格差を表す「ジニ係数」の計算方法を知っておこう。

「ジニ係数」は格差を示す指標の一つ、
ということは知っていても、その計算方法は
知らないFPさんも多いのではないでしょうか。

これを知っておけば、もしお客様に聞かれても
すぐに答えられますので、
ちょっと自慢できるかもしれません。笑

目次

ジニ係数とは

今から80年ほど前に、イタリアの統計学者
コッラド・ジニによって考案された所得分配の
不平等さを表すための指数だそうです。
(Wikipedia)

よって、「ジニ係数」と呼ばれています。

ジニ係数の計算方法

ジニ係数を計算する場合に、
よく以下のような図が出てきます。

screenshot

「平成26年 所得再分配調査結果報告書」、厚生労働省より)

ローレンツ曲線とは、所得の低い人順に並べ、
その順に累積所得を計算して全所得に対する割合を
プロットした曲線のことです。

もし、理想的な社会主義のように
全員が同じ所得を得ているとするなら、
ローレンツ曲線はA-Cの直線となります。
(これを均等分布線といいます)

が、実際には所得に格差があるため、
均等分布線よりも下側に沈み込みます。

この、沈み込んだ部分の面積
(均等分布線と実際のローレンツ曲線とが作る
三日月部分の面積のこと)x2が
ジニ係数となります。

もし、格差が極限まで進み、
一人が全ての所得を得て、
残りの人は所得ゼロなら、
三角形ABCの面積となります。
これに2を掛けると面積1ということで、
ジニ係数は1となります。

全く格差がなければ、
ジニ係数はゼロになりますね。

これがジニ係数の正体です。

ただし、三日月部分の面積だけの話ですので、
ローレンツ曲線の形によっては、
格差の在り方にも違いがあると思われます。

例えば、非常に少数の人たちだけが、
非常に低所得のような場合。

これも立派な格差だと思いますが、
この場合のジニ係数はそれほど大きな値にならず、
格差はほとんどないという結論になってしまいます。

なので、ジニ係数だけで議論するのも
注意が必要ですね。

日本の統計データ

日本でこのジニ係数を追いかけているのは厚生労働省で、
3年に1度「所得再分配調査」を行っています。

平成26年の所得再分配調査結果から、
平均当初所得額(税収による再分配の前)は392.6万円で
前回3年前とくらべて3.0%減りました。
ジニ係数は0.5704で、前回比0.0168ポイント増加。

一方、平均再分配所得(税収による再分配後)は
481.9万円で、0.8%減りました。
ジニ係数は0.3759で、前回比0.0032ポイント減少。

つまり、所得再分配後ではジニ係数は低下しており、
実質的な格差は縮小しているといえます。

とはいえ、縮小ポイントが非常に小さい上に、
上で書いたとおりジニ係数だけで判断するのも
よろしくないと思うので、まずは経過観察、
ということが必要かなと思います。

所得再分配の効果

screenshot-1

「平成26年 所得再分配調査結果報告書」、厚生労働省より)

を見ると、再分配前の格差はどんどん広がっている
(ジニ係数が大きくなっている)のに対し、再分配後は
ほぼ横ばいで、0.38程度をキープしています。

そんなに狙ってできることなのか?
とちょっと疑いたくなるような結果ですが、
公表値としてはとりあえずこんな感じみたいです。

Wikiによればジニ係数が0.4を超えてくると
社会情勢が不安定になってくるらしいので、
もしかしたら政府としてもそこを意識しているのかもしれません。

ジニ係数まとめ

ジニ係数についてのお役立ち知識をまとめてみました。

  • ジニ係数は0から1までの数値で、1に近づくほど一般的に格差が広がっているといえる
  • 日本のジニ係数は所得再分配前が約0.57、再分配後は約0.38
  • ジニ係数によれば再分配前の格差は広がり続けているが、再分配後の格差は一定の範囲内に抑えられている

だけでも覚えておけば、お客さんとの話も弾むかもしれません(?)

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