FIREが流行る根源的理由?高原社会で「幸せな仕事」を選択する大切さ

こんにちは。林です。

今回は少しロングレンジな話をしますが、今後50年、100年先の世界を見据えたとき、経済成長率は低下していくと言われています。つまり、今まさに僕たちは成長の「高原」にたどり着きつつある。

そんな社会にあって、仕事が「稼ぐための手段」だけであっていいのか?というのが今回のテーマになります。

もちろんお金も大事なわけですが、これ以上大きな成長が見込めない高原社会で成長のために何かを犠牲にするという考え方自体が時代遅れになっていくかもしれません。

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目次

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高原社会とは何か?社会は成長し続けるのか?

まず種明かしをしますと、この高原社会の話は僕のオリジナルではなく、山口周氏の「ビジネスの未来」という書籍で提案されている内容になります。その内容に、FPの視点を踏まえてちょっと僕なりの意見も交えて書いてみようと思ったのがこの記事のキッカケです。

「ビジネスの未来」はとてもおもしろい本ですので、ぜひ手にとって読んでみてくださいね。

で、この高原社会とはなんぞやですが、要は世界全体の経済成長率が下がっていくということです。経済学者やコンサルティングファームなどが超長期での世界の経済成長率は低下していくと予測しています。現在新興国で高成長している地域にしても長期的な傾向は同じ。中でも日本は、他国に先駆けて高原社会に突入します。

これは「社会全体として富を生み出すことが難しくなっていく」ことを意味しています。それでも中には儲ける国や企業が現れるでしょう。でもそれは「限られたパイ」を効率よく奪うことに成功しただけで、社会全体の富を増やすことに成功しているわけではないのです。

例えばGAFAに代表される巨大IT企業は大変大きなイノベーションを生みましたが、果たして社会全体の成長をお仕上げたでしょうか。これらIT企業の収益力、成長力は凄まじいですが、では社会全体の成長率を押し上げたかというと、自信をもってそうとはいえません。

こちらは古代から2100年までの世界GDP成長率ですが、1990年代から長期的な下降トレンドであることがわかります。Windowsが本格的に普及を始めたのが1995年頃ですが、それ以前から下降トレンドで、それが現在も続いていることが分かりますね。

稼ぎすぎる害

結局の所、限られたパイをいかに上手に奪うか、という不毛な競争に陥っている可能性が高い。もちろん私達の社会にはまだベーシックインカムもなく、稼がないと生きていけないという息苦しさがあります。なので、生活の手段として稼ぐ必要はあるのですが、問題は「稼ぎすぎると社会に害をなす可能性がある」ということでしょう。

こちらの図をご覧ください。

まずは左の図。個々の集団が同じぐらい稼いでいるなら、特に差は生じず、また社会全体が成長している(緑の丸が全体的に大きくなる)なら、みなハッピーでしょう。

では右側をご覧ください。これは社会の「特定の集団」が他よりも飛び抜けて効率よく稼いでいる状態です。この場合、社会の別の集団からこの特定の集団へ富が急速に移転し、貧富の差が生じます。このような状況でも、社会全体の経済が拡大しているのであれば、貧富の差も無視されるかもしれません。しかし高原社会では「貧しい者が貧しいまま」に取り残されてしまう懸念があります。

またこうした現象はGAFAに限りません。資本が一箇所に集中し、効率が上がるに従い、必ず格差は拡大していきます。これは少数の誰かが生き残り、他は死ぬ(ないしはかろうじて生きる)という世界に向かっていきます。

したがって、社会・国家としてこの状況を見過ごすわけにはいかないでしょう。こうした「稼ぎすぎる害」を修正するために、税などによる富の再移転が必要になってきます。ピケティも資本税を含む各種税を真剣に議論しています。

しかし稼いだ分がそっくり回収されるのであれば、稼ごうと稼ぐまいと、結局僕たちは何をしているのか?という話になります。

実際、精神的な損耗は激しいと思います。競争はますます激化し、すべての時間を仕事に捧げながらも、さらなる改善や奉仕を求められる…。なんと不毛なことでしょう。うつ病などの精神疾患が増えるのも当然のことだろうと思うのです。

今後それがさらに悪化していくなら、いっそ働かない方がマシとばかりに、FIRE(経済的独立と早期退職)が流行るのも無理はありません。

お金そのものではなく、「より良く生きる」に着目する

問題の根が深く、簡単に解決する処方箋はありませんが、個人としてはまずライフプラン等を通じて「より深く自分の人生を見つめる」ことが大事になってきます。

僕はFPの仕事をしているので当然お金にも着目しますが、お金を増やすこと自体が大事なのではなくて、そもそも何のためにお金を増やすか、使うか?ということが大事なのです。なぜなら、お金を増やすだけが目的なら、身を粉にして働き、精神をすり減らしてがんばるだけでOKということになります。でももうその人生モデルはとっくに破綻している。

では具体的に何を重視するかというと、人それぞれ価値観はあるかと思いますが

  • (多少収入が減っても)幸せややりがいを感じる仕事にシフトする
  • 家族との時間を大事にする
  • 自分のやりたいことに時間を使う
  • FIREなど人生の本当に到達したい目標のためにお金を利用する

とか、そういうことだろうと思うのです。

当然FPならばライフプランを見て全体の破綻がないかをチェックした上で、「お金以外」の目的、目標を達成するためのアドバイスなり支援なりを行うのが大事になってきます。

FPは保険なんて売ってる場合じゃないよ、社会にはもっと大きな課題が横たわっているよ、というのがここから少しでも理解頂ければ少しは書いた価値もあるのかなと。笑

FPのみならず、資産形成を目指す人の少しでも参考になれば幸いです。

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