こんにちは。行列FPの林です。
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、経済が大打撃を受けている中で、フリーランスや個人事業主、中小企業等が受けられる給付金制度(個人最大100万円・法人最大200万円、持続化補助金)が決まりました。
これ、フリーランス、個人事業主、中小企業等であれば絶対チェックしておくべき重要な制度になります。FPも、講演などが相次いでキャンセルとなり、収入が激減している方も多いようですので…。
詳細ついてはまだまだ随時決まっていく部分もありますが、執筆時点で分かっていることや押さえておくべきポイントをFPの視点からお伝えしていきます。
本記事はブログの特性をフル活用して随時更新していく予定です!
目次
持続化給付金とは、条件を満たすフリーランスや個人事業主(法人成りしていない開業者)に最大100万円、中小企業等の法人に最大200万円、用途を限定しない現金を給付する制度です。
経産省から持続化給付金の詳細説明パンフレットが公開されました。気になる部分を抜粋して掲載しますね。速報版ですが、概ね確定だと思われます。
詳しくは持続化給付金申請要領個人事業者等向け(速報版)経産省をご覧ください。
給付額の計算方法は以下の通り。
2019年の売上を基準にして、2020年中の売上が50%以上減少した月の売上から計算することを基本とする予定。
給付額=(前年の総売上(事業収入))-(前年同月比-50%月の売上×12か月)
給付上限額は、法人:200万円、個人事業者等:100万円
経済産業省2020/4/8ニュースリリースより引用
前年同月比で50%以下の売上となった月があれば、条件を満たします。あとは上記の計算式で給付額を計算し、上限までもらえる、という形の制度になるようです。
給付金額の具体的な計算例は動画のほうで解説していますので、ぜひ動画をご覧ください。
よくあるお問い合わせを経産省のパンフレット等からピックアップしました。
課税関係については僕も誤解していました。益金とのことで、最終利益なら課税対象となります。経産省のQ&Aには
税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されるものですが、損金(個人事業者の場合は必要経費)の方が多ければ、課税所得は生じず、結果的に課税対象となりません。
Q15持続化給付金は課税の対象となるのか(持続化給付金HP)より
とあって間違いやすいのですが、非課税収入ではありません。課税を避けたい場合は、経費として利用すればOKです。
生活支援臨時給付金(いわゆる30万円給付制度。関連記事)は、条件を満たす「全世帯」が対象であるのに対し、持続化給付金は条件を満たすフリーランス、個人事業主、中小企業が対象となっています。この時点で、かなり絞り込まれていますね。
また生活支援臨時給付金は条件を満たせば一律30万円給付なのに対し、持続化給付金は、その給付額が前年総売上から50%減の月の12ヶ月分を引いたものですから、年間の予想減収分が支給されるいわゆる「損失填補」(ただし個人100万円、法人200万円まで)となっているようです。
生活支援臨時給付金と持続化給付金は、条件を満たせば両方支給されますので、苦しい状況を乗り切るために、積極的に制度を活用しましょう!
生活支援臨時給付金は特別定額給付金へ変更となり、一人10万円の一律給付となりました。当然ながら、持続化給付金と併給できます!
