こんにちは。行列のできるFP事務所プロデューサーの林です。
今回は、脱サラ独立・起業を検討しているけど、脱サラして失敗したくないと思っている人向けに、どういう職業を選べば失敗が少ないかについて、まとめてみました。
目次
起業にはリスクが付きものです。必ず成功するとは限りません。古いデータにはなりますが、中小企業白書によると、1年後の生存率は約60%、5年後は約25%、10年後は約10%と、長く続けられるのは、ほんの一握りだということが分かります。
中小企業白書2006のデータより著者作成
(2019年12月8日アクセス)
起業して個人事業主になると、会社員時代と比べて、自分の裁量で好きな仕事・時間を選択できたり、やりがいや夢・目標があったり、生き生きと働ける可能性がある一方、理想を追求しすぎて破綻するリスクもあります。
もちろん、起業は一生に一回しかできないものではありません。今成功している起業家は、失敗しても何度もチャレンジして、「最終的に」成功している可能性があります。ですので、上記のデータを鵜呑みにして、「起業しても10年後は10分の1になる…」なんて過度に心配する必要はないでしょう。上記のデータは「一発で成功する」確率だと思えばOKです。
実は、起業を成功させるには、成功しやすい職業・失敗しやすい職業や、成功するための準備方法があります。今回の記事では、それらをご紹介しようと思います。
まず、失敗しやすい職業には2つの特徴があります。
⑴開業資金が多額
⑵ノウハウ、スキルがない
順を追って説明していきます。
まず⑴開業資金が多額な場合についてです。
開業資金については、業種や規模によって異なります。自宅開業でできる場合は、比較的少額で済みますが、事務所や店舗を設ける場合は、機材の設備投資や材料の仕入れ、従業員の給料などがかかってきますので、1000万円以上かかることもあるようです。
日本政策金融公庫による「2019年度新規開業実態調査」では、平均1055万円、中央値600万円という結果でした。開業費用の割合は、以下のとおりです。
日本政策金融公庫「2019年度新規開業実態調査」より著者作成
(2019年12月8日アクセス)
1991年度の調査開始以来、「平均値1055万円」は最も少ない額であり、「500万円未満の割合40.1%」は最も高い割合となったようです。その背景には、開業費用にお金をかけない時代の流れや、ウェブ活用などお金をかけなくてもできる起業方法の発達などがあるかもしれません。それにしても、平均約1000万円というのは、やはり起業には結構お金がかかるということが分かります。
業種別の開業資金の目安としては、以下のとおりです。
飲食店 | ラーメン店、居酒屋等 | 100~3000万円 |
小売業 | コンビニエンスストア、古本・CD・DVD販売等 | 200~5000万円 |
医院 | 内科、歯科、耳鼻科等 | 1000万円~2億円 |
士業等 | 税理士、弁護士、FP等 | 50万円~500万円 |
飲食店や小売業は、店舗の規模や材料の仕入れによって、資金額が変わってきます。医院の場合は、治療に使う機材の購入が必要なので、高額になります。士業等の場合、自宅開業できる場合もあるので、比較的少額で始められます。
このように、開業資金は、業種によっても、業種の中でも、かなり幅広いということがうかがえます。
開業資金の準備方法としては、自己資金を充てる方法、銀行や公的な金融機関(日本政策金融公庫、信用保証協会など)から借入する方法や、身内からお金を借りる方法があります。公的機関から借りる場合は、起業時でも低金利で高額な融資を受けることができます。
しかし、高額な融資を受けることができても、開業資金も高額であれば、手元に残るお金は少なくなってしまいます。この「余裕資金がない」というのが、起業の失敗のもとになります。事業を始めたら、知名度が上がり、集客できるようになるまで時間がかかる場合がほとんどです。しばらくは赤字覚悟しなければならないですし、自分の生活費も考えなければなりません。
