本や雑誌、ネットを調べているとFPで独立開業して年収1千万円とか、年収1億円とか華々しい話も聞こえてきますよね。
それを読んで鼻息を荒くしているかもしれませんが(笑)大きく成功するためには相応の準備が大切です。
FPで開業する際の基礎知識、必須知識をまとめてみました。
目次
ところで独立系FP以外も含め、幅広い視点で週末起業等で、独立開業の可能性を検討した記事はこちらになります。
この記事では、独立系FPとして開業する場合にフォーカスして、最低限必要な知識とステップアップの方法という観点でまとめています。
独立系FPを理解するために、企業内で働く企業系FPと、企業から独立した独立系FPの違いを理解しておくと早いと思います。
当サイトでも何度かご紹介してますが、日本FP協会がまとめたAFP・CFPの就業割合がこちら。
ざっくり、FP事務所・士業事務所系のFPを(多くの事務所はFP1名だとして)独立系FPだと仮定すれば、全体の7%が独立系FPだと言えます。
実際には、FP事務所に勤務しているFPもいるでしょうから、独立系FPはもう少し少ないということになりそうです。
このように独立系FPが少ないのは稼ぎにくいからということが理由の一つです。
たとえばこちらの記事にもまとめていますが
企業系FPの平均年収は金融機関所属のFPの場合、600万円から800万円ぐらいに達しているのに対し、独立系FPは300万円程度と半分以下という結果に。
中央値で見ると業務経験10年未満の独立系FPの年収は50万円という衝撃の結果です。
完全な統計ではないのでもう少し数字は変わるかも知れませんが、定性的な業界の動向としては大きく外してはいないでしょう。
ただ、だからといってじゃぁ独立系FPはダメかというと、それは早合点すぎます。
独立系FPの年収が低いのは単に準備や知識が足りないだけのことが多く、それらを補えばやっていくことは十分可能というのが僕の体感です。
独立系FPの年収が低くなってしまっているのは、闇雲に何の知識も準備もなく独立だけしてしまった「うっかり独立系FP」の年収が、極めて低いからだと考えています。
もう一つの要因としては女性であれば「主婦FP」、退職した後、年金をもらいながら副業としての「定年退職FP」などの存在も外せません。
これらは独立系FPの一つの形ですが、別途世帯主の収入や年金がありますので、FP自体の収入は少なくても全然構いません。
稼げないというよりは、あえて仕事量を減らして家事、育児や老後の楽しみの一環として独立系FP業を営んでいると言えるでしょう。
これは別に悪いことではなく、のんびり、楽しくFPでやっていけるなら、それももちろんアリなのです。
ただ、こうした人達の年収も、平均年収を下げている一因かもしれません。
ですので、一つの統計値(平均年収)だけを見て結論を出すのは間違いといえます。
企業に所属していれば毎月給与収入がありますが、独立するとどうやって収入を得ていくかが非常に大事になります。
例えばこちらの記事ではコミッションとフィーの違いを書いています。
コミッションは非常に強力で魅力的ですので、独立系FPの9割以上はコミッションFP、つまり金融機関と定形し、金融商品を販売・仲介していると言われています。
その理由は結局コミッションが「儲かりやすい」からですが、儲けるためだけにFPをやるなら、続けられませんのでやめたほうがいいでしょう。
特に最近はFP倫理である顧客利益を優先せず、自身の利益を優先するFPや金融マンが問題になっているのはご存知かと思います。
金融庁も問題視しており、顧客優先、顧客本位(FD)を念仏みたいに唱えているのは周知の事実です。
いや、今ではもう念仏にとどまらず、顧客本位の実効性が厳しく問われる時代だといえるでしょう。
ですので、コミッション型でいくのかフィー型でいくのかは、開業する前からよく検討されることをおすすめします。
金融庁もFD(顧客本位)を主張している手前、相談料を払ってでもお金の専門家に相談することの重要性を国民全体にアピールし始めています。
例えば金融庁が一般向けに配布している「基礎から学べる金融ガイド」パンフレットの「外部知見の活用」ページには
(中略)また、中立的な立場または商品を購入する消費者の側から信頼性の高い情報提供を行っている機関等に相談してみましょう。
「基礎から学べる金融ガイド」金融庁パンフレットより
と明確に書いてあります。
