こんにちは。行列FPの林です。
「世の中人手不足」なんて言葉を耳にすると「あ、70歳まで安泰なんだな」って短絡的に捉えてしまうかもしれませんが、それは完全な誤りです。
70歳定年法という名前から抱く印象と、その実態には大きな隔たりがあります。中身を知って準備を進める人と、のほほんと何もしない人の間では今後どうしようもない差が生まれてしまうでしょう。
この記事では
についてお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
ではまず、シニア成果主義が起こる背景を探ってみましょう。
今現在はコロナで経済が打撃を受けている面がありますが、長期的な視点で見ると今は「人手不足」と言われています。人手不足なら、今後増えていくシニアを活用すればそれで解決するんじゃないか!?と思われるかもしれませんがさにあらず。
こちらの図をご覧ください。
これは三菱総研がまとめた2030年までの「人材需給ギャップ」を示すグラフです。横軸に時間、縦軸に需給ギャップ(上が過剰、下が不足)を示しています。
このグラフを見ると今現在の2021年では過剰がなく、大きな不足に陥っています。今「人手不足」と言われていることが示されているわけですね。では次に2021年から右、つまり未来の需給ギャップを見てみましょう。
まず、2022年から過剰が増えていく傾向が読み取れますね。まず過剰になる人材は「事務職」です。これはAIの動向をウォッチしている人なら理解できると思いますが、巨大な事務手続きの塊である金融機関などで、事務作業のロボット化が進んでますよね。これにより、どんどん人手による事務作業が減っています。つまり、事務職人材が余っていくわけです。これが今後5年ぐらいかけて、加速していきます。
次に過剰に陥るのが「生産職」です。これは2028年頃から顕著になり始めると予想されていますね。基本的に景気がよくなって生産が増えると、生産職人材は不足します。ただ、技術の進歩が生産職を減らす効果があるので、2028年頃から相殺して生産職人材が過剰に陥る、とみているわけです。
では過剰になるぐらいだから不足は解消されるだろうと思いきやさにあらず。2021年から2030年まで、ずっと不足の傾向が続きます。しかしその内容がどんどん変わっていくんですね。2021年に最も不足しているのは生産職人材ですが、2030年ではもう生産職の不足はなくなり(過剰ですから当然です)、一方で大量の専門職人材が不足します。
この傾向は技術的に整合性が取れていて、AIや通信技術の発達により事務や生産現場が合理化、機会化することによりそれらの人材が過剰になる一方、そうした技術を開発、ビジネス化する人材の需要が高まるので不足する、というわけですね。
このように、単に「人手不足」というキーワードを鵜呑みにすると中身を見誤ります。無論、事務職や生産職の人が技術職に移れればこれが解消するわけですが、そう簡単ではないというのも事実です。
企業としては過剰な人材はやめてもらい、必要な人材は増やしたいと考えます。以上の動向から、成果主義により「技術人材へのシフト」圧力が強まる可能性があります。過剰な人材のままでは成果が出せませんから、必然的に必要な人材、つまり技術人材への圧力となるでしょう。
次に、シニア成果主義が進むもうひとつの背景の「長寿化と定年延長」について見てみます。
通称「70歳定年法」はご存知かもしれませんが、この70歳定年法では65歳以降の選択肢として以下の7つが示されています。
このうち、上3つはおなじみかと思います。60歳定年時に示される選択肢ですよね。特徴的なのはこん3つに加えて、下の4つが加えられたことです。特にマーカーで示した3つは大きな変化と言えるでしょう。要は「会社を出て働きましょう」と言ってるのです。どこが70歳定年か!?と思われるかもしれませんが、これが現実だと受け止めるしかないでしょう。
余裕のある会社であれば、上3つの選択肢を示し、継続的に雇用してもらえるかもしれません。それでも上でみた人材ギャップの問題は残るので、条件は厳しくなることが容易に予想できます。
また、会社によっては下3つの選択肢、つまり再就職やフリーランスや起業など、会社を出て働く選択肢を提示してくるかもしれません。65歳になっていきなり起業…と言われても途方にくれてしまうでしょう。
しかしこれをお読みのあなたはとてもラッキーです。将来の動向を理解することができれば、それに対処する方法を考え、行動すればいいからです。
