こんにちは!行列FPの林です。
昨年開催されたG20で「G20福岡ポリシー・プライオリティ」と呼ばれる資料が作成されましたが、その中で、ファイナンシャル・プランニング(FP)の重要性について記されています。
どんな内容なのか、今後FPにとってどんな影響があるのか、みていきましょう!
目次
2019年11月に日本でG20 首脳会談が開催されました。みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか?G20とは「Group of Twenty」の略称で、先進国に新興国を加えた20か国で行う首脳会談です。日本をはじめアメリカやフランス、中国などが参加しています。
今回のG20 首脳会談では大阪市で首脳会談をした後、さらに福岡市を含む8都市で関係閣僚会議が開かれました。G20 首脳会談では世界の経済や金融について議論する場であり、さらに新型ウイルス(今まさに、コロナウィルスが猛威を奮っていますね…)や、温暖化、テロなどについても議論されます。そんなG20 福岡で議題として上がったのが「高齢化」でした。高齢化は日本だけではなく国際社会全体としての課題となっているのです。
こちらのグラフをご覧ください。
国際連合経済社会局「World Population Prospects 2019」より著者作成
60歳以上の高齢者の人口は年々凄まじい勢いで増えていき、2030年には10億人を超え、さらに2050年には15億人を突破してしまいます。
G20福岡 では世界で急速に進行する高齢化に向け「高齢化と金融包摂のためのG20 福岡ポリシー・プライオリティ〜よりよい将来を描くために」という資料が用意されました。その中の1つに「生涯にわたるファイナンシャルプランニングをサポートしよう」と書かれており、G20 でFPの重要性が議題として上がったのです。
(以下引用)
生涯にわたるファイナンシャルプランニングをサポートしよう
(中略)
高齢化と金融包摂のためのG20
福岡ポリシー・プライオリティ(PDF)より抜粋
https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20190606/jpnfukuoka.pdf
(引用ここまで)
多くの人が十分な貯蓄のないまま高齢期を迎えるため、生活資金や長期介護の費用をどうするのかなどです。年金の取得率は国によって大きな差があり、さらに女性の場合は男性より保障額が少ない傾向にあります。
そのため高齢者が日々の生活資金に苦労し、万一の治療代や介護費用が出せないという状況が起こります。その結果足りないお金を補うためにお金を借りたり、家族や社会の支援に頼ることになってしまいます。それが経済的なストレスや精神的な負担となっていくリスクがあります。
そういった社会の中で生涯にわたるファイナンシャルプランニングは、まさに世界の高齢期に最も必要とされる金融ニーズなのです。
それではそんな高齢化社会へと進む世界で、ファイナンシャルプランナーはどのような活動を行うことができるでしょうか?特に日本でも話題になっている「人生100年時代」「老後2000万円問題」を見ながらファイナンシャルランナーの今後の活躍の可能性について考えてみます。
まず「人生100年時代」というのは現代の長生きの人生を表しています。仕事を退職するのは一般的に60歳、そこから老後に突入します。そして100歳まで生きる時代になったということは、40年間も老後が続くというわけです。
ちなみに「人生100年なんて、ただの空想じゃね?」と思ってませんか?いえ、それが全然そうでもないのです。例えばこちらの図を御覧ください。
厚生労働省HP 第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料より著者作成
(2020年1月15日アクセス)
図は平成28年のデータですが、10年前(平成18年)の平均寿命は男性79歳、女性85.81歳でした。この10年で男性は約2歳、女性も1.3歳ほど伸びています。これを65歳+平均余命で考えると、男性はさらに約4歳、女性は約2歳追加になります。
そう考えると、あと30年ほどで単純計算で65歳男性の平均余命年齢は90歳を超え、女性も93歳ぐらいになってくると想定されます。これは「平均」の話ですから、当然それより長生きの方もいます。今後20年、30年で、100歳を超える人がどんどん増えるのは間違いないでしょう。いま、40代、50代の方であれば、20年、30年後に老後に入りますので、まさに「今」から考えるべき問題じゃないでしょうか。
少なくともFPであれば、事の重大さは理解できるはずです。
ではこの人生100年時代を想定し、退職してから100歳までの40年間どうやって収入を得ればいいのでしょうか?
1番に思いつくのは公的年金ですが、公的年金だけで40年間の生活費を賄える人はマレで、多くの人は退職をするまでの貯金・貯蓄が大切になります。医療が発達し長生きができるようになった一方、長く生きるということはそれだけずっとお金が必要ということです。
そこで100年の人生を設計するために力になれるのがファイナンシャルプランナーです。
まだまだ若い世代の方も、老後をもう少しで迎えるという方もFPが一緒になって人生設計のお手伝いをすることができます。金融資産の計算や、老後に向けて必要な保険、不要な保険についての相談など、人生100年時代だからこそプロによる確かなライフシミュレーションやアドバイスを行う時がきているといえるでしょう。
続いて「老後2000万円問題」でFPがどのように活躍するのかをご紹介します。老後2000万円問題とは、公的年金以外の老後資金として1,300〜2,000万円が必要だとニュースで報じられて一躍話題となりました。退職金等でまとまった収入を得ることできるかもしれませんが、それでも現状では2000万円には到底及ばない人の方が多いでしょう。
そのためには老後に突入する前に多くの貯金・貯蓄をする必要がでてきます。しかしどうやって貯金・貯蓄をしたら良いかわからない方はとても多く、そんな時ファイナンシャルプランナーが手助けをします。「節約しているつもりなのに一向にお金が増えない」「ローンの返済がうまくいかない」「保険料が高いのか安いのかわからない」のいったケースの場合、ファイナンシャルプランナーが役に立つチャンスです。
このようにFPは日常生活の些細な悩みに寄り添うことで、そこから節約や上手なローンの返済方法を考えて、老後資金に向けた貯金・貯蓄作りのお手伝いができます。またうまく資産運用をすることができるようになれば、老後だけではなく今から人生を豊かにすることができます。
高齢化が進み、人生設計が複雑になるこれからの時代にファイナンシャルプランナー(FP)は必要不可欠な存在となるでしょう。
世界が高齢化社会へと進み、日本でも深刻な高齢化問題が取り沙汰されている中FPが注目を浴びています。2019年に日本で開かれたG20でも高齢化とファイナンシャルプランニングが議題になりました。「人生100年」「老後資金2000万円」の時代はお金のプロであるファイナンシャルプランナーが活躍するべき時代ともいえるでしょう。
このような中、FPに求められる役割は極めて重要です。今後、特に必要とされるFPは「一緒に寄り添って課題の解決を手伝うFP」だと僕は思っています。コーチングやコンサルティングがメインになるということですね。
耳障りのいいこと、あるいは怖いことを言って、なんだかんだと金融商品を売りつけるのがFPの役割ではありません。それは金融セールスがやればいいことで、プランナーの仕事ではないでしょう。やってもいいですが、あくまでもそれは補助に過ぎません。
ファイナンシャルプランナーとして活動している人は、これからの時代ますます必要とされます。「高齢化」「老後資金」という時代にあったニーズをつかみながら、喜ばれるFPになりたいですね!
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