さらに日経ヴェリタス(2019年6月16日)掲載の日本FP協会専務理事 伊藤宏一氏のコラムには
FPは顧客の利益を第一に図ることが大前提だ。その点で特定の金融機関に属さない独立系の金融アドバイザーは貴重だ。日本では欧米と異なり、独立系アドバイザーと呼ばれるFPの中でも、投資信託や保険の販売で金融機関から報酬を得ているFPも多い。顧客との利益相反が生じる可能性もあり、どこまで独立といえるかは疑問だ。
英国は独立系アドバイザーが金融機関からのキックバックを受け取るのを禁じたほか、米国では米証券取引委員会(SEC)が金融機関から手数料をもらう仲介業者をアドバイザーとは呼ばないとしたほどだ。
日本FP協会専務理事 伊藤宏一氏のコラム(日経ヴェリタス掲載)より引用
とあります。日本のFPに強い影響力を持つ日本FP協会の理事がこうした考えを持っている、ということを覚えておいて損はないでしょう。
こうした背景から、無料相談ではなく有料相談を利用しようと啓発しているFPや専門家も増えていますので、フィー型の独立系FPには追い風となっています。
ビジネスは工夫次第ではありますが環境の影響も大きく受けます。
このような外部環境の変化にも注意を払うようにしてください。
独立系FPの中でもフィー(相談料)がメインの独立系FPは非常に少ないです。
そのため、日本には相談料を払う文化がない、などと言われながら、需要(顧客)>供給(FP)の状況なんですよね。
実際僕の事務所でも顧客が来すぎてパンクしかけたことがあるぐらいですから、需要は豊富にあると考えて間違いありません。
ただ、集客の方法を知らないということでしょう。
以上、まとめると独立FPとして開業する前に
を考える必要があります。
独立系FPを目指す人向けに開業プログラムや養成講座、セミナーや教材などがあります。
具体的には検索すれば出てくるので、ここでは開業の進め方について書いてみます。
FPで独立して収入を得ていくために必要なライセンスは最低限2級FPかAFP、ということになるでしょう。
どちらかと言われればAFPをお勧めします。
AFPだと収入を得るのは難しいと思われるかもしれませんが、AFPで活躍している方はいくらでもいますし、AFPだから相談料が安いというわけでもありません。
要は、どの顧客を相手にし、どのようなサービスを提供するかが大切になってくるわけです。
逆に、1級FP、CFP®を保有していたとしても、顧客戦略を間違うと売れないFPまっしぐらということになりかねません。
大切なのは少しでもいいので特色のあるFPになるということです。
企業系も含めるとFP会員は全国で20万人ほどいるわけですから、その他大勢の一人になってしまうとマズイです。
FP資格にあなた独自の「得意分野」を組み合わせて、訴求するようにしましょう。
一番手っ取り早いのは、あなたの境遇や状況から専門分野を作ってしまう方法です。
例えばあなたがサービス業に勤めていて、(もうすぐ)退職後にFPを目指すなら、サービス業専門のキャリア相談や老後のライフプランナーとなれば、競合のFPはぐんと減らせるでしょう。
ターゲット顧客も減るかも知れませんが、専門性を高めてピンポイントで訴求するほうが結局は集客がしやすくなります。
連携できる他士業(税理士、弁護士、中小企業診断士等)の仲間がいるなら、心強いでしょう。
共同集客もできますし、お客様の相談であなたの範疇を超える部分を仲間の士業と連携して解決することもできます。
FP以外の士業とは副業等の準備段階から、積極的にネットワークを作っておくようにしましょう。
なお、ダブルライセンスでカバーする考え方もありますがあまりお勧めしません。
ダブルライセンスが取ること自体が大変ですし、それを待つと開業まで時間がかかることになります。
連携したい士業さんはたくさんいますから、わざわざあなたが資格を取る必要性は低いと思います。
早く集客を始める事のほうが重要です。
「ダブルライセンスなら単純にできることが増えるので、大変だけど取れるなら取ったほうがいいのでは?」
と思うかも知れませんが実際にはデメリットもあることは覚えておいてください。
確かに税理士、弁護士、宅建士などには「独占業務」と言われる、有資格者にしかできない業務があります。
これらの業務をあなた自身で引き受けるためには、対応する資格が必要になってくるでしょう。
