こんにちは。行列FPの林です。
2020年9月に厚労省が発信している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました。このガイドラインを手がかりに、最近の副業兼業の動向と、副業兼業のメリットや注意点についてまとめてみました。
この記事は
といった方が対象です。
目次
によれば、原則副業兼業は解禁していく流れとなっています。例えばモデル就業規則において「労働者 は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と記載されています。また裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当とも記されています。これは判例で「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由」とされていることを踏まえたものです。
このように副業兼業は拡がっていくことがほぼ確定していますが、いまだ大半の企業が「副業禁止」のままです。そのため今は専業から副業にいたる過渡期と言えるでしょう。
実はこうした過渡期にこそ、大きなチャンスがあります。特にこの記事をお読みのあなたはFPだと思いますが、FPが副業を実践することで一石二鳥のアドバンテージを得られます。
なぜなら、FPというスキルを活かして低リスクの副業を始めやすいというのと、あなたが実際に副業を実践、経験した知識やスキルを活かして、今後拡がっていく「副業希望者」へ副業のノウハウを教えることもできるからです。
そう考えれば、副業のメリットが大きいことが理解できますよね。逆に副業を経験したことのないFPはクライアントから副業の相談をされても、うまく対処できません。副業をしないことによるリスクもありますので、やらない理由がないのです。
では副業から得られる4つのメリットについて見ていきましょう。これはガイドラインで示されていたものを僕が要約したものです。
副業禁止の時代、キャリア形成は一種の「賭け」でした。会社というのは入ってみなければ分からないのに、「これはダメだ」と分かったところでそのときには既に元の会社に戻れないからです。まるで清水の舞台から飛び降りるがごとく、リスクも、心理的負担も甚大なものでした。
しかし副業兼業でその心配が緩和されます。今の会社に勤めながら、新しい会社や仕事を経験することができるからです。ある意味「お試し」のような意味合いがあるといえるでしょう。適正を見極めた上で次に移ることができるならそれは大きなアドバンテージです。
また、現時点で独立や転職まで考えなくとも、副業自体がキャリアになりえます。定年退職まで副業で実績を積み、退職後に副業経験を活かして独立起業する、というのは十分現実的な選択肢です。実際、僕の相談者やコンサル生さんにもそのような方がおられます。
本当にこれは大きなメリットですね。
この話はベーシックインカムにも通じるところですが、本業の所得がある分、副業で嫌な仕事をする必要はない、ということです。ボランティアや、非常に低い収入であっても、「それをやりたい!」という強い思いがあるなら、副業ならそれが可能だということですね。
実は今後数十年のスパンで考えると、いわゆる「お金を稼ぐビジネス」というものが衰退していくとの面白い考えもあります。副業がその一旦を担うなら、とてもおもしろいとは思いませんか。
ビジネスの将来については本記事の範疇を越えますので、こちらの本を参考にしてみてください。
ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す(山口周)
これは当たり前の話なのですね。ただ、人生100年時代にあって収入を増やす手段があるというのはとても大きな意味があります。
もし、あなたの会社が副業を禁止しているなら、それはおおいなる「機会損失」です。その機会損失の分、給与を減らしてみましょう。いかに不利な状況で戦っているかを想像することができるでしょう。
これは1番目と2番目のメリットを足したような話になります。本業で収入がある分、収入に関して心配する必要がありません。その状態で副業による転職や起業を考えられるのは、当然リスクが低いといえますね。
僕のところにはよく「FPで独立したい」という方からの相談があるのですが、もし本業があるなら、その本業を辞めずにまずは副業から始めてください、と必ずお伝えしています。
副業兼業についてメリットは理解できたかと思います。では次にあなたが副業を始める際の注意点についてお話しますね。
ガイドラインには「副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったこと により不利益な取扱いをすることはできない」とありますので、副業禁止でない限り、安心して会社に相談、申告しましょう。
逆にこれが守れない会社に居てはいけないと思います。ほんの10年ほど前までは「副業なんて頭のおかしいやつがやることだ」という社会全体の空気があったように思いますが、今ではもうそんなものはありません。
いや、そういう会社もまだあるのかもしれませんが、あるとしたらそれは大きなリスクであり、その会社にいることがあなたのためになりません。先程もお話したとおり、副業兼業はあなたのキャリアを主体的に形成するための貴重な機会です。企業側にリストラなど社員の生殺与奪の権利を保留しながら、かつ社員からキャリア形成の機会を奪うなら、それはもう「小さな独裁社会」といって過言ではありません。昭和時代のように定年退職まで必ず面倒を見るという保証があるならそれもアリでしたが、今はもうそれはないはずです。だとしたら副業兼業の権利ぐらいは認めるべきでしょう。
というのは個人的な考えではありますが、大きく間違ってはないはずです。
なので、意識の高い方からどんどん副業にチャレンジしましょう!