各省庁から様々な支援策などが発表されていたり、団体等の情報発信も活発です。ここではフリーランス、個人事業主が参考になるリンクを掲載しておきますね。
イチ個人事業主として、今回の持続化給付金についてコラム的に僕の考えを記してみたいと思います。フリーランスや個人事業主、日本の将来に興味のない人は、読み飛ばしてください。笑
上記関連リンクの中にフリーランス協会の記事があって、その中でも書かれているのですが、今回の持続化給付金には非常に大きな意義があると僕も思っています。
というのも、フリーランスや個人事業主というのは個人で「生活」と「事業」の両方のリスクを負っているのですが、今回の持続化給付金では、この「個人が持つ事業リスク」にもきちんと光が当てられました。
これは画期的な前進です。
というのも、今までこの両方がきちんと補償されることがなかったからです(フリーランス協会の記事参照)。「個人」という理由だけで、とりあえず「生活」のリスクだけ補償すればいいよね、みたいな風潮が強かったものと個人的には感じています。
いやそれどころか、新型コロナウイルスの感染拡大初期の支援策では、サラリーマンの休業補償しか出てきませんでした。これはフリーランスや個人事業主の「生活」をも無視するもので、あまりにもひどい対応にSNS等で落胆の声や批判が噴出したわけです。
新型コロナウイルスが働き方に関わらず誰でも罹患する恐れがあること、そして職業選択や働き方の自由が認められている日本ですから、フリーランスや個人事業主も救済されるのが本来当たり前のはずなんですが、やはり日本はサラリーマンが多いということで、フリーランスや個人事業主はないがしろにされがちなんですよね。
そこで、使いにくい、額が少ないとの批判はあるものの、一定の要件を満たすフリーランスへの日額上限4,100円の小学校休業等対応支援金が始まりました。また批判を受けてか、生活支援臨時給付金では働き方に関わらず、条件を満たす全ての人が給付を受けられるようになりました。これらにより、働き方に関わらず生活を補償するという意味で、一歩前進しています。
さらに、本記事で説明した持続化給付金では「フリーランスや個人事業主を含む」事業者が一定の要件で現金を給付される可能性を切り開きました。これがなぜ画期的かというと、前述のとおり、フリーランスや個人事業主は情報発信力が弱く、そもそも個人の事業リスクが補償されるという発想なんて今までしてもらえなかったからです。
一般企業(法人)であれば使える補助金や助成金も、個人になると、とたんに使えない場合が多く、なぜか「忘れ去られた存在」になってしまっていたわけですね。
ここにちゃんと光が当たったというのは、大勢のフリーランスや、僕を含む個人事業主にとってはもちろん、将来の日本にとっても非常に画期的な前進だと僕は思っています。
すこし詳しくお話すると、フリーランスや個人事業主というのは、普段から税制面で不利な立場にあります。こんな話をすると、チャレンジャーが減る可能性があるので普段はしないのですが、まぁこんなご時世なので。
一番分かりやすいのが青色申告の特別控除65万円で、サラリーマンであれば「最低」65万円からなんですが、フリーランスや個人事業主は65万円が「上限」なんですよね。今年から多少改善されてサラリーマンは55万円から、フリーランスは電子申告を使えば65万円を維持できますが、その格差はまだまだ大きいと言わざるを得ない。
この所得控除の少なさに加え、フリーランスや個人事業主は個人事業税も払いますから、普段からサラリーマン以上に税金を払っています。生活面での税控除は最低レベル、かつ事業税も負担なので合わせた税負担はサラリーマンに比べて相当大きい(もっというとフリーランスや個人事業主は無限責任なので、さらに大変なのですが…今回は長くなりすぎるので省きます)。
例えば法人であれば法人税の対象となりますから、相応のメリットがあります。だから法人事業税などを納付するのも、納得ができます。しかし個人事業税を払っているからといって、フリーランスや個人事業主になにか特別なメリットがあるかというと…特には思いつかないんですよね…。
フリーランスや個人事業主だからこそ利用できる公共施設や公的サービスって、あるんでしょうか。通常の補助金があるとはいっても、あれは条件次第でもらえないこともあるのに、税金はもれなくかかる(苦笑)。サラリーマンの所得控除のように、常時メリットがあるのとでは雲泥の差です。
個人にここまで税を負担させるのは、担税力の面で見ても、また働き方の自由の観点から見ても、非常に大きな課題があるのでは?と感じています。税負担が高い以上、相応の公的メリットがないと日本国民として平等な扱いを受けているとは言えないのではないでしょうか。
というわけで、フリーランス、個人事業主は普段からサラリーマン以上に多くの税金を払って社会に貢献している(させられている?)わけですから、持続化給付金のような個人向けの政府事業補償は、考えてみれば(税金の理屈上は)当たり前なのかもしれません。
もちろん、今回この画期的な前進があったのは、僕も所属しているフリーランス協会はじめ、様々な組織、個々人のご尽力のおかげであり、今回の前進が当たり前だというつもりは毛頭ありません。
本来当たり前なのに、ないがしろにされていたことが、当たり前の状態にするのですら大変な苦労があるというのは重々承知しているので、関係者には本当に深く感謝いたします。
そして当たり前のことが当たり前にできるようになったら、ようやく私達個人が、自由に職業や働き方を選択し、新しいビジネスや将来にチャレンジできる「素地」ができてきます。
私達がよりよい未来に向けて大胆にチャレンジするためには、まずフリーランスや個人事業主を経由することになります。そこにきちんと光が当てられたのは、今後の日本にとっても非常に意義があることではないでしょうか。
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