先日のことですが
某SNSでこんな
やりとりがありまして。
僕: 宅配便の日付指定せずに、発注日をずらせばいいじゃん!
Aさん: いや、仕事なんだから気にせず受け取りたい日を指定すべき。
Bさん: 日付するのはダメですか?
とまぁ、宅配便の日付指定のネタなんですが…
最近、宅配ドライバーの人材不足とか
過剰労働の現場の報道とかがあって
配送の現場が大変なのはご存知の通り。
たしかにAさんが仰る通り
宅配業者は「指定日時に届けます」
というサービスをしているので
それを提供している以上、契約なんだから
気にせず利用すればいいというのは
正論です。
でもそれはあくまでも
「資本主義上」の
正論ですね。
例えばこう考えてはどうでしょう。
誰でもいいですが、あなたの大切な人を
一人思い浮かべてください。
奥さんや旦那さん、
娘さんや息子さん。
ご両親でもいいですし、
あなたの大切なお友達でもいいです。
思い浮かべられましたか?
◯◯さん、◯◯君、◯◯ちゃんが
今あなたの目の前に居ます。
では次に、その人が宅配現場で
頑張っている姿を想像してみてください。
汗水流しながら朝から晩まで
ひたすら荷物を送り届ける。
嫌な顔をされようと
ベルを押してもなかなか出てこなくても
仕事ですから辛抱し続けなければいけません。
交通事情が悪ければ約束の時間に届けられず
再配送となってしまいます。
精一杯やっていても、ときおり
クレームが来ることもあるでしょう。
そんなときは、やりきれない思いで
いっぱいになります。
携帯電話を持たされていますから
ベルが鳴るたびにクレームではないかと
怯えています。
ようやく配送が終わりセンターに戻ったら
今度は山のような残務に追われ
眠たい目をこすりながら必死で終わらせた時には
既に夜中の11時を過ぎています。
朝早くからほとんど息付くヒマもなく
働き詰めなので頭もボーっとしてて
帰ってやることはただただ寝るだけ。
昼間のクレームや
配送ミスで上司に怒られたことや
疲れきった体のストレスが重なって
眠たいけど眠りが浅い
睡眠障害の一歩手前。
朝起きても疲れは抜けきれず
最悪のコンディションで今日も1日
大量のノルマをこなす憂鬱な毎日が始まる…
あなたの大切な人が、
こんなギリギリの状況で毎日頑張っていたら
あなたはその人にどういう言葉を掛けますか。
もちろん顧客としての立場と
親族、友人としての立場は違います。
ですので冒頭のAさんが非難されることも
ありません。
「これは現場のマネジメントに問題がある」
として感情論を一蹴する人も
もしかしたら多いかもしれませんね。
それも正論ですから
反論の余地は少ないでしょう。
でもそういう正論にこだわる人ほど
FPとしては「危険」ですよ。
僕は正論があるのは承知の上で
「あえて」こういう話を
しているんですね。
なぜだと思いますか?
答えを出す前に
ほんの数秒間でいいので
FPとして考えてみてください。
………
……
…
考えましたか?
あなたに
「時代の空気」
を感じて欲しいからです。
結論から言えば
「みな資本主義による疎外感を感じていて
多かれ少なかれ心が傷ついている」
ということ。
資本主義の象徴であるお金を扱う我々FPが
このことに気付かずしてどうしますか。
我々FPが出来ることは
そうした人々に少しでも
寄り添うことでしょう。
冒頭の例でいえばAさんに非はありません。
当たり前ですよね。
正当にサービスを利用しているだけなので。
でもだからこそ、現場の傷は深い。
「正論が人を傷つける」のです。
これは良い、悪いという
単純な二元論ではありません。
正論は正論ですからそれを発する事自体
何の問題も無いですからね。
ですから現象として起きている「事実」を
ありのままとらえてみてください。
これをやるためには自分の中のフィルタ(価値観)を
一旦オフにして情報をありのまま
インプットする必要があります。
(この手法を哲学用語で「エポケー」と言います)
FPとしての技量は
そこに気付けるかどうかではないかと
最近ふと思うのです。
単に数字を集めて計算すればいいだけなら
流行りのAIを持ち出すまでもなく
Excelだけで十分でしょうからね。
それだけならFPの出番なんて微塵もありません。
我々FPが存在する価値があるのは
数字の整合性や、正しい、正しくないといった
価値観を超越し、心の共感を伴う
「超リアリスト」だからです。
そう、僕は考えています。
しっかり顧客の心を
汲み取ることが出来るFPなら
食いっぱぐれる可能性も低いでしょう。
だってみんな傷ついているわけですから。
需要は無尽蔵にある、というわけです。
顧客に寄り添い、たとえ契約期間中だけであっても
「大切な親や子ども」「大切な友人」として
接することができるFPなら、どう考えたって
絶大な信頼が得られます。
まぁもちろん整合性とか数字とか
そういったものも大切ですよね。
でも最近僕は、それも「手段の一つ」に
過ぎないのではないかと考えています。
数字は顧客の心を良い方に向けるための
道具なのではと思いますね。
あくまでも「顧客の心」が
中心にあるという考えです。
「でも顧客の心に寄り添えばいいと言っても
実際どうすればいいの?」
と不安に思われるかもしれませんね。
確かに、相手が自分の子どもとかならともかく
初対面の顧客の心に寄り添っていくには
相応のスキルが必要になります。
こればかりは経験値が必要なので
実務を通して学んでいくしか
ないのでしょう。
まだ顧客がいない、少ないという方は
顧客を増やしていくことから
始めないといけません。
ただしここに一つ大きな
顧客を集めるのが先か
スキルを高めるのが先か
という鶏と卵の問題があります。
多くの顧客と接することで共感のスキルが磨かれるとしても
スキルがなければ普通は顧客も集まりにくいわけです。
まぁ、顧客を集めること自体は
ネット集客を使えば実績ゼロでも
十分可能です。
まずは集客をしっかりできるようになることが
成功への近道ですね。
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