながりますよね。
広告はメディアとは違いますが、SNSにしろブログにしろ、他人が持っているスペースを「お金」を払って借りて掲載させてもらう仕組みです。場所を借りる、ということですね。お金さえ払えば誰でも広告は出せるので、資金があり、売上をさらに上げたい場合、広告は非常に有効です。
どのような場所を借りるかにもよりますが、読者から見ると他人の広告が突然現れることになります。ですので信頼関係を構築しにくいのが広告の最大の難点。したがって、少なくとも個人が集客するには、広告だけに頼るのはお勧めできません。SNSやブログを活用した集客がしっかり出来た上で、さらに広告で売上をアップさせるという使い方がいいと思います。僕も基本はSNSやブログで集客しつつ、追加の募集を広告で、という感じで活用しています。
SNSやブログ、広告といったフロントで集めた読者との信頼関係を深めることで、あなたのサービスに興味を持ってもらうことができます。この信頼関係を構築するメディアとして最もお勧めなのがメルマガです。例えばメルマガを毎日1通ずつ届けることで、信頼関係を構築していくことができます。
LINEなどのメディアでも同じことで、要はこちらから届けるメディア、を活用しましょう。ただしLINEの場合は距離感が近すぎてすぐブロックされることもありますので要注意です。またLINEはLINE社のサービスですので、規約の変更などもありますからその点も注意が必要です。
最後に提案が必要です。最終的になんらかの商品、サービスを申し込んでもらうことが目的ですからね。特にFPのようなコンサルティングビジネスの場合、内容を理解しにくい事が多いです。例えばFPにとっては馴染みの深いライフプランサービス1つとっても、ほとんどの読者は経験したことがないので全く分かりません。そのような複雑で高度なサービスに申し込んでもらうには、やはりしっかりと信頼関係が出来ている必要があります。
ですので、ほとんどの場合メルマガでオファーすることになります。FPがメルマガ必須と僕が常日頃から言っているのはこのためですね。
対して、もっとカジュアルな商品やサービス、例えばお茶会の案内や無料セミナーなどのオファーは、必ずしもメルマガでなくても構いません。SNSやブログ上の告知でも、十分集客することが可能です。ただし料金の安いもの、無料のもののオファーでないと集客が難しいので、結局その後でメルマガを活用するなどの必要があります。
非常にざっくりとですが、メディアの違いについてまとめてみました。
まずは役割の違いを理解し、適切に組み合わせることが集客を成功させるポイントになります。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです!
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