ファイナンシャルプランナーの講師では生きていけない!?

こんにちは。行列のできるFP事務所プロデューサーの林です。

FPの主な収入源は、相談業務、講師・講演、執筆など様々ですが、その中でも、講師として働きたい方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、FPの講師業に興味がある方向けに記事を書いてみました。

FPの講師として、働くことを考えている方の中には、講師専業で働きたい!という方もいれば、FP業務の一つとして挑戦してみたい!という方もいらっしゃると思います。中には、初めて講師の依頼が来て、引き受けるか迷っている方もいるかもしれません。

そこで、以下の流れで順にご紹介していきたいと思います。

  • 一般的なFPの収入源は相談料と講演料(とコミッション)
  • 講師専業で食べていくのは通常難しい。相談に繋げられるかがポイント
  • 年金、老後、相続、女性向けセミナーも盛況
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目次

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一般的なFPの収入源について

それでは、まずFPとして働いている方はどのような業務で収入を得ているのかみていきましょう。以下に、FPの主な収入源について表にまとめてみました。

FPの収入源

相談料
提案書作成料(フィー収入)
相談者から直接得る報酬のこと。
個人面談やライフプラン・提案書作成などを行う。
募集・仲介・販売の手数料
(コミッション収入)
FPが作成したライフプランによって、相談者が不動産や金融商品等を購入した場合に、不動産・保険会社等から得る仲介手数料や紹介手数料のこと。
講演料・講習料 お金に関する講演・FP試験対策やFP研修等の講習を行って得た報酬のこと。
執筆料・監修料 新聞・雑誌のコラムや書籍出版、FP試験テキスト・問題集等の執筆・監修によって得た報酬のこと。
個人・法人顧客顧問料 個人や法人の相談者と顧問契約を締結し、月・年単位で安定して得ることができる収入のこと。

このように、FPの収入源はさまざまあります。まとめると、FPのメインである相談業務(フィー収入、コミッション収入、顧問料)と、講師業務、執筆業務の主な3つが収入源であるといえます。

例えば弊所なら相談料がほぼメインで、コミッションはなし、講演料、執筆料が副収入的にある、という感じですね。

平成23年「ファイナンシャル・プランナー業務調査」によると、売上のあるFP業務は以下のとおりです。この調査では、CFP・AFP資格保有者別に、以下のFP業務で収入を得ているかどうかアンケートを取っています。

日本FP協会「平成23年ファイナンシャル・プランナー業務調査」のデータより著者作成

このアンケートによれば、傾向として、FPの収入は主に相談業務・講師としての仕事から収入を得ている人が大半のようです(図の緑枠)。そして、執筆業務や、相談業務の中でも顧問料の売上がある人は少数派であることが分かります。

しかしCFP認定者に着目してみると、講演料・講師料を得ている割合が7割とかなり多数派であることが分かります。

これは意外で、僕もCFP認定者ですがそれほど講演・講師料で稼いでいるわけではありません。まぁ僕があまり積極的に外に出ていない(出たくない性格)、というのもあるかもしれませんが(汗)。

その他の業務に関しては、相談料や提案書作成料は両者ほぼ変わらず、募集・仲介・販売の手数料はAFP資格保有者の方が若干高い結果となっています。一方、執筆・監修料や個人・法人顧客顧問料に関しては、CFP資格保有者の方がかなり高い割合で得ているようです。

CFP資格は、難易度はFP1級と同水準であり、研修受講や実務経験が必須の資格です。FP関連資格の中では、最難関であり、専門性が高いため、専門知識が必要だと考えられる講師業や執筆業で売上を得ている割合が高くなっていると考えられます。

そう考えると、講師をメインとして仕事をしたい方は、CFPの資格認定を受けると、今後有利になるかもしれません。CFPに認定されたら、CFP検索システムを利用できるようにもなります。CFP検索システムとは、講師業も含めた実績やHPのURL等を掲載することができるシステムであり、集客や講師依頼に繋げることもできます。

ちなみにCFP資格を活用して独立起業に活かす方法については、こちらの記事をご覧ください。

講師業メインではなく、相談業務の傍ら講師業もやってみたいという方は、AFP資格保有者でも4割が売上を得ているので、FP2級程度の知識でも充分やっていけるかもしれません。

