今回の記事では、ファイナンシャルプランナーの資格を活用して、独立・開業したいけど、収入面はどうなのか不安に思っているあなた向けに、FPの収入や稼ぐための方法についてまとめてみました。
なお、どんな職業でも同じですが、楽して稼ぐような話では決してありません。ファイナンシャルプランナーだから食えない、他の職業だったら食える、みたいな甘い考え方をしている人はこの記事を読んでも意味がありませんし、そもそもどんな職業についても稼げないと思います。
と、のっけから厳しめの事をいいましたが、まぁ、ちゃんとプロ意識で仕事している人にとっては当たり前の話なのでご安心ください。
目次
さて、ご存じだと思いますが、ファイナンシャルプランナーについて改めて説明します。
ファイナンシャルプランナーは、大きく企業系FPと独立系FPに分かれます。
企業系FPは、銀行、保険・証券会社、不動産業界など企業に所属するFPのことです。顧客サービスや営業などお客様と直接お話する中で、ライフプランの相談に乗ったり、保険・金融商品の提案や住宅ローンの相談に乗ったりします。
独立系FPは、独立・開業し、個人で活動するFPのことです。簡単に言えば、自分の事務所を構えている企業に属さないFPです。自分の事務所といっても、自宅で活動する人もいれば、自宅以外の飲食店やシェアオフィスなど様々な場所で活動している人もいます。
僕は、独立系FPとしての魅力は、主に3つあると思います。
一つ目は、お客様の“真の利益”を考えて、相談に乗ることができるところです。
企業系FPだと、どうしても営業やノルマがあるので、自社の商品に偏るなど、お客様の利益よりも自分の会社の利益を優先しがちになります。その反面、独立系FPは、そういった縛りが少ないため、様々な商品から、お客様のニーズにあった商品を紹介しやすいんですね。
何より、FPという看板を個人で背負っているため、お客様にメリットがある商品を紹介して、信頼関係を築いていく必要があります。そのため、お客様のお金に関する悩みを解決したい、お客様がよりよい人生を歩むための力になりたい思いが強い人に向いている職業ではないかなと個人的には思います。
二つ目は、自分の好きな時間に好きなだけ働けるというところ。
フリーランス全てに言えることでもありますが、朝昼晩、土日でも空いた時間に働けるので、自分に合った働き方ができます。バリバリ働いて稼ぐスタイルでも、育児や家事の合間に働くというスタイルでも、どちらでも実現可能です。
三つ目は、稼いだ分だけ、自分の収入になるというところです。
こちらは、独立系FPのメリットにもデメリットにもなりえます。
企業系FPの収入は、多少差はあっても、所属する会社から毎月安定した給料が支給されます。一方、独立系FPはフリーランスであるので、稼げば稼ぐほど自分の懐に入ってきます。何千万稼ぐ人もいます。ただし、自分の能力にも左右されますので、稼げない人は全く稼げません。独立系FPの収入はピンキリです。
このように、独立系FPは、自分にあったスタイルで、お金にまつわる悩みを解決して、お客様の力になりたい、やりがいを感じたいあなたにおすすめの職業です。
ただし、FPの独立・開業に魅力を感じているあなたも、本当に稼いでいけるのか?どれくらいの収入が見込めるのか?稼ぐにはどうしたらいいのか?分からなくて不安に思っていることだと思います。
そんなあなたのために、独立系FPの現状と稼いでいくための方法について紹介していこうと思います。
タイトルどおり、残念ながら、これが現実です。
FPの資格は比較的取りやすい資格であり、現在では全国に約18万人資格取得者がいます。この数字だけ見ても、“資格だけ”では、現実は厳しいことが分かるかもしれません。
もちろん資格に意味がないわけではなく、僕自身CFP®認定者ですが、大変実用的な資格だと思っています。でも資格が食わせてくれるわけではないというのも実感しています。資格をとったら仕事が上から降ってくる、そんな甘い考えを持っているなら、悪いことはいいません。やめたほうがいいです。
実際に、FPの資格者はどれくらいの年収なのでしょうか?
