こんにちは。行列のできるFP事務所プロデューサーの林です。
これから、FPとして独立しようとするのは、難易度の高いチャレンジのように見えますよね。しかし、世に成功しているFPがいることも事実であり、失敗のリスクを潰して、着実に一歩一歩目標に向かって歩いて行けば、独立FPとして活躍する確率を上げることもできます。
そのリスクを減らしていくために、今回は独立FPが失敗に陥る原因の一つである「時間切れ」について書いてみました。
目次
「時間切れ」とは、少しずつ時間がなくなり、成功までの時間が足りなくなってしまうことです。お金が足りなければ最悪借りればいいし、稼げばいい話ですが、既になくなった時間は挽回できません。これが起業、開業における「最大の失敗」なんです。
時間を買うこともできますが、それは将来の時間を「短縮する」効果はありますが、過去の時間を取り戻してはくれません。仮にあなたが40歳で、1年無駄に過ごせば、その40歳は二度と戻ってきません。寿命が一緒だとすれば、残された時間は確実に1年、減ったわけです。
なぜこんなことを言うかというと…僕自身が、独立当初、失敗したからです。幸い時間切れにはならなかったですが、最初は「お金」の節約を意識しすぎて時間を浪費してしまい、稼ぎ始めるまでに必要以上の時間がかかってしまったことは否めません。
後ほど詳しく、失敗に陥りやすいFPの特徴や対策をお話しますが、当初は僕がこの「失敗に陥りやすいケチなFP」になっていました。
今だからお話できますが(笑)、例えば僕の開業初年度の経費は、通信費18万円、消耗品費13万円、その他もろもろ合わせて59万円。経費でこの金額は正直、本当に必要最小限しか出していません。考えてみてほしいんですが、生活費で年間300万円、400万円ぐらいは普通につかいますよね?普通に生活しててそれなのに、ビジネス経費で50万円代、月4万円ぐらいですから「めっちゃ少な!」って感じです。小遣いじゃないんですから…(笑)
で、結果売上が20万円とか。お話になりません。
実際、3年目にようやくその失敗に気づき、研修教育や外注費などの経費を戦略的に増やして年100万円に増やしたら売上がドンと増えて450万円を超えました。
100万円も!?って思うかもしれませんが、経営者視点から見れば、大した金額でないことはすぐに理解できます。というのも、小さな事務所を一つ借りるだけで、賃料年100万円(月8万円)ぐらいはすぐにいきます。だったら、事務所を借りたつもりでもっと有益な部分にお金をつぎ込めばいいわけですからね。
というわけで起業当初に必須の知識やノウハウをすばやく学ぶための教育研修費や、貴重な時間と労力を買う外注費をケチってしまい、ずいぶん無駄に遠回りしてしまいました…。最初からきちんとお金を出して学べば、恐らく最低1年は、時間を短縮できたはずです。
月の売上が50万円としても、半年遅れたらで300万円の機会損失になります。ノウハウを学んでたった半年短縮するだけに、30万円、50万円出しても全然安いということが理解できますね。
損して得取れ、ということです。これがサラリーマンと起業家(経営者)との根本的な違いです。
でも当時の僕は起業初心者で「経営者としての金銭感覚」が残念ながらありませんでした。だから失敗してしまったのです。
起業・開業の場合は時間との戦いという面が強く、「時間を節約する」という意識が欠かせません。時間を節約するためにお金を投入することは成功の必須条件ともいえるのです。
一人で独立、開業すると、この「時間の大切さ」を見落としがちです。なぜなら、一人になったとたん「一見すると時間が余った状態」になるからです。さらに独立当初は収入がゼロになるため、「お金>>時間」という錯覚に陥ります。これが起業当初の「罠」ですね。
お金の消費を恐れすぎて、起業準備に必要以上の時間をかけてしまったり、使うべきお金を使わなかったりということになると、稼ぎ始めるまでに時間がかかりすぎたり、せっかく訪れたチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
というのは、ビジネスの成長というのは指数関数的だからです。
これはFPでなくとも理解できると思いますが、勢いのあるビジネスというのはお金も人も、どんどん集まってきます。その結果、勢いのあるビジネスはさらに加速度的に成長していきますね。
これはFPビジネスでも同じ話で、知識やビジネスに投資をせず、ゆっくり成長させようと思っても逆に難しいわけです。そうこうしているうちに、時間切れになってしまう可能性がどんどん高まってしまいます。
これから独立、起業するFPさんは、僕みたいな余計な失敗をしなくて済むよう、この記事で学んでくださいね。
では次に「時間切れ」になりやすい人の特徴についてまとめてみます。当てはまると感じた人は、注意して、自分の行動を変えていきましょう。
真面目であることはいいことです。