労働者側に課せられた義務がありますので、それらは守るようにしましょう。例えば副業が自由だからといって、会社の営業秘密を他社に漏らせば当然罰則対象となります。
判例で副業の時間を持つことが正当化されているとはいえ、会社の外なら何をやってもいいということにはなりませんのでそこは注意が必要になります。
副業兼業となるとトータルの労働時間管理が複雑になりがちです。なので、企業側も時間管理しますが、基本的に副業兼業の労働時間管理は自己管理責任だと思ってください。
労働基準法には詳しくないですが、残業は単月100時間未満、複数月平均80時間以内というルールがありますので、その範囲内で副業兼業を行ってください。
ただし、フリーランスや起業(自営)の場合は管理時間に含まないとされています。ただ、物理的には仕事してますから、事実上の長時間労働を避けるため、報告を受けることが望ましいとされています。
副業兼業で得た収入の課税関係を把握し、税務処理をしないといけません。雑所得であれば20万円まで国税の申告不要とされていますが、住民税は別です。
20万円を超える場合やその他の所得区分での収入の場合は、確定申告が必要になる場合がありますので法律に従って申告しましょう。面倒くさいと思いがちですが、将来独立起業を考えているなら、必須の知識になります。働きながらこれらの知識が「実務で」得られると考えれば、貴重な機会だと言えますね。
副業兼業での税に関する話はこちらの記事でもしていますので、参考にしてください。
なおガイドラインにも以下の留意点が記載されていましたので、抜粋、要約しておきますね(一部繰り返しになります)。
規則を守るというのも大事ですが、個人的にはやはり「健康管理」が重要だと思います。どれだけ規則を守ったところで健康を害してしまったら本末転倒ですし、どんなにどん底に陥っても健康であれば這い上がっていくことができます。
ガイドラインでは企業側のメリットと留意点についても記載されていましたので簡単に触れておきます。
一方留意点は、必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘 密保持義務、競業避止義務をどう確保するかという懸念への対応が必要、ということが指摘されていました。
確かに企業側としても社内では得られない知識やスキル、経験を「社員が」獲得してくれるのは大きなメリットです。しかも副業ですから研修費などのコストをかけずに習得してくれるのでありがたいですよね。
厚労省のガイドラインを紐解きながら、副業兼業のトレンドと個人が副業兼業を始める際のメリットや留意点についてお話しました。
まとめると、まずトレンドについて
だといえます。次に副業兼業を始めるメリットですが
でした。副業兼業を始める際の留意点として
がありますので、しっかりと守った上で、副業兼業を進めていきましょう。
副業兼業に取り組むと、もちろん自己責任は増えますが、キャリア形成の大きなチャンスにもなります。収入を増やせるとともに、あなたの人生を「主体的、能動的に」切り開く大きな力になります。
そのうちに…といってたら、いつまでたっても動けません(いままでそういっていたもののうち、実現したことはありますか?)。
未来のあなたのために今、動きましょう。
間違いなく今日があなたにとってベストな日ですからね!
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