とはいえ講師で食っていくのは大変

講師専業を考えているなら、CFP資格取得を、講師業をサブとして考えているなら、AFP資格取得を目指すと良いのではないか、という話をしましたが、あくまでも目安の話であり、当然資格取得をすれば、講師として必ずやっていける!わけではありません。

また、平成23年度業務調査から、FPによるセミナー実施回数・講師料について、次のような結果が出ています。

  有償セミナー実施回数(年間) 1回あたりの講師料 年間収入(単純計算)
平均 21.7回 約3万円 約65万円
中央値 6回 約2万円 約12万円

以下は講師料別FPの割合です。

日本FP協会「平成23年ファイナンシャル・プランナー業務調査」のデータより著者作成

年間収入に関しては、著者が単純計算で出したものであるため、実際の平均年収は変わってくるかもしれません。しかし、傾向として平均約65万円、中央値約12万円程度のため、講師専業で食べている人はかなり少数派、そして専業でやるにはかなり厳しそうだということが分かると思います。

(参考記事)

そして、1回あたりの講師料10万円(全体のわずか6%!)としても、年収217万円。かなり頑張って年間30~50講演実施したとしても、年収300~500万円とやっとサラリーマンと同程度の年収になるので、FPの講師専業の道が険しいのは間違いないでしょう。

講師から相談に繋げられるかがポイント

上記の業務調査結果から、FPの講師専業で食べていくには、なかなか難しそうだということが分かったと思います。

しかし、FP業務の一つとして講師業を行うと考えると、年収が数十万増えるのは嬉しいことだと思います。そして、講師業の良いところは、FP業務の宣伝・集客にも繋げることができること、自分自身のスキルアップ・専門性の向上にも繋がることです。

講演・セミナーは、1回の説明で複数人に対して、自分のお金に関する考え方や人となりを伝えることができる機会でもあります。

そして、その講演・セミナーに参加している人は、ある程度その分野に関心を持っているはずなので、講師として分かりやすく説明したり、考えや人柄をうまく伝えたりすることができれば、参加者の中から個別に相談を受けたいという人も出てくると思います。

こういった宣伝・集客効果もあるため、講演・セミナーを無料で開催しているFPの方もいるほどです

そして、講演・セミナーを実施するには、それなりの専門知識が必要となりますし、大勢の方に向けて分かりやすい説明・伝え方をする必要があります。

下準備に時間がかかるかもしれませんが、講演・セミナーが終わった後は、実施前に比べて知識や伝え方のスキルが格段に上がっているはずです。

また、参加者にアンケートを配布すれば、フィードバックをもらうことができ、次回の改善にもつながります。参加者の興味や考えを知る機会にもなり得ます。今後の相談業務を行う上でのスキルアップにも繋がるので、自己研さんの一つとして、講師業に取り組んでみるのもよいでしょう。

講師業は、FPの相談業務にも、相乗効果をもたらしてくれるため、どちらをメインで行うかは別として、相談業務と講師業を並行して行うことはとてもおススメの働き方です。

評判や実績によって、相談業務と講師業のバランスを考えていくのもよいと思います。実績・経験を積むなかで、評判や知名度が上がれば、講師専業でやっていくこともできるようになるかもしれません。

働き方と講演・講習内容

講師としての働き方

講師としての働き方は、人によって様々です。

独立系FPには該当しないかもしれませんが、大手予備校でFP講座の講師として就職したり、保険会社等の研修講師として雇われて働いたりする道もあります。

独立系FPとして講師業を行っている人は、FP講師として登録しておき、依頼が来たらセミナー・講演を行ったり、会社や大学、専門学校と業務委託契約を結んで時給制でFP講座やセミナーを実施したりという形が多いようです。また、ブログや書籍が宣伝効果となって、講師依頼されることもあるようです。

また、不定期の募集になりますが、日本FP協会からAFP・CFP認定者に対し、パーソナルファイナンス教育インストラクターを募集することもあります。パーソナルファイナンス教育インストラクターは、AFP・CFP認定者を高等学校に派遣し、お金に関する出張授業を行う仕事です。