最初から開業資金に多大な投資をしてしまうと、事業がうまくいかなかった場合の赤字補填や生活費でさえ賄うことができなくなります。その結果、業績不振として、銀行や公的機関からも融資を受けられず、高金利のカードキャッシングや消費者金融に手を出すも、返済できなくなり破綻というケースも大いにあります。
余裕資金があればあるほど、事業に融通が利くため、開業資金は可能な限り抑えた方がうまくいきます。反対に、開業資金が高額だと、運転資金がなくなり、失敗しやすくなります。
⑵ノウハウ、スキルがない
起業をする際、全く未経験の業種や、ノウハウ・スキルが身についていない状態で行うと失敗しやすいです。特に、会社員時代と異なり、個人事業主となると、お客様を集めることから始めなければなりません。身に付けるべきスキルとしては、集客力や営業力は必須でしょう。また、ある程度その業界に精通していないと、他社と競合して勝ち残っていけません。
ノウハウ・スキルがないと仕事ができないので、失敗しやすくなります。
一方、成功しやすい職業には3つの特徴があります。
⑴開業資金が少ない
⑵ノウハウ、スキルが生かせる
⑶副業から始めることができる
⑴開業資金が少ない
上記でも述べた通り、開業資金が少ない方が、リスクが減るため、成功しやすくなります。現在では、インターネットのみで集客できる方法もあるため、自宅開業できる職業の方が成功しやすいです。自宅開業の場合だと、事務所や店舗の設備投資額をかなり抑えることができます。
自宅開業、もしくは自宅兼店舗として開業できる職業の例は、次のとおりです。
IT関連 | ウェブライター、ウェブデザイン、プログラミング、アフィリエイト、ネットオークションなど |
サービス業 | 自宅兼店舗として、飲食店(カフェや軽食)、美容院、雑貨店、エステ・ネイルサロンなど |
教室運営 | 学習塾、パン・料理教室など |
コンサルティング | 税理士、司法書士、FPなど |
IT関連は、パソコンとインターネット環境が整っていれば、始めることができます。サービス業に関しては、場合によっては、自宅を一部改装する必要があるため、多少まとまった資金が必要になるかもしれません。教室経営も同様です。空き部屋があれば、家具等そろえるだけなど、工夫次第で出費を抑えることができます。コンサルティングに関しては、お客様の自宅や近くのカフェ・ファミリーレストランなどで相談に乗るということもできます。
事業が軌道に乗れば、事務所や店舗を構えるということもできるので、なるべく自宅開業し、開業資金を節約した方が成功に繋がります。
⑵ノウハウ、スキルが生かせる
自分の得意分野・専門分野があれば、そのノウハウ・スキルが生かせる職種の方が成功しやすいです。例えば、ウェブライターになるなら、不動産や保険など専門知識がある方が単価は高くなりますし、FPとして独立するなら、銀行や保険業界などで働いた経験が生きてくるでしょう。
専門知識でなくでも、集客スキルや営業経験など起業に必要なノウハウ・スキルを身に付けていれば、役立てることができます。ウェブで集客できる方法(HP、ブログ、メルマガなど)もありますので、自宅開業から始めるなら、ウェブに関する知識があるとよりよいでしょう。また、サラリーマン時代に、営業経験がある方は、商品を売り込んだり、お客様を紹介してもらったりといった場面で役立つはずです。
⑶副業から始めることができる
副業から始められる仕事として、中間マージンで稼ぐことができる仕事が挙げられます。
中間マージンとは、仲介手数料や紹介手数料のことです。中間マージンで稼ぐには、商品の在庫や資金も0から始められるので、リスクはほぼありません。隙間時間から始めることができるので、おススメです。具体的には、以下のようなものがあります。
⑴ネット転売 | お店やサイトから安く購入した商品を、他のサイトで売り、差額を利益とする方法 |
⑵アフィリエイト | HPやブログ記事に広告を掲載し、お客様がその広告をクリックして商品やサービスを購入すれば、成果報酬が収入として得られる方法 |
⑶仲介業 | 直接店舗と契約して、サイト上で商品やサービスを紹介し、お客様が実際に購入したら、店舗から報酬が得られる方法 |
副業として始めることで、スキルやノウハウ、経験を積むことができるので、起業後も流れに乗りやすく、成功しやすいといえます。
脱サラを成功させるには、入念に事業・資金計画を立て、着々と準備を進めていくことが必要です。起業というと、「挑戦」や「博打」、「勝負」といったイメージがあるかもしれませんが、成功させるには、一歩一歩確実に階段を上がっていく必要があります。もちろん、チャンスがあれば、しっかり挑戦できる度胸や売れる商品・サービスを見極める力なども必要だと思います。
⑴サラリーマン時代から貪欲に学ぶ、スキルを磨く
会社員時代でも、学べることは沢山あります。起業に関係ない職種だとしても、効率よく業務を終わらせるよう工夫したり、職場やお客様とのコミュニケーション力を上げたりすることもできます。
その他に、毎日数十分でもいいので、起業準備を行いましょう。期間が空いてしまうと、モチベーションが下がったり、目標から遠のいてしまったような感じがして、むやみに焦ったり、挫折したりしがちになります。少しの時間でもいいので、起業準備の時間を取ると、少しずつでも前進しているという感覚を得ることができ、自分の自信につながります。
起業準備としては、自己分析して自分の強み(セールスポイント)を見つけ出したり、お客様(ターゲット)を絞り込んだり、集客力について学んだり、資金計画を入念に立てたりなどが挙げられます。挑戦しようとしている分野での起業家との交流会や情報交換会などがあれば、参加してみるのもよいでしょう。
⑵資格も役に立つ。士業や、FPも独立を目指せる
資格も、起業に役立てることができます。もちろん、資格がなくても独立できる職業もありますが、資格があるのとないのでは、ある方がお客様からの信頼も得やすいですし、自分の知識向上にも繋がります。
また、司法書士や税理士などの難関資格は、合格率が低い分、資格取得後の競争率は低くなりますので、目指してみるのも良いと思います。FPについても、FP2級やAFP以上あれば、十分起業に役立ちますし、さらに上を目指すなら、FP1級やCFPの資格を取得しましょう。上位資格取得者の方が、講師業や執筆業の単価が高く、年収も多くなるというデータもあります。
⑶可能なら副業から始めよう
可能であれば、会社員時代から、副業として始めることがおススメです。自分はこの分野で本当に稼いでいけるのかどうか試すこともできますし、スキル・ノウハウの構築にも役立てることができます。
IT関連の起業を考えている方なら、パソコン1台でできるので、特に副業はやりやすいと思います。ウェブデザイン等であれば、実際に自分のHPを作ってみるのも良いと思います。
飲食店や小売店業であれば、アルバイトや派遣などから始めたり、フランチャイズを副業として始めたりという方法もあります。フランチャイズとは、本部からお店の名前や確立されたサービス・商品を使用する権利をもらい、その対価を本部に支払うという仕組みです。仕入れや販売、集客、商品開発などすでに構築されたノウハウ・スキルを学ぶことができます。店舗経営の経験を積むことができるので、おすすめです。
士業やFPなどであれば、執筆業から始めてみたり、家族や友人など身近な人を対象にコンサルティングを行ってみたりするのもよいでしょう。ウェブ上で、専門知識を教えたり、お金の相談に乗ったりして報酬を得ることができるサービスもありますので活用してみましょう。
今回は、脱サラを考えている方向けに、成功・失敗しやすい職業や、成功させるための方法などについてまとめました。起業は、成功すれば、自分のやりがいに直結する部分もある一方、失敗のリスクや、時には睡眠時間を削ってまで頑張らないと乗り越えられないこともあるかもしれません。しかし、事前に入念に準備することで、最悪の事態を避けることができると思いますし、低リスクで始める方法もたくさんあります。
ぜひ、自分に合った方法で、無理なく、起業準備を進めていってください。
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