ということで、解決策の提案に移ります。
このように今後シニアにも成果主義の大波が押し寄せる状況は確実かと思いますが、この荒波の時代を生き抜くにはどうすればいいのでしょうか。
確かに大変な時代だと思われるかもしれませんが、やる気と意欲にあふれるシニアにとってはチャンスでもあるんです。以下、僕の私見も含まれていますが、解決策を見ていきましょう。
単純な解決策として、人材ギャップが課題になっているとあるので、今、事務職や生産職であるなら、専門職になって会社に貢献し続けるという方法があります。
もちろん大変な道のりではあると思います。例えば僕がサラリーマンだったころ、一般職から専門職に移った方が居られましたが、大学で学び直すなど大変な苦労を重ねたようです。
一方、会社としてはそうした意欲の高い社員は手元に置いておきたいはずなので、努力に対して手厚い支援や理解が得られる可能性はあるでしょう。努力の結果、会社にとって必要な人材になれれば、70歳まで働き続けることも視野に入ってきます。
もう一つ、これは意識の話になるのですが、売上げアップを目指す経営者視点を持って欲しいということ。
ぶっちゃけた話、会社に十分売上やお金があるなら、多少人材がだぶついても維持する余裕が生まれます。であれば、売上をアップさせる人材になれれば、会社にとってもあなたにとっても都合がいい、ということです。
どうやったら顧客に望まれるのか、どうやったら顧客を増やすことができるのか。これは経営者が日々、一番頭を悩ませている課題なのです。こうした課題を意識し、行動し、実際に売上アップに貢献できるようになれば、それは会社にとっても必要な人材だと言えるでしょう。
さりとて、意識さえすればうまくいくというような甘い話ではないのも現実です。
例えば僕はサラリーマン時代が15年、独立して経営者視点を持ってもう7,8年になりますが、サラリーマン時代の視点と、独立後の視点ではやはりだいぶ違うというのが実感としてあります。
サラリーマン時代は、とにかく「職場で評価されるかどうか」が意識の大半を占めていました。特に入社して間もない頃は実績も評価も最低からスタートになりますので自分としては必死に評価を高めたいんですね。なので(研究職だったので特にかもしれませんが)会社の売上につながるかどうかというのはあまり意識できていませんでした。
一方で独立後はぶっちゃけ「売上をどう上げていくか?」が毎日のテーマになります。顧客を増やす方法や、顧客に価値を提供する方法を必死で考えて、仮説を立てて、実践する日々です。今でこそきちんと家族を養って投資もできるレベルの収入がありますが、独立当初は本当に毎日胃に穴があく思いで(実際に体重はかなり減りました。今は復活してますが。苦笑)必死に考えて行動してました。
これは独立したからこそ分かる経験ですが、幸いなことに、今は会社に勤めながら「経営者の体験」もできます。それが「副業」です。
副業なら、なにも僕みたいに胃に穴があく思いをする必要はありません。しかし副業で稼ぐためにはどうすればいいか?どうやって集客し、価値を提供するかを考える点では同じことです。
副業というとココナラやクラウドワークスのような「サイド」的な仕事をイメージするかもしれませんが、上記の理由から可能な限り「事業」をして欲しいですね。
事業をする、事業を起こすことを考えることこそが、経営者視点を磨く原動力になります。それがあなたの人生の選択肢の幅を広げ、結果として今いる会社への貢献度も高めます。それが副業でできるわけですから、こんな美味しい話もないですよね。
ぜひチャレンジすることをお勧めします。
今着々とシニア成果主義が進んでいますが、その背景として
そしてそれらの解決策として、
を提案しました。
どんな方法でも構いませんが、昨今の副業解禁の流れは大きなチャンスだと言えます。このチャンスを活かし、副業で事業を起こしながら経営者視点を磨けば、会社にも求められ、かつ、会社の外でも行きていける「最強の人生」を描けるようになるでしょう。
ぶっちゃけ、70歳などに拘る必要なんて全くなくて、会社の中だろうが外だろうが「社会に貢献し続ける」ことがお金の面でも精神の面でも最高によい影響をもたらします。
どの道だって茨(いばら)なわけですから、同じ時間を使うなら、ぜひ副業であなたなりのビジネスにチャレンジすることをお勧めします!
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