講演内容

講演・講習内容も各FPの得意分野・専門分野によって多岐にわたります。

働く女性や退職後のライフプランに関するセミナー、公的年金・確定拠出型年金について、相続や認知症に備えた民事信託・成年後見制度について、生命保険の見直し、資産運用や不動産投資に関するセミナーなど多々あります。

近年のライフプランの傾向として、「人生100年時代」を迎えつつあることや、女性の「働き方改革」が進んでいることから、年金や老後の医療費・介護費について、相続・事業承継問題、女性のキャリアプランなどについて関心が高まっており、それに関するセミナー・講座も数多くあります。需要がある分、講師依頼も多いかもしれません。

例えば日本FP協会による調査では以下のような結果が出ています。

日本FP協会「FPを対象としたフィンテック(FinTech)に関する意識・利用状況調査」(平成29年3月)のデータより著者作成

こちらの調査は、CFP・AFP認定者のうち勤務先がFP事務所、税務・会計事務所、士業事務所を対象に行っています。

中でも、税務・会計事務所に勤めている人の回答率が45%となっているため、相続・事業承継の割合が高くなったとも考えられます。ですが、相続・事業承継設計を行っている割合が6割程度とかなり高いので、やはり、傾向として相続・事業承継問題を抱えている人が多いと考えられます。

また、リタイアメントプランニングの相談も3割程度と不動産運用設計よりも高い割合となっています。リタイアメントプランニングとは、定年やリタイアを迎えた後のセカンドライフを送るために必要なお金や準備の仕方について計画を立てることです。平均寿命が伸びて、退職後の人生も20年30年と長くなってきたことから、関心が高い項目なのだと思います。

そのことが、次の調査結果にも反映されています。人生100年時代に備えてライフプランを作成する際に、FPなどのお金の専門家に相談したいことは何かについてアンケートを取った結果となっています。

日本FP協会「世代別比較 くらしとお金に関する調査2018」のデータより著者作成

老後の生活設計に関して相談したい人が6割程度と断トツで多い結果となりました。日本FP協会「世代別比較 くらしとお金に関する調査2018」によれば、世代別に見ると、20~30代では、家計管理や貯蓄方法、子どもの教育費について相談したい割合が高く、年代が上がるにつれて、介護費用や相続について相談したい割合が増えているようです。

また、20~30代では、結婚や子供の出産など働く女性のライフスタイルが変わる時期となっています。以下は働く未婚者に対して、結婚後の生活についてアンケートを取った結果です。

日本FP協会「働く女性のくらしとお金に関する調査2019」のデータより著者作成

結婚後も仕事を続けたいと考える女性は74%と多いものの、結婚後は仕事の量を減らしたいと考える女性は70%程度で、仕事の量を同程度かそれ以上に増やしたいという女性は少数派となりました。

結婚後は、仕事は続けたいが、量は減らしたいと考える女性が多数派のようです。

家事・育児などライフスタイルの変化があるので、それに合わせて、女性がどういう働き方をするか、家庭と仕事の両立のバランスをどのようにとるかなど様々な悩みがあると思います。

近年では、家庭に専念する専業主婦よりも、結婚後も仕事を続ける女性の割合が高くなっているので、働く女性のためのライフプランに関するセミナーの需要も高いように感じます。

実際、僕の集客コンサルのクライアントさん(女性FP)で、女性向けセミナー(ライフプランや家計管理)で集客されている方もいます。比較的盛況で、セミナーから個別のライフプラン相談(有償)につながることもあるので、女性向けセミナーは需要と見込みがあります。

FPの講師業についてまとめ

今回は、FPの講師業に着目してみました。

FP講師のみで食べていくことは、大手予備校や企業に就職しない限り、厳しいかもしれませんが、相談業務の傍ら講師業を行うことは相乗効果があり、おすすめの働き方です。

講演・セミナー内容については、自分の得意分野・専門分野や、最近のセミナー需要に合わせて、開催していくと良いと思います。

講師業は、宣伝・集客効果があるだけではなく、FPとしてのスキルアップ・実績にもつながるので、やって損はない仕事ですね。

講師の依頼が来て受けてみようか迷っている方や、講師の仕事に興味があるけど挑戦するか考えている方は、一歩踏み出してみると、新たな道が開けるかもしれません。ぜひ積極的に取り組んでみてください。

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