執筆で稼ぐFPが貧乏な理由とその裏付けデータ

こんにちは。行列FPの林です。

先月の日経新聞にこちらの記事が掲載されていました。

フリーランス、社会保障受けやすく 先進国で権利保護(日本経済新聞)

フリーランスの社会保障が今後進むという内容ですが、そこには様々な興味深い事実が内包されています。

例えば記事執筆で収入を得ているFPも多いと思いますが、実はそれでは年収が伸びない可能性が高いのです。

そのことについて、いくつかのデータで考察してみます。

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目次

フリーランス・自営業者は自己責任?

7月12日の日経新聞にこちらの記事が掲載されていました。

フリーランス、社会保障受けやすく 先進国で権利保護(日本経済新聞)

フリーランスの権利として、社会保障を受けやすくしていく流れだ、という内容です。

恐らくこの記事を読んで、自営業者は自己責任なんだから社会保障は不要、という考え方が頭によぎるかもしれませんね。

それは一理あるように見えますが、これが成り立つためには「希望する全ての人が会社員(正社員)になれる」という前提がなければなりません。

そうでなければ、本来誰でもアクセスできるはずの社会保障基盤に、努力してもアクセスできない人が存在することになってしまいます。実際今、非正規雇用問題でそうなっていて、それが格差を拡大する一因となっています。

では「希望する全ての人が会社員(正社員)になれる」が今後の社会で実現できるかというと、それは厳しいと言わざるを得ないでしょう。

いくつかの理由があって、主には

  • 長寿化による現役(仕事をする)期間の長期化。20歳から60歳の40年間だったが、今後70歳、人によっては80歳まで伸びていくだろう。そんなに長い期間を一つの仕事で満たすことが難しい。
  • 変化のスピードがますます速くなり、組織やスキルの流動化が増大する。フリーランスのような自由な契約形態のほうが個人にとっても企業にとっても合理的になっていく。例えば「プロジェクト」形式で人材を募集して終わったら解散するような働き方が典型的。
などがあります。

これらの変化は今後の大きな潮流であって、不可逆的な変化だといえるでしょう。となると、一社専属や業務内容が固定といった昭和的会社員は減っていき、フリーランス的な働き方を企業を含め社会全体が後押ししていくことになります。

ここで議論の本題に戻りましょう。

フリーランス、自営業者は自己責任かどうかというお題ですが、上記の議論から分かるようにそれはだんだん成り立たなくなってきている現状が理解できるはずです。

自己責任と言って思考停止するのはある意味自由ですが、実際にはそんな簡単な問題ではないんですよね。

だからこそ冒頭の記事のように「フリーランスに対する社会保障の拡大」が世界的に進んでいるといえます。

フリーランス・自営業主の実態

ではそうしたフリーランス・自営業者がどれぐらいいるのか、実態をみていきましょう。

フリーランサー・自営業主数の推計

自営業主の数
日米における自営業主数の計測(労働政策研究・研修機構)より

自営業者は1,134万人もいると推計されているんですね。

日本の労働力人口が6,720万人ですから、その約17%が自営業主だとこの推計は示しています。約6人に一人とは、結構多い印象ではないでしょうか。

上記の考察から、フリーランス、自営業者の人口はさらに増えていくでしょう。

フリーランス、自営業者の年収は?

さらに別の調査報告書の中で、興味深いデータが示されていました。

独立自営業者の年収

独立自営業者の年収
独立自営業者の就業実態 第2章(労働政策研究・研修機構)より

クラウドワーカーの年収

クラウドワーカーの年収
独立自営業者の就業実態 第6章(労働政策研究・研修機構)より

この2つのグラフを見比べてみると、独立自営業者に比べてクラウドワーカーは圧倒的に年収(総報酬)が少ないことが分かります。

報告書の中でも、「クラウドワーカーは一般の自営業者に比べて総報酬額が少ない」と指摘してますので、間違いありません。

クラウドワーカーの年収が低い原因は?

この年収(総報酬)の少なさの原因はいろいろ考えられますが、根本的な原因に「クラウドワーカーは容易に比較可能」だということが挙げられます。

例えばクラウド上で仕事を募集すれば、簡単に「応募者」が見つかります。見積もりも容易なので、より安く、よりよい提案をしてくれた応募者に仕事が集中する傾向があります。

となると、労働単価は極限まで下げられることになるでしょう。これは発注者にとっては好都合ですが、受注者(クラウドワーカー)にとっては悪夢です。そのことが、上記の統計に反映されていると推測します。

もちろん、クラウドが悪いわけではなく、仕事を手軽に受注できるという面でクラウドプラットフォームにも大きな価値があります。一方で集客をプラットフォームに依存することでライバルとの競争が激化し、強気の価格提示ができず、収入が下がってしまう傾向があるというわけです。

競争原理だからいいのでは?と思うかもしれませんが、それが過当競争になっているなら、問題です。例えば本来もらうべき額をもらわず、売り込み目的で極端に安い単価で請け負うこともしばしばあるでしょう。それはそれで営業戦略としてはありえますが、その目的のない人から見ればはた迷惑ともいえますね。

プラットフォーム上では比較容易ですので、このような行き過ぎた競争になりがちです。結果、全体の収入を押し下げる要因の一つになっているといえます。

さて、先の図では、オンラインプラットフォームやオフラインプラットフォームに依存するいわゆるクラウドワーカーの人数が535万人いるとされています。

一方で自分で顧客を獲得する自営業者が約603万人。 プラットフォームで集客する人と自分で顧客を獲得(自己集客)する人がおよそ半数ずついるということになります。

上記のデータの通り、プラットフォームに依存すると収入が少なくなる傾向がありますので、もしフリーランス、自営業で食べていきたいということであれば、プラットフォームとの付き合い方を見直し、自己集客する方向を目指したほうが賢明でしょう。

僕が「WEBライターで稼ぐのは初心者の間だけにしましょう」と言っているのは、このようなデータでも裏付けされたわけですね。

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プラットフォームに依存せず、「自分で顧客を獲得できる」、つまり自己集客ができる力が身につけば、自らの意思で収入をアップさせていくことが可能になります。

【結論】執筆で稼ぐFPが貧乏な理由とは

クラウドワーカー、自営業者の社会保障が拡充されてきている流れから、それぞれの現状を分析してみました。

まとめとして

  • 長期的な潮流から、今後クラウドワーカー・自営業者が増えていく可能性が高く、社会保障制度も拡充されつつある
  • 一方で自己集客できる自営業者に比べ、クラウドワーカーの年収は低い
  • 自己集客できる力が、自営業者の年収をアップさせる
と言えるでしょう。

いくら社会保障制度が拡充されたとしても、仕事のスキルや集客の努力が不要になるわけではありません。

フリーで活動しているFPも多いですが、原稿料だけで稼ごうとしていませんか?先の統計で見たとおり、それではなかなか年収アップは難しいのです。

記事を書くこと自体はすばらしいですが、問題は原稿料が多い少ないではなく、記事があなたの集客に役立っているかどうかです。

原稿料に目がいってしまうのは、クラウドワーカーやアルバイト的な発想であり、それは本来自営業者が持つべき経営者視点において根本的な問題をはらんでいます。つまり、原稿料で稼ぎたいという思考が、原稿料で稼いだ金額以上にあなたの価値を毀損しているのです。

それでは、年収が上がるはずがありませんね。もちろん、今の年収で満足しているということであれば、問題ないのですが。

むしろ、原稿料が高騰している現在、問題は深刻化していると言えるでしょう。本来、あなたが原稿料と引き換えに渡した記事は、その原稿料以上に稼いでくれる可能性が高いわけです。だからこそ相手は買うわけですよね。損するならだれも買いません。

原稿料で月何万円も稼いでいるなら、その何倍もの金額を、損している可能性があるのです。

言い方を変えれば、目の前のお金に目がくらみ、将来の価値を放棄しているようなものでしょう。

これこそが、原稿料で稼ぐFPが貧乏な理由です。原稿料が高いか低いか、原稿料でいくら稼いでいようが、関係ありません。そもそもの考え方がまずいのです。

フリーランス、自営業者の年収を決める要因として集客力があるのは間違いありません。結局のところ、集客に役立つかどうかが、今後、あなたの年収を決めていくでしょう。

自己集客力は年収アップの源ですから、今まで通り、コツコツ集客を磨いていきましょうね。

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