しかし、独占業務と引き換えに報告が義務付けられたり、登録料が必要だったり、事務所に書類を備えてそれを管理しなければならなかったりと様々な「付随業務」も発生してしまいます。
これらはあなたの時間とお金を奪う要因になりますから、必ずしもダブルライセンスがいいとは言い切れないんですね。
あなたのビジネスモデルが「ときおり」他士業と連携する程度なのであれば、連携でも十分ビジネスを回せるでしょう。
金融商品の販売や仲介によるコミッション(手数料)は独立系FPの魅力的な収益源となります。
ただし、その商品は慎重に選択してください。
一番よくない選び方は「コミッションの高さで選ぶ」方法です。
開業当初は売上も少なく、功を焦るあまり、高コミッションの商品を紹介する誘惑が強いですが、それをしてしまうとお客様との長期的な信頼関係を失うことになりかねません。
そうなるとお客様と継続的なお付き合いができなくなり、結局トータルの売上も落ちてしまう悪循環に陥ることになります。
そうなると常に新規顧客からしか売上が上がらず、自転車操業になってしまいます。
FPに限りませんが、ビジネスというのはその場限りの売上を追いかければいいというものではありません。
よく言われることですがビジネスの成功はリピーターの有無にかかっています。
信頼力を高め、持続的に売上を高められるような顧客にとって本当に必要な商品を選んでください。
特に今後のFPはその点を(金融庁などからも)問われることになるでしょう。
集客に関してよく言われるのが「法人顧客を相手にしろ」という点です。
これは確かに一理あって、法人契約というのは個人と比較にならないぐらい、大きな金額やまとまったボリュームで仕事を頂くことができるからです。
一見魅力的なのですが、最初は個人顧客を徹底的に攻めるのが遠回りに見えて実は近道です。
法人顧客というのはあなたによほど信用力が無い限り、1度セミナーに参加してそのまま契約ということにはなりません。
必ず信用できる人からの紹介か、個人的にあなたの資質を見てから契約するかどうか判断されます。
ですのでまずは個人を対象とするFPとして、徹底的に活動することをお勧めします。
その個人ターゲットを少しずつ法人寄りに、例えば個人事業主様のライフプランみるとか、法人の節税とセットにするとかしていけば自ずと法人契約が近づいてきます。
FP事務所として開業、起業して最初に困るのが集客です。
企業内で働いていると、営業職でもない限り、集客に頭を悩ませることはないですよね。
でもこの営業・集客というのはビジネスの根幹部分であり、FPだからといって無視できるわけではありません。
むしろ、FPは「売りにくい商品」であるため計画的、戦略的な集客が必要になってきます。
これを書き始めると長くなってしまうのでここでは省略しますが、僕はネット集客で継続的に見込み客・顧客を集客しているわけですね。
セミナー集客とか、SNS、口コミ集客とか他にもいろいろ方法はあるわけですが、僕はネット集客が効率がいいと思っていて実際にネットで集客をしています。
どのような形にせよ、集客は必須になりますから、どのように集客していくか開業する前に検討しておいてください。
ネットで集客する、しないに関わらず、こちらの記事の準備は始めておきましょう。
FPとして独立開業する方法についてざっとお話してきましたが、いきなり開業するのではなく、一度FPとして採用されみてノウハウを学ぶのもお勧めです。
FP事務所勤務から独立しましたというFPもしばしば見かけます。
一番手っ取り早いのは「FP事務所」にFPとして採用されることですが、特に地方では独立系FP事務所自体が少ないため難しいかもしれません。
FP事務所の採用が難しくても、FP資格を活用できる職種でがんばれば多くの学びと経験を得ることが出来ます。
人事(年金)、労務(給与)、会計(税金)がらみの職種は、FPの業務範囲でもありますから、それら特定の分野で成長することもできるでしょう。
そのような+αの専門性を活かせば、ダブルライセンスでなくても他のFPとの差別化ができて有利にビジネスを始めることができます。
保険の歩合給営業職(保険募集人)として、保険の乗合代理店や生命保険会社で腕を磨く方法です。
将来独立する際に保険の知識が活かせますし、ネットワークを築いておけば独立してからも仕事を進めやすくなります。
前述したとおり、顧客にお勧めする商品には気をつける必要があります。
ただ、組織の中で結果を出すためには、本音と建前を使い分けないといけない場面も出てくるかも知れません。
