金融庁が独立アドバイザーを増やそうとしている?

こんにちは。行列FPの林です。

金融庁のワーキング・グループが、今後の日本において自助努力が必要であり、そのためになにをすべきかという指針を発表しました。

この中で、独立アドバイザー(FP)の必要性が強く指摘されていましたので、その意図を読み解いてみましょう。

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目次

金融庁ワーキング・グループが独立アドバイザー(FP)の必要性を強く指摘

先日、こちらのブログにこんな記事を書きました。

金融庁が正式に自助努力を求め始めた?自助努力時代にやるべきこととは。

この記事は

を元に、自助努力が求められる令和の時代にやるべきことや心構えを、僕なりの視点で記したものです。

ただ、この報告書は単に自助努力で資産形成していきましょうという内容だけでなく、FPとして無視できない内容もはらんでいました。

この観点から、個々人に的確なアドバイスができるアドバイザーの存在が重要である。

現状では、その役割は主として本人に一番身近な金融機関などが担うことが想定されるが、業態ごとの商品・サービスが多様化しているため、単一の業態の金融サービス提供者が全ての商品・サービスを俯瞰したアドバイスを行うことには難しい面がある。

このため、特に強く求められるのは顧客の最善の利益を追求する立場に立って、顧客のライフステージに応じ、マネープランの策定などの総合的なアドバイスを提供できるアドバイザーである。

米国では証券会社などの金融サービス提供者から独立して、顧客に総合的にアドバイスをする者が多数おり、日本でもこれに類似する者は存在するものの、まだまだ認知度は低く、数は少ない。

今後は認知度向上に努めるとともに、そのサービスの質的な向上に努めることが望まれる。

(同報告書p33より抜粋)

という部分です。

重要なポイントですので、少し詳しく見ていきます。

顧客の最善の利益を追求するFPとは

上記抜粋の中に「特に強く求められるのは顧客の最善の利益を追求する立場に立って…」という下りがあります。

顧客の最善の利益を追求するとは、ざっくり言えば顧客本位、いわゆる昨今流行りのフィデューシャリーデューティ(FD)のことを指しているのかもしれません。ただ僕の印象としてFDは主として金融機関を、今までの慣習から新しい顧客本位に導くための指針だと思います。

もっといえば、上記抜粋部分の冒頭には「その役割は主として本人に一番身近な金融機関な
どが担うことが想定されるが…」とあるので、この「顧客の最善の利益を追求するアドバイザー」は、金融機関から独立していることを前提にしているはずです。

その証拠に、引用部後半では「米国では証券会社などの金融サービス提供者から独立して…」という下りがありますので、金融機関に依存しないことを意図していることは間違いないでしょう。

文中ではアドバイザーという表記になっていますが、こうした金融知識をベースとしたアドバイス業務を担う中心はFPになるはずです。

したがって、実質的には「金融機関に属さない独立系FP」のことを指しているのだろうと推測します。

結論付けると、金融庁は「金融機関に属さない独立系FP」の登場をこの報告書で強く要望しているわけですね。

独立系FPに、今後何が起こっていくのか

現在独立系FPであったり、今後独立系FPを目指す人にとって、これは追い風の一つになるでしょう。ただし追い風を受けるのは金融庁が言うところの「金融機関から独立して」という条件を満たすFPです。

この条件がどこまでを指すのか、今の所判然としませんが、IFAや保険募集をしている独立系FP事務所を含むのかどうか、今後注意深くウォッチしていく必要があります。

これは僕の個人的な推測ですが、IFAや保険募集をしている独立系FP事務所も残しずつ、完全独立のFP事務所を育てていくような施策を打ってくるのではないか?と思います。

金融庁ですから、経産省みたいに具体的に補助金を付けたりまではしないでしょうけど、「認知度向上に課題がある」との認識があるので、「金融知識に不安があれば、金融機関から独立したFP事務所に相談に行きましょう」ぐらいのキャンペーンを今後打ってくる可能性は考えられます。

そうなると(相談)市場が広がっていきますから、FPの活躍の場が広がり、前途洋々ということになりますね。

ま、それほどうまくいくかどうかはまだ分かりませんが、独立相談の流れが奔流になりつつあるのは確かなようです。

独立アドバイザーが求められる時代に、FPが今やるべきこと

将来の方向性分析はこれぐらいにしておいて、じゃぁ今、我々FPがやるべきこととは一体何でしょうか。

相談業務を経験しておく

相談業務が増えるわけですから、事前に相談業務を経験しておくことは役に立ちます。

この相談業務は証券や保険を仲介、販売する「セールス」とは異なる業務です。一見、FPと顧客が会話をしているだけなので同じようなスキルと思われるかもしれませんが、目的(ゴール)が全く異なるからです。

セールスのゴールは「商品の契約を得ること」です。

一方相談業務のゴールは「顧客の悩みを解決すること」です。

商品の契約は、顧客にとって悩みを解決する手段の一つに過ぎません。本来、顧客の悩みを解決するための手段は様々あるはずですから、相談業務はセールスと異なり、より高い視点に立って顧客本位でアドバイスする必要があります。

そのため、優秀なセールスパーソンが、優秀なアドバイザーであるとは限りません。その理由は既に述べたとおり、アドバイザーの方がより多くの知見やより高い視点を求められるからですね。

となれば、やはり早めに相談業務を経験しておけば有利になります。

もちろん、アドバイザーも顧客の悩みを解決するために必要と判断すれば、商品の契約をアドバイスすることはあるでしょう。しかしそれはあくまでも悩みを解決する選択肢の一つであるので、商品契約が目的になってしまっては本末転倒です。

金融庁が金融機関からの独立性を求めるのは、そういう「利益相反」を除くためですね。

自己集客の準備をしておく

もう一つ準備をしておくべきなのが「自己集客」です。

アドバイザーが金融機関から独立しているということは、集客も金融機関には依存できないということです。

「いやいや。保険募集人は自分で集客してるので、それはそれで大変だよ」

とおっしゃるかもしれません。確かにそのとおりだと思います。

ちなみに僕は、金融機関に所属しているFPがラクだと言っているのではないのです。金融機関に属しながらの集客と、自己集客では方法や経路が違うということなのです。

例えば、金融機関に所属しながらの集客は確かに大変ではあっても、それなりにツールや環境、ノウハウは整っているはずです。それをベースに、あなたが頑張るということですよね。

一方、自己集客の環境やノウハウは、ほぼゼロといっても過言ではありません。

ゼロはさすがにいいすぎかもしれませんが、例えば集客に役立つ環境といえば「CFP検索システム」が挙げられます。

このシステム、非常に素晴らしいとは思うのですが、いかんせん、アクセス数が極めて少ない。CFPになれば、集客の悩みは解決!ぐらいの規模があればいいのですが、さすがに現段階でそれは望めないのです。

ですから自分自身で情報発信しながら、顧客を開拓していくスキルとモチベーションが必須になるでしょう。

自己集客とは、スキルの問題もありますが、覚悟の問題でもあるといえるでしょう。

独立アドバイザー・独立FPの時代まとめ

金融庁の報告書から見えてくるのは、今後独立アドバイザー、独立FPが強く求められていくということです。

独立というぐらいですから、独立に必要なノウハウ、スキル、高い意識が求められていきます。

当たり前ですが、環境が変化していく時代に、生き残れるのは「適応できた人」だけです。

あなたが絶滅するFPになってしまわないよう、今から準備を始めることをお勧めします。

こちらの記事も参考にしてください。

令和時代に飛躍するFPと絶滅するFP

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