FP1級(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)と、CFP®認定者(以下CFP)の違いは一体何でしょうか。
僕はCFP認定者でFP1級は取得していませんが、違いについて分かる範囲でまとめてみました。
FP1級の様々なテキスト・過去問についても比較しています。(CFPのテキスト・過去問については別記事で)
目次
まずはFP1級とCFPの受験資格、取得ルートの違いを整理しておきます。
FP1級、CFP取得までの流れはこちらの記事に詳しくまとめています。
資格取得ルートを整理すると、CFPを目指す場合は
FP1級は国家資格の最上位、CFPは民間資格の最上位(国際資格)ですが、取得にはいずれも実務経験が必要という特徴があります。
FP1級とCFP試験の難易度はなかなか比較しづらいかもしれません。
というのも、FP1級学科試験とCFP試験を両方とも受験した経験をお持ちの方は非常に稀だからです。
両方取得するなら、現実問題としてCFPを先に取得して、FP1級学科免除を受けますので…。
僕は先にCFP認定を取得してしまったので1級学科試験は免除されています。さすがに、難易度判定だけに1級学科試験を受ける気はないので(笑)、以下、制度面から検討してみますね。
1級学科合格者、もしくはCFP試験合格者が実技試験を受ける事が多く、実技試験の合格率は80%から90%以上になります。
そのため、実技試験といってもちょっとした腕試しという位置づけなのです。
CFPの視点からいうと、CFP試験は1級の学科と実技をミックスした感じで、6分野のトータル出題数は1級より多い。
対してFP1級は6分野を学科と実技に分類しており、試験方針としては2級に似ている。ただし6分野を1日で一気に回答しないといけないので、集中力的にツライ。(苦笑)
といったところでしょうか。
個人的な結論として、FP1級とCFPの難易度は同等か、CFPの方が上の可能性もある、となりますかね。
ま、あくまでも個人的な感想です。
FP1級とCFPの比較の前に、FP2級とAFPのコスト比較を見てみます。
FP2級 | AFP | |||
---|---|---|---|---|
資格取得 | 学科受験料 | 4,200 | AFP認定研修(※1) | 8,600 |
実技受験料(※1) | 4,500 | |||
合計 | 8,700 | (FP2級と合わせて) | 17,300 | |
年間維持費 | 年会費 | 12,000 | ||
継続教育単位(※2) | 2,250 | |||
合計 | 14,250 |
※1 FPK研修センターの「AFP特修フルWEBコース」の料金
※2 FPジャーナルの継続教育テストを年2.5回インターネット経由で回答した場合
AFPはCFPと異なり、FP2級にAFP認定研修を追加することで、AFP認定が可能になる仕組みです。したがって、AFPはCFP受験料にこのAFP認定研修料を追加すればOK。
ちなみにFP3級の受験料は6,000円となっていますので、FP3級から受験する場合はこれに6,000円を追加しておきましょう。
年間維持費も継続教育単位を加えてもまぁまぁリーズナブルですかね。ですが、FP2級よりAFPのほうが受験料も維持コストもかかるという構造になっていることが分かります。この構造は、FP1級とCFPでも実は変わりません。
では本命のFP1級とCFP資格の取得コストと維持コストを比較してみましょう。
FP1級 | CFP | |||
---|---|---|---|---|
資格取得 | 学科受験料 | 8,900 | 1科目受験料x6 | 32,400 |
実技受験料(※1) | 20,000 | |||
合計 | 28,900 | 32,400 | ||
年間維持費 | 年会費 | 20,000 | ||
継続教育単位(※2) | 4,500 | |||
合計 | 24,500 |
※1 日本FP協会実施の実技試験
※2 FPジャーナルの継続教育テストを年5回インターネット経由で回答した場合
こうして比較してみると、受験料に関してFP1級もCFPも大きな違いはありません。
ただし実際の受験に際しては最低限、テキストや過去問等の購入費は必須でしょう。また試験対策教材や通学コースなどもありますから、どれを選択するかによってこのあたりの費用は大きくばらつくことになります。
恐らくですが、テキスト・過去問の独学だけなら1万円前後。教材なら10万円弱、通学なら10万円から20万円ぐらいまでの範囲でしょうか。これぐらいの費用が受験料に追加となります。
もちろん試験会場までの交通費なども含めるなら、さらに費用は膨らみます。
こんな感じで資格取得までは似たような感じですが、FP1級、CFPで最も異なるのが年間維持費です。
FP1級は取得後、なにもしなくてもずっと資格を維持できます。つまