こんにちは。行列FPの林です。
FP協会員であれば誰でも活用できるデータに「FP実務の基本データ集」というのがあるのはご存知ですか。
このデータ、比較的使い勝手もよく、毎月コツコツ更新されていて鮮度も保たれているのでお勧めです。
使い方と活用法を簡単にご紹介しますね。
目次
FP協会の「FP実務の基本データ集」とはFP協会のMyページからダウンロード、利用出来るデータです。FP協会会員の責任で、利用可能となっていますね。
FP協会のMyページにログインし、メインメニューの「実務データ・各種調査」→「FP実務の基本データ集」をクリックすればデータにアクセスできます。
各データはPDFファイルに簡単な説明とグラフが掲載されているスタイルですが、こんな感じで、Excelファイルでも提供されています。
(FP実務の基本データ「主要国の家計貯蓄率の推移」(FP協会))
政府統計や白書など、公式データから作成されていますのでさすがに元データを加工する必要性は低いですが、それらを比較したり演算して別の形式にして表示させたりと応用の幅が広いデータなんですよね。
ただしちょっと残念なところもあって、せっかくExcelデータで提供されているのに、グラフが編集できないオブジェクトになっているようなんです。例えば上のグラフで日本だけを強調したい、というニーズはありますよね。でもこれが編集できないんです(涙)。
また、Excel内にグラフだけがぽつんと掲載されていて、元データのないExcelファイルもありました。いやいや、Excelって表計算ソフトなのに、元データが無いって…
まぁ、もちろん、グラフが提供されているだけでもありがたいわけではあるんですが、せっかくExcelで提供するとおっしゃるのであれば、その良さを最大限、活用してほしいと思う協会員は僕だけでしょうか…。手間暇がかかる話ではないでしょうし、むしろ今みたいにオブジェクトをロックするほうが手間なのでは?
もしかしたら編集されて表示が不正確になることを恐れているのかもしれませんが、そもそもこれらのデータは「協会員の責任で利用する」ということになっているので、FP協会自体がそこまで気にする必要もないのではと感じます。
FP協会は協会員の会費で活動しているわけですから、最大限、会員に還元してほしいなと思いますね。
このあたりはぜひ議題に取り上げてもらえるとありがたいです。
FP実務の基本データ集について、いくつか、簡単に活用例をご紹介します。以下のグラフは、いずれもFP実務の基本データ集からの抜粋です。
「金融資産運用設計」カテゴリの中に「主要国の家計貯蓄率」というグラフがありました。
このグラフを見ると日本は主要先進7カ国の中で2017年に下から3位。というか、最下位グループと考えて間違いないでしょう。
このグラフから、例えばこのような流れが考えられます。
ウチの事務所が実際にライフプランコンサルしている内容からみても、老後の準備ができそうな方のほうが少数派。
というようなことを裏付ける一つの資料として、使えそうですよね。
最近、老後資金が2,000万円不足するという金融庁の報告書が話題になりましたが、一般の方の意識が高まっているので、こういうデータにも関心が高いと思われます。
こちらは「一人平均年間総実労働時間の推移」のグラフです。
近年、働き方改革が叫ばれ、労働時間は減少傾向にあるのかな、というのが第一感としてあるのですが、確かに減ってはいますね。ただそれは、働き方改革が叫ばれる以前からの傾向のようです。(安倍内閣が働き方改革の言葉を使い始めたのは2017年頃のようです)
それに加えて、労働時間の減少が著しいのがパートタイム労働者。一般労働者が2012年比で2018年に1%しか減少していないのに対し、パートタイム労働者は7%も減少しています。
僕は労働関係に詳しくないのでこの要因は分かりませんが、仮説として企業がパートタイム労働者ではなく一般労働者(正社員)を増やしているからではないか、とも考えられます。
パートタイムに振る仕事は減って、一般労働者へ割り振っているとすれば、減少幅の違いの要因として話は通りそうです。
もちろんこれは仮説ですので、他のデータも合わせて検証しなければなりません。
それ以前に、あなたが言いたいところはそこでは無いかもしれませんけどね。
いずれにせよ、こうしたデータは「キャリアプランナー」や「キャリアコンサル」系のFPが使えそうなデータですよね。
もう一つ、こちらは不動産運用設計カテゴリ内の「空き家率の推移」グラフです。
5年おきの調査ですが、空き家数、空き家率共に毎回ヤバイぐらいにぐんぐん上昇していることが分かりますよね。このままいけば、空き家1万戸を突破するのも時間の問題といえそうです。
これも当然ながら少子高齢化が主たる要因です。ですので、空き家数や空き家率が減少に転ずることはすくなくとも直近では考えられないでしょう。
となれば、以下のような流れが考えられます。
データからどのような結論を導き出すかは、それこそFPの腕の見せ所ですので、上の話を押し付けるつもりはありません。あくまでも例としてとらえてください。
ただ、データはあくまでも事実としてそこにありますから、ご自身の考えを強化したり、顧客に納得してもらうための材料として上手に活用すればいいでしょう。
以上簡単ですが、FP実務の基本データとその活用法についてお伝えしました。
元データ自体は例えばこちらのようなサイトにもあります。
ただ、FP協会がデータを分かりやすいグラフにまでしてくれているので、協会員がそれを使わない手はないでしょう。いずれのデータもFPなら使えそうなものばかりです。AFPなら年会費12,000円、月1,000円でこのようなサービスを受けられると考えれば、悪くはないと思いますよ。
以上、せっかくあるデータですから、上手に活用してください!
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