独立系FPとして活躍するためには、お客様からの信頼が第一であるため、真面目で誠実であることに越したことはありません。逆に、約束を守らなかったり、お客様のニーズに応えようとしなかったりするFPは嫌ですよね。
しかし、その真面目さが時に仇になってしまいます。
例えば、何でもかんでも「自分で」PDCAして乗り越えようとするFPがいます。
PDCAとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返して試行錯誤し、最終目標を達成する、ビジネスや仕事における基本的な考え方のことです。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
PDCAを回すこと自体は特に問題ないですし、いいことですが、「PDCAは自分ひとりで回すもの」という先入観があると危険です。PDCAは複数人で回してもいいし、あるいは他人にゆだねて、あなたはマネジメントだけ行うという選択肢も忘れないでください。
起業の際に活用するには、確定要素が多い場面で利用するか、起業に成功した人や独立系FPとして活躍している人の起業のやり方をロールモデルにしてPlan(計画)を立てることをお勧めします。
「タイムイズマネー(時は金なり)」ということわざはよく聞きますよね。
経費を使おうとせず、お金より自分の時間を使ってしまうFPは、「時間切れ」に陥りやすいです。僕は起業してからというもの、タイムイズマネーどころか、タイムイズバリューザンマネー(時は金よりも価値がある)と感じています。
もちろん、お金の節約が必要な場面もあります。ですが、そのお金の節約をするために、どれくらいの時間がかかるか?かかる時間を踏まえて、効果的な節約なのか?を検討することが大切です。
お金は稼げばいいですが、過ぎた時間を取り戻すことはできません。明らかに、お金よりも時間のほうが貴重な資源なのです。なので、起業家はお金を節約するのではなく、時間を節約しましょう。
あなたが本当にFP、つまりお金の専門家であると自負するなら、以下の話はすぐに理解できるはずです。
例えば時間をお金で買うという考えで、アルバイトやパートで時給いくらというのは、その人たちの時間をお金で買って、労働力を提供してもらっているということです。
身近な例でいえば、家事代行サービスを1時間2000円で頼んだとすると、本来家事をしていたはずの時間が浮いて自由な時間になりますよね。つまり、単純に考えると、自分の時間を2000円で買ったのと同じです。
自分の過ごすその1時間には、2000円の価値があるのです。時間自体は伸ばすことも縮めることもできませんが、時間の使い方・過ごし方は変えられます。その時間で2000円以上の価値がある時間を過ごす意識、時間を有意義に使おうという意識を持つことが成功するために必要です。
失敗というのは貴重な学びと価値の宝庫です。そこから学ぼうとしなければ、知識もノウハウもスキルも伸びず、効率よく成長できません。
当たり前の話ですが、独立開業したての起業初心者は、失敗だらけです。しかしそれは悪いことではなく、むしろ貴重な学びの場として受け入れ、成長していきましょう。
最悪なのは他人の失敗から学ぼうとせず、さらには自分の失敗からも学ばず、あろうことか失敗を避けようとさえすることです。この状態になってしまうと全く学べませんから、成長の機会はゼロになってしまい、あとは時間切れを待つだけになってしまいます。
失敗したくないという気持ちはもちろん分かりますが、そうであれば他人の失敗から学ぶ、すなわち知識やノウハウを貪欲に買って学びましょう。そうすれば少なくとも他人がした失敗をあなたがもう一度する必要がなくなるので、大幅な時間短縮につながります。
それでは、「時間切れ」に陥りやすいFPの特徴が分かったところで、この特徴に当てはまる人も、当てはまらない人も、「時間切れ」の失敗をしないためにどうすればいいか?考えられる解決策について書いてみました。
起業するのであれば、まず、「時間を作る」ことが必要です。そもそも使える時間がなければ、話にならないからです。
中には、仕事や家事が忙しく、なかなか起業の準備が進まない人もいるかもしれません。そんな人も、まずは“朝30分は必ず起業準備に充てる”など、明確にやる時間を決めて確保しましょう。案外、まとまった時間にだらだらやるよりも、決めた時間内でやる方が捗ります。
時間もお金と同様に貴重なものであり、時間をかければかけるほどコストもかかっているという意識を持って、行動していきましょう。
まずは、起業にかかるお金を見積もりましょう。
その上で、生活費と経費を分けて考え、経費は「時間を買う」ためにどんどん使い、稼げるようになるまで生活費は必要最小限にしましょう。
起業するためには、資金計画を立てることが必要です。
開業資金には、開業準備資金と運転資金があります。
開業準備資金とは、設備や備品を整えるための初期費用であり、運転資金とは、事業を継続していくために必要な経費のことです。
開業資金と生活費の具体例を表にまとめました。
自宅で開業するか事務所を構えるかによって、開業資金にかかる費用は大きく異なってきます。以下の表を参考に、起業に必要な資金や、毎月の生活費を把握し、資金計画を立ててみてください。
FPで独立する場合、事務所経費を除けば開業、運転資金ともそれほどかかりません。基本的にコンサルタント(相談)業なので、仕入れと言っても「知識」の仕入れになります。もちろん知識の仕入れ値はピンキリなので一概にはいえないのですが、起業初年度から何百万円や一千万円もかかる話にはなりません。場合によりますが、僕の経験からいえば在宅起業のFPの場合、初年度は最低でも70万円から、100万円ぐらいを見込んでおけばOKでしょう。これは他のタイプの起業に比べれば破格ですね。
それに加えて、生活費を最低半年分、余裕を見て1年分を確保しておくとよいでしょう。必ず1年かかるという意味ではなく、それだけの貯蓄があれば焦らずにすみますし、その方が成功する確率も高くなるからです。
開業準備資金 | |
・パソコンや周辺機器の購入費 ・HP作成や広告への掲載費用 (以下は自宅開業であれば不要) ・事務所を借りるための保証金や仲介手数料 ・内装・外装費、設備を整えるための工事費や購入費 | |
運転資金(経費) | 生活費 |
・勉強のための書籍代やセミナーの参加費 (以下は自宅開業であれば不要) ・事務所の毎月の家賃 ・電気・ガス・水道の利用料 | 家賃、各種保険料 水道光熱費、通信費 食費、教育費、服飾費、娯楽費 その他費用 |
なお開業資金や運転資金は一部補助金等を使って賄うことも可能です。個別の補助金の話を始めると長くなりすぎるので別の機会にお話しようと思いますが、そういう手段もあるということは知識として覚えておいてください。
上記の表にも、経費と生活費に分けて書きましたが、生活費の中にも、仕事で使った場合は、経費として計上できる項目があります。
例えば、紙やボールペンなどの消耗品費、お客様や関係者との打ち合わせのための交通費、通信費なども経費となります。自宅開業の場合だと、家賃や電気料金も経費にできる場合があります。
独立FPは、個人事業主であるので、経費に当たるかどうかもしっかり判断しないといけません。経費と生活費に分けたうえで、経費はどんどん使い、生活費は必要最小限にしましょう。以下に、経費の使い方と生活費の節約の方法について、説明していこうと思います。
経費の使い方の一つとしては、自己投資にお金をかけるとよいでしょう。
勉強には、お金がかかります。書籍代も1冊1000~2000円かかりますし、セミナーや交流会も数千円~数万円かかることもあります。しかし、ここはしっかりお金をかけるべきところです。開業初年度は、これらも含めて余裕を見て100万円ほどの経費を見込んでおいてください(事務所賃貸料別)。50万円ぐらいでもなんとかなりますが、冒頭でお話したとおり成長速度が遅くなって結果として損をします。
FPに必要な知識は、とても幅広いです。広範囲の知識がないと、重要な問題を見逃しかねないので、ひと通りの基本知識を頭に入れておく必要があります。そして、FPとして生き残るためには、幅広い知識に加えて、自分の専門分野を極めていくことが大切です。
しかし、実務上は、自分の力のみではカバーできない部分もあるため、他の専門家と連携して、問題解決していくことが、信頼されるFPになるコツです。
知識の向上と人脈作りは、仕事に直結するといっても過言ではありません。無料で手に入れることは難しいので、ぜひ勉強会やセミナー、交流会にも積極的に参加していってください。
FPに必要な知識は主に以下の通りです。
それぞれ以下に簡単に説明してみました。
ぜひ、自分の身に付ける知識や、他の専門家との交流時の参考にしてみてください。
お客様の相談に乗る上で、ライフイベント表やキャッシュフロー表の作成は欠かせません。
ライフイベント表とは、相談者本人と家族のライフプランを年齢ごとに時系列に表にしたもののことです。入学、就職、結婚、介護などの人生のイベントを分かりやすくまとめます。
キャッシュフロー表とは、収入と支出によるお金の流れが、ライフステージごとにどのような状態になるのか把握して、分析できる表のことです。
具体的には、現在の給料や年金額などの「収入」と、生活費、住宅ローン費、教育費、老後資金などの「支出」を把握して、数値を入力し、将来どういう家計状態になるか予測することができます。
これらの表から浮かび上がった家計の問題について、解決策やより効果的な資産運用方法などについて提案していきます。
このように、相談を受ける上で大切な基礎資料にもなるのが、ライフイベント表・キャッシュフロー表です。これらの表の作り方や、数値をデータ分析するための知識が必要となります。
資産運用計画を立てるにあたり、必要になる知識です。
具体的には、預金、債券、株式、外貨建て商品などの各金融商品の特徴や利用方法の知識が必要となってきます。
不動産関連の専門家の協力も必要な分野です。
FPとしても、不動産の見方や関連する法律、ローンや有効活用方法などの基礎知識が必要となります。
日本では、家計に占める教育費の割合が非常に高くなっています。
莫大な出費に備え、計画的に貯蓄していく必要がありますが、そのために教育資金の知識が必要です。必要額の見積もり方法や、学資保険、教育ローンなどの知識が役に立つでしょう。
平均寿命も伸びてきているため、老後生活も平均20~30年と長くなる傾向にあります。
老後資金の見積もり方法や、退職金、公的年金や企業年金、個人年金に関する知識が必要です。
病気や不慮の事故、不景気などによって収入が減ったり、思いがけない出費が発生したりすることもあります。そのようなリスクに経済面で備えるために、リスク額の算定方法、生命・損害保険の商品内容と利用方法などの知識を身に付ける必要があります。
これらの分野は、税理士や司法書士、弁護士と連携して業務が進められることが多いです。
特に税務相談や税金申告、納税業務は税理士の独占業務ですので、FPが行うことはできません。しかし、所得税・住民税・法人税の知識や節税の知識、相続に関する法律や遺言の仕方、相続対策としての保険・不動産の利用法などの知識は最低限身に付けておきましょう。
相続発生に伴う不動産登記業務などは司法書士と連携しながら、スムーズに代行すると喜ばれます。
お客様が個人か法人かによっても、資金の調達方法は当然変わってきます。
ローンを組むにしても、その上手な利用方法を知っている必要があります。
そのため、個人ローンの利用基準や、法人であれば、銀行などの金融機関からの資金調達方法や、株式発行による資金調達方法などの知識を学びましょう。
定期的にニュースや新聞を見て、景気の動きや、財政・金融政策、外国為替相場の動きなどに関する知識を得たり、金融機関や金利の種類と特徴について調べたりしておきます。
プラン作成・分析にパソコンのソフトを使ったり、集客や告知にWEBやSNSを使うのが当たり前になっていますので、最低限インターネットやパソコンに関する知識を得ておく必要があります。
FPなら当たり前のように理解していると思いますが、生活費は、固定費から減らすことがおすすめです。固定費とは、家賃、通信費、保険料、食費など何もしなくても出ていくお金のことです。生活費に占める割合が大きい順に見直していくとよいでしょう。
自宅をオフィスとして、お客様の相談スペースを設ける場合は、限度があるかもしれませんが、別に事務所がある場合や、カフェなどで会う場合は、家賃の安いマンションに引っ越すのも一つの手です。また、スマホを格安スマホに変えたり、保険を見直したりしてみましょう。食費についても、外食費を減らして、スーパーでまとめ買いしてみましょう。
生活水準が下がると、最初は悲しくなるかもしれませんが、これも成功するための準備の一つです。起業で成功すれば、それに見合った生活水準に上げていけばいいのです。こうした逆境をプラス思考にできる人は、起業家の素質があるといえるでしょう。
逆に今の(贅沢な)生活を捨てられない、というタイプの人は「現状維持」が好きなので起業には向きません。ただ、そのまま安定した生活を終身送れればいいですが、今の世の中それほど甘くはありません。何も準備をしていないと、将来リストラなどに遭ったときに困ってしまうので、備えは忘れないようにしたいですね。
例えば僕は、現状の生活を変えたくない人には副業からFP業にチャレンジすることをお勧めしています。
副業とはいえビジネスが軌道に乗ってくれば、週末起業という形で活動を本格化させ、将来起業、開業する可能性も出てきますから侮れません。また現在の仕事をリストラされたような場合における「リスクヘッジ」にもなりますから、副業FPは現状維持派にはお勧めですね。
独立系FPの失敗事例である「時間切れ」をキーワードに、時間の有効的な使い方や経費・生活費の使い方などについてまとめてきました。もう一度、要点をまとめておきます。
起業・独立して成功するためには、周りにどんどん頼って、必要な経費はどんどん使っていくことが重要です。FP2級やAFP資格を持っていれば、最低限の知識は備えていると思いますし、開業資金と生活費半年分程度の蓄えができたら、起業に一点集中していってください。
あとは、専門性を身に付けるために自己投資したり、セミナーや交流会に参加したり、目の前のお客様に精一杯メリットのある提案をしたりして、徐々に知名度・信頼度を上げていけば、独立FPとして活躍することも夢ではありません。
がんばっていきましょう!
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