FPで保険や証券を売っている(仲介している)人は
結構多いですよね。
僕は保険を売っている人を、バカにしたり、
無意味に批判したりするつもりは全くありません。
もちろん、顧客のことなんてちっとも考えず、
単に自分が儲けるためだけにやっているのであれば論外ですが
(それはFPに限らず、どんな業種でも同じこと)
たとえ収入の手段として保険を売っているとしても、
ちゃんと顧客のことを考えながら、あるいは、
もっと大切な何かの目的のための手段なら、
大人の事情としてありかなと思うからです。
それはそれで、何らか必要だという判断で
されていることだと思いますので。
でも逆に、心の底から保険を愛し、
人生を賭して保険を売っている人も少ないのでは?
と思います。
そこに実は、落とし穴があります。
目次
FP業は、純粋にアドバイザーでは
儲からないと言われています。
いや、言われているというか実際、
一般の方のコンサルティングへの需要は少ないですので、
FPに限らず、アドバイザーフィーだけでやっていくのは
難しい部類の話だと思います。
もちろん不可能ではありません。
アドバイザーとして活躍されているFPも多いですので
可能性としてゼロではないでしょう。
アドバイザーからしてみれば、
「このアドバイスには裏方も含めて
これだけの時間と労力がかかっているから
最低これぐらい頂かないとやっていけない採算ライン」
というのがありますよね。
「アドバイザーって、原価が無くて全部利益だからいいよね」
とよく言われたりしますが、
実はそうではありません。
実際には、時間を売っている以上、
確実に「人件費」がかかりますので、
その部分のコストがかかってきますね。
お客様からはなかなか見えませんが、
1時間のアドバイスといって、
1時間だけ働くわけでもありません。
資料や情報を送って頂いて、
事前に精査し、アドバイスの方向性を考えて…
とやっていると、単純に倍以上の時間はかかりますので
この人件費は、バカにならないのです。
当然これに事務所費や利用機材等の減価償却、
消耗品費が乗っかってきますので、
正直1時間5,000円ぐらいだと
採算にすら、乗りませんよね。
一方で、顧客からすればそこは全く関係ない話で、
料金が価値に見合うと思えば払ってくれますし、
そうでなければ払ってもらえません。
これは市場経済(契約自由の原則)である以上、
どう頑張っても仕方のないところです。
現状の日本では、「価値に見合う」と考える人の
そもそもの絶対数が、少ないのかな?
と思っています。
(これは推測ですが、実感としてはあります)
もちろん、個々に提供するサービスの質を
高めないといけないのは言うまでもありませんが
それをやっても採算ラインに乗らないなら
経営者の視点として見た場合
「それはやってはいけないビジネス」となります。
こういう状況だからこそ
「アドバイザーという商品」以外の商品、
例えば「保険」や「証券」を売って、
それで食べている人がほとんどに
なってしまっているんだと思います。
だから、有り体に言ってしまえば
稼ぐ「手段」として保険を売っているのだろうと思います。
むしろ大企業の方が、
手段としてやっている傾向が強いかもしれません。
端的なのは、銀行が売る保険や証券ですね。
あなたもFPであり専門家ですから、既にご存知のとおり
銀行の扱う保険や証券の手数料は非常に高いですよね。
これでは確かに金融庁から
「本当に顧客ニーズに応えているのではなくて、
銀行の手数料稼ぎの側面が大きいのではないか?」
と突っ込まれても仕方ないと思います。
そして、これもご存知の通り、金融庁が本気で
「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位)」
を推進しようとしていますから、
単なる手数料稼ぎとしての保険や証券の販売は
だんだんと難しくなっていくのは目に見ています。
手を変え品を変え、ある程度似たようなことは
続いていくと思いますが、
今ほど「売り手に美味しい」ビジネスでは
なくなってくるでしょうね。
FPビジネスを回していくために、手段として保険や証券を売る、
というのは今の日本ではある程度仕方のないことかもしれません。
ただ、それに依存していてもダメだということです。
今後、日本の環境がそれを許してくれそうにありませんから。
ここでの本質は、
「保険」や「証券」といった商品には関係なく、
本当は顧客に価値を与えていない部分が、
今後削り取られて行く可能性が高いということです。
「保険」や「証券」というのは単なる「器」の話であって、
そこに目を奪われてはいけません。
じゃぁどうすればいいのか?
大切なのは、新しいビジネスの可能性、
新しい顧客(集客)の可能性を
常に模索することです。
そしてゆくゆくは、本当に相手の価値となる
ビジネスにしていくことです。
FPでいえば、やはり基本に立ち返って
アドバイスの価値を磨いていき、
正々堂々とフィーを頂くことでしょう。
僕が保険も証券も売らないのは、
やはりこの本質の部分を磨く必要があると
常に認識しているからです。
結局、FPの存在価値というのは
アドバイスの価値以外
なにものでもありませんから。
といって、大それたことをする必要も、ありません。
例えば最初は、今のビジネスに加えてちょっと試しにやってみる、
「副業」という感覚でトライしてみると
いいと思います。
もちろん、相手は立派なお客様ですから、
副業とはいえしっかりと取り組む必要はあります。
それはまぁ、今しっかりビジネスをされているのであれば
僕がいちいち言わなくても分かることかなと思います。
要は、あまりコストと時間をかけずに、
新しいビジネスの可能性、新しい顧客開拓の可能性を
探り続けるのが大事だということですね。
それをやっていかないと、
いまの「保険」商品が売れなくなった時点で
いきなりビジネスがダメになってしまいますから
そこは絶対ケアしておく必要があります。
ちなみに、僕は保険や証券を売っていませんが、
保険も証券も売らずに、どうやっているの?
と思われるかもしれません。
純粋にアドバイザーとしてのフィーを頂いていますが、
その方法はこちらで詳しくお話していますので、
興味があればご覧ください。
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