以下に企業系FP及び独立系FPの年収について、グラフにまとめてみました。
(『年収ラボ(平成26-27年度版)』や日本FP協会発表の『ファイナンシャルプランナー業務調査(平成23年)』のデータを参考にしています。)
年収についてはこちらの記事にも詳しく書きましたので、参考にしてください。
まず、企業系FPの年収についてですが、以下のとおりです。
グラフから見ても分かるとおり、サラリーマンの平均年収が415万円だということからすると、FPの属する業界は比較的年収が高い傾向があります。FPの資格保有者は、資格手当がもらえる場合もあります。また、大企業であるほど年収も高くなる傾向にあり、個人の年齢やキャリアにもよりますが、年収1000万円以上稼いでいる人もいます。
次に、独立系FPの年収についてですが、平均年収は305万円、中央値は50万円という調査結果となっています。サラリーマンの平均年収が415万円なので、年収としてはかなり低めであることがうかがえます。中央値が50万円であるので、稼いでいるFPと稼いでいないFPとでかなり年収に差が開いていると考えられます。
(ただし平成23年と、10年近く前の調査結果であることに注意)
さらに、グラフから、業務経験年数が10年未満までは中央値が変わらず、10年以上、15年以上と業務経験年数が長くなると年収が跳ね上がっていくことが分かります。
これには、2つの要因があると考えられます。
一つ目は、FPはお客様との信頼関係が大切な仕事であるため、それだけ信頼関係を築くのに時間がかかるということです。FPの仕事は人の人生設計に携わる仕事です。相談をする上で、お金に関する考え方や収入、貯蓄などプライベートな部分に踏み込むことも多いです。
そのため、何の看板もないFPに相談するのは勇気がいることであり、やはり評判と実績のあるFPに相談が集中しがちです。その良い評判を築くこと、信頼度を上げることにもある程度年数が必要です。
二つ目は、単に集客力の高いFPが生き残ったということです。副業程度に考えているなら別ですが、思ったほど売上が確保できずにリタイアするFPもたくさんいるだろう点には注意が必要です。
ただし、約8年前のデータであるので、現在と多少齟齬はあるかもしれません。高齢化社会が進んで、医療保険や年金への不安が高まっていることや、ネットで気軽にFPを検索できる時代になっていることから、FPのニーズは高まっています。そのため、平均年収も上がっている可能性はあります。ですが、平成23年当時のサラリーマンや業界の平均年収が現在とさほど変わりないことを勘案すると、傾向としてそこまで大きな変化はないように見受けられます。
独立系FPの平均収入や中央値を見てみると、FP資格のみではうまくいかなそうだということが分かったと思います。それでも、FPとして独立したい!FPとして食べていきたい!というあなたに解決策をお伝えしましょう。
解決策としては主に2つあります。
この2つについて、詳しく見ていきたいと思います。
お客様のお金に関する悩みを解決したい!相談に乗りたい!と思っても、まずはそのお客様に出会わないことには始まりません。
FPとして稼いでいくためには、第一に集客力を身に付けましょう。
集客力アップのためには、主に2つの方法があります。
Ⅰ.情報発信すること
Ⅱ.足で稼ぐこと
以上2つについて説明していきます。
チラシ配りがメインだった一昔前とは違って、近年ではSNSやブログなどインターネットが普及し、さらに多様化しています。
そのため、ネットをフル活用して集客するのがおすすめです。
ネットと一概に言っても、その活用手段はたくさんあります。
一番おすすめなのが、「メルマガをメインの申込み場所として位置づけ、SNSやブログ等は、メルマガ登録に誘導するための手段とする」ことです。僕はほぼこの方法だけで集客しています。
メルマガで、自分のサービス内容や活動場所、理念や思いなど伝えます。それらを読んで、相談の予約や申込みをしていただくために、メルマガに登録してもらうツールとしてSNSやブログを位置づけます。
ネット集客の活用方法として、役割別にまとめてみました。
認知 | ブログ、YouTube、Twitter、Facebook、Instagram、YouTube |
申込・成約 | メルマガ、LINE@ |
信頼構築 | メルマガ |
ある程度重複もしてますが、概ねこういった役割分担です。
まずは、FPとして活動していることを知ってもらうために、Twitter、Facebook、Instagram等で情報発信したり、ブログやYouTube配信したりして認知度をあげます。
SNSは共有ができるので、バズって(バズる:爆発的に共有されること)情報が広がっていく可能性を秘めています。さらに、そこから興味を持った人へ、メルマガやLINE@に登録するよう誘導し、定期的に情報を読んでくれる人を集めます。
ブログで普段の仕事内容や自分の考えを発信していくと、FPの人となりや相談のメリット等が分かるので、信頼度を上げることができます。ブログはSNSとは違い記事がストックされていくので、特に検索エンジンからの集客に強い媒体です。
もちろん、これらのツールを全て使う必要はありません。どのようなお客様を集めたいか、自分に合った方法は何か考えながら、様々な組み合わせで活用していってください。最低限必要で基本的なメディアはブログとメルマガです。これは必須メディアとして覚えておきましょう。
冒頭でもお伝えしたとおり、特にFPは長期的な信頼構築が収入に結びつきやすい職業です。であるならば、長期的な信頼構築に欠かせないメルマガはFPにとって外せないメディアだと言えるでしょう。実はこの点を認識できてないFPが多く、非常に大きな機会損失が発生してしまっているのが現状です…
例えば僕の事例で恐縮ですが、メルマガ(無料)を数年間購読していた読者から、「ようやくタイミングが来たので、ぜひ相談したい」といったご連絡を頂くことも珍しくありません。僕がメルマガをやってなければ、このような問い合わせは絶対来なかったでしょう。
昔ながらの、定期的に紙の小冊子を送るという手もなくはないですが、手間とコストがかかるため、メルマガの方がお勧めですね。
上記はネットを使った集客ですが、交流会やお茶会、マネーセミナーを開催して足で稼ぐタイプのFPも多いです。特に女性は対面の会話が好きという傾向があるので、交流会、お茶会を開催する女性FPが多い印象ですね。
交流会、お茶会で親しくなっておき、自分のやっていることや専門性をアピールして認知してもらうことで、後日の個別相談につなげるというのが一般的です。ただ、フラットなお茶会ではなかなか先生というポジションを確立しにくいため、できればマネーセミナー形式がいいでしょう。
マネーセミナーで有益な情報を提供しながら、最後に個別相談会へ誘導する形なら、参加者にも違和感がありません。
FPの資格を持っている人は、山ほどおり、その中で生き残っていくためには、”あなただから相談したい“という強みや専門性を作る必要があります。
「そんなの私には無理…」
と思うかもしれませんが、何を強みや専門性にしていくかは、人それぞれであり、その答えは自分自身の中にあります。例えば僕はFPとは全く関係ない業種から参入しましたが、それでも自分なりの強みを見つけ、こうやって独立FPとして現に食べているわけです。
今、あなたが少しでもFPに関連ある職業にお付きなら、強みを見つけられないはずがないと、僕なら思いますね。
あなたから買う理由を見つける方法は、
Ⅰ.ブレインダンプ
Ⅱ.今までの経歴から強みを活かす
Ⅲ.あなたにハマるターゲットを設定する
の3つあり、それぞれ紹介していこうと思います。
ブレインダンプとは、頭の中あるものをすべて出していく方法のことです。
ブレイン(brain)は脳、ダンプ(dump)は投げ捨てる、出力するなどの意味があります。
この方法は様々な場面で活用でき、独立系FPとして活躍する上での、自分の強みや専門性を見つけていくこともできます。
ブレインダンプの効果は主に3つあります。
①頭の中が整理できる。
脳にある考えをすべて書き出し、視覚化するので、情報を整理することができます。
②インプットしやすくなる。
すべて書き出すことによって、頭の中が空っぽになり、クリアな状態になるので、新しい情報を入れやすくなります。
③新しいアイデアやひらめきが生まれやすくなる。
頭の中を整理しておくことによって、情報をつなげやすくなるので、すでにある知識や外からの情報によって、アイデアや戦略がひらめきやすくなります。
次に、ブレインダンプの方法を説明します。
①ペンと紙、ストップウォッチを用意する。
②テーマを決める。
強みや専門性を見つけるのが目的であれば、自分の得意なことやこれまで人に褒められたこと、自分の興味があることなどをテーマにするとよいと思います。
③時間を決めて、手書きで次々と頭に浮かんだことを書き出していく。
1テーマ5~10分くらいで時間を設定します。
時間に余裕があると脳がさぼってしまうので、時間を決めてより脳を活性化させることが大切です。また、タイピングよりも手を動かした方が脳の働きに直結するので効果的です。
書き出していくことは、文章でなくても、単語や絵、図形や記号など頭に浮かんだものならなんでもOKです。
④脳がからっぽになるまで書き出す。
この作業をするとどっと脳が疲れると思いますが、知識が整理されてスッキリした感覚も味わえるでしょう。
このブレインダンプを行うことによって、自分の強みや専門性を見つけるきっかけになると思います。ぜひ試してみてください。
生命保険会社に勤めたことがある方であれば、生命保険に特化した相談業務を行ったり、主婦の方でも、幸せな生活を送るためのノウハウ(家計管理や健康管理など)を生かして、親しみやすさ、分かりやすさを売りに業務を行ったりすることもできると思います。
また、FPの資格のみで独立している人の中には、相談業務だけでなく、講演や研修の講師、書籍などの執筆、テレビ出演など様々な方面での業務をこなしている人もいます。文章を書くことが得意であったり、説明や話をしたりするのが好きであれば、ぜひこういった業務にも取り組んでみると、思いがけない収入源になるかもしれません。
一度自分の経歴や得意なことをブレインダンプで振り返って、どんな仕事ができるか、何を専門としていくか考えていくと良いと思います。
案外、自分の得意には自分自身では気づきにくいものです。ブレインダンプの結果を客観的に見つめて、あなたの得意を発見するようにしましょう。
FPの相談内容は、幅広く、年代によってもお金の悩みは様々です。
以下に年代別のお金の悩みについてまとめてみました。
年代 | 時期 | 悩み |
20代前半 | 自分自身のライフプランを確立する時期 | 貯蓄や運用の仕方、保険加入、ローンやクレジットについての知識がない |
20代後半~30代前半 | 家庭を持つ、スキルアップする時期 | 結婚資金、出産資金、教育資金などの準備方法 |
30代後半~40代前半 | 人生の中で最も支出の多い時期 | 教育資金、住宅資金、老後資金などの準備や、親の介護や相続等の検討 |
40代後半~50代前半 | 子供たちも自立する時期 | 教育費や住宅ローンの返済や見直し、老後資金や子供の結婚資金などの準備 |
50代後半~ | 仕事を退職する時期 | 医療保険や年金など公的な制度との付き合い方、退職後のプランニング |
このように、人生を歩んでいく中で、お金の悩みも変化していくものなので、どの層をターゲットにするか考えることも大切になってきます。一般的には、自分と年代が近い方が相談しやすいので、自然とターゲット層も同年代になることが多いようです。
企業系FPとも比較しながら、独立系FPの収入や稼ぎ方について説明してきました。要点をまとめると
独立系FPは、個人の能力や集客力、人脈などによって収入に差がある職業です。不安定ではありますが、その分、稼ぐことができたら、自分の自信ややりがいにも直結します。挑戦してみる価値のある職業ですので、上記に書いたことも踏まえながら、ぜひ行動に移してみてくださいね。
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