コロナでも変われない?生保業界の根深い問題とは

こんにちは。行列FPの林です。

コロナになってから対面営業に厳しい制約が課され、苦しい状況に追い込まれている生保業界。その生保業界で、保険募集人の採用活動をハローワーク前で活発化させ、警察騒ぎになったという記事を見ました。

その事自体は単なるイチ事案かもしれませんが、生保業界全体の根深い問題について考えさせられます。その根深い問題とは、結局は古くて新しい問題ですが

  • 根本的な利益相反
  • 高齢化が進む日本で生保が売れなくなっている現状
  • ただし個人は仕事を選べる

ということかと思います。少し見ていきましょう。

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目次

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生保業界の根深い問題とは

今回目にした記事はこちら。

生保職員「ハローワーク前で採用活動」の大波紋(東洋経済ONLINE)

詳細は記事をご覧頂くとして、記事を要約すると

  • ハローワーク前で生保職員が保険募集人の採用活動を活発化
  • 以前も同様の事があったが、コロナ禍で再燃した
  • あまりにひどいので求職者が警察へ通報し、出動騒ぎに発展した

ということのようです。モラルが低いとか、ひどいとかいう言葉で片付けるのは簡単ですが、以前にもあって再燃したという事実からも分かるように、その裏には何かしら構造的な理由が隠れていそうです。

それを理解しない限り良い方向へ改善できませんし、改善できなければ同じことを繰り返すでしょう。では一体、どんな理由や背景があるんでしょうか。

生保業界の高い平均離職率(約18%)

記事にも書かれていますが、今回発生した事案の理由の一つに、高い離職率が挙げられます。生保業界の平均離職率は年18%と非常に高く、1年で約5人に一人が辞めていく計算になります。言わずもがなですが、高い離職率の大きな理由の一つに、厳しい販売ノルマがあります。

あまりに販売ノルマが厳しいせいか、本来顧客の全面に立ち、顧客のことを一番に考えなければならない現場で「対面営業にこだわる」などどう見ても顧客本位とは思えない現場も存在するようです。コロナ禍での対面営業は、顧客にとっても迷惑に感じることでしょう。

現場がこのような混乱を生じる理由は、厳しいノルマをクリアするために敢えて対面を選択し、成約率をあげようとしているからかもしれません。あくまでも推測ですが、少なくとも命を守るために非対面が推奨される社会環境の中で、敢えて対面を選択するのは合理的とは言えません。なにか、やむを得ない事情があると推察せざるをえないわけです。

保険のニーズが減っているのが根本原因

ノルマが厳しいことが今回の事案の引き金として、なぜそれほど厳しいのでしょうか。それには「そもそも生保のニーズが減っている」という根本的な理由があります。もうくどくど説明するまでもないかもしれませんが

  • 少子化により、若年層の新しいニーズの掘り起こしが難しい
  • 高齢化により、死亡保障のニーズは減少。資産運用ニーズも多様化。
  • 業界規制の強化。バレンタインショック、ホワイトデーショックなどで、節税系の保険販売が困難に。
  • 個人のインターネットの活用により情報の非対称性(販売側の優位性)が低下している。特にコロナ後はこの傾向が加速している?

などなど、考えればいろいろ出てきます。

このようなニーズ減少は、社会や政府の動きであり、本来、保険会社や、まして一個人にはどうしようもできないことです。

にもかかわらず、売上キープ、もしくはさらに売上をあげようとするなら、当然現場に過酷なノルマを押し付けるという流れになります。少子高齢化が今始まったことではないのと同じく、過酷なノルマを課す流れは今に始まったことではありません。

それに加えてコロナによる売上減少ですから、ノルマはさらに厳しくなります。それに耐えきれない(本来、耐えるべきではない)現場の募集人は、当然離職します。

それが冒頭の「ハローワーク前で採用活動活発化」の根本原因ということですね。

保険募集人個人は今後どうすべきか

個人的に、保険は素晴らしい仕組みだと考えています。なので、保険をなくそうとは思っていませんし、それを販売、仲介する存在が社会に存在する事自体、全然おかしな話ではありません。

しかし上記のとおり、それが社会のニーズに対して「過剰」に存在するなら、やはり適性なレベルまで調整する必要はあるでしょう。望むと望まざるとに関わらず、この調整は続いていきます。これは社会の流れであり、どうしようもありません。

ですので、保険募集人は少しずつ保険から距離を置くのが得策だと考えています。募集をしてはいけない、という意味ではなく、それに100%依存する状態から少しずつ脱却していく道を模索してはどうでしょう。

例えば、僕のところにご相談にこられる募集人の方は、以下のような順序でキャリアアップしていくことが多いようです。

  • 1.最初は保険会社の会社員。1社の保険に100%依存。ただし1社のみの保険提案に限界を感じる。
  • 2.次に保険代理店の会社員へ転職。複数社の保険を扱う。保険提案の幅は広がるが、最終的には保険に誘導するインセンティブが強いため、本当に顧客本位の提案ができず、本人も顧客にも不満が残る。
  • 3.最後に独立起業。保険と一定の距離を置き、顧客本位のアドバイスが可能に。本来の自分の自信を取り戻し、顧客と最高の信頼関係を築くことができる。結果として、長期的な契約と売上の安定をもたらす。

最終的には独立系事務所のようで、結局、保険よりも「幅広い視点」で顧客にアドバイスできる点で優位に立っています

これはビジネスの観点からも必然といえます。なぜなら、顧客への価値の提供が売上につながるのがビジネスの根本原則だからです。

なにも保険提案に価値がないと言っているわけではありません。それは大切な選択肢の一つですが、逆にいえば選択肢の一つにすぎません。選択肢が保険提案一択しかないというのが問題なのであり、それに縛られることが逆に顧客の首を締めることもある(いわゆる利益相反)のはご存知の通りです。

ですので、保険提案縛りから自由になれる独立系という活動形態が顧客にとって最も理想の価値を提供できるというのは間違いないでしょう。

まとめ

長々と書きましたが、結論は

  • 保険販売は今後一層厳しくなる。コロナがそれを助長している。
  • FPとしてキャリアアップを考えよう。保険会社→保険代理店→独立という流れが鉄板。

です。少しずつでいいので、顧客に最高の価値を提供できるFPを目指していきましょう!

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