そうしたことも含めて実務経験となります。
独立開業してからは、思う存分あなたのやりたい方針でビジネスをすればいいでしょう。
税金、会計のスキルを高めたいなら会計事務所もお勧めです。
税金と会計スキルのメリットはなんといっても法人への訴求力を高められる点にあります。
法人も個人と同様、日々お金の悩みを抱えています。
特に節税と会計処理は定番ですから、これに強いというのは大きな武器になります。
ドストライクであなたが会計事務所を開く必要はなく、例えば「社長さん専門の資産形成FP」として活躍してもいいでしょう。
その際、税務や会計の知識がおおいに役に立つはずです。
要は、あなたが得た知識をどのように役立てていくか、アイデア次第でいくらでもビジネスは成立します。
FPの求人は大手転職サイト(DODAやIndeedなど)を探せば見つけることができます。
また、地方では難しいかもしれませんが
「独立系FP 求人 (地名)」
などで検索しても、出てくる場合があります。
一つ注意してほしいのは、求人サイトであれ個別の採用情報であれ、そこに書かれているのは大抵良いことばかりだということです。
求人サイトへの掲載には多額の費用(掲載費用や成功報酬など)がかかりますから、とにかくいい人に応募してもらわなければ企業も大損になります。
そのため実態としては残業だらけでブラックだとしても
「ウチは残業が多くて正直ブラック企業です」
なんてことは絶対書きませんよね。
せいぜい、
「多くの仕事が任されてやりがいがあります!」
「ウチではスキルを学ぶ機会が多くて成長が早いです!」
ぐらいの表現でしょう。
「お客様に保険を売り込むことはありません」といいながら、実際には重たいノルマを課されるぐらいのことは日常茶飯事だと思ってください。そこは大人の事情として理解しておきましょう。
詳しくはこちらの記事の事例なども参考にしてください。
先程、僕が「武者修行」だと書いたのはこのためです。
もちろんそんな事務所ばかりではないでしょうけど、働きやすくて、給与が高くて、福利厚生もバッチリならスタッフの定着率も抜群に高いわけですから、そういう事務所からの求人はほとんど出てきません。
世の中、それほどうまい話はそう簡単に転がっていないということです。
そんなに簡単なら、だれも苦労しませんて。笑
だからこそ苦労してでも、独立開業するだけの価値があるというものでしょう。
今、あなたが会社員の場合、いきなり明日から会社を辞めてFPとして独立開業するのには、大きな抵抗があるでしょう。
あなたは良くても、家族は許してくれないかも知れません。
その場合は(週末)副業FPとして活動を始めてみることをお勧めします。
副業FPであれば会社を辞める必要はなく、またFPとしての技量を試すことも可能です。
時間貸し事務所を契約すれば、月額低料金で好きなときに事務所や会議室を使えますから実際の相談依頼があっても大丈夫です。
FPが主催しているセミナーに参加してFP同士のネットワークを広げたり、週末にブログを更新してネット集客したり会社員を続けながら様々な活動ができます。
ネット集客、オンライン相談であれば、自宅で完結させることも可能です。
ただし、これも注意点があります。
週末の活動だけで家族を養えるほど大きな収益を狙うのは無理がありますから、副業FPは独立系FPの可能性を探るための活動と理解して活動してください。
ごくまれに、副業でも大きく稼ぐ人がいますが、僕の経験上、あまり再現性はないです。そういう人は1日2時間睡眠で全然平気とか、容姿に優れているとか、僕みたいなド一般人には縁のない世界。
でも、真面目にやれば僕みたいな一般人でも、副業でそこそこの収入にはなってきます。
副業FPとして活動してみて独立系FPとして開業の可能性ありだと感じれば、本格的に独立開業するための準備を始めましょう。
FPとして独立開業するための必須知識をまとめてみました。
もちろん必要な知識はまだまだありますのでこの1記事だけでは到底カバーしきれませんが、文中、参考記事もつけておきましたのでそれらも併せてお読みください。
まとめると
独立系FPは今後可能性の高い職業の一つですから、やる気がある人ならチャレンジする価値はあります。
以上、参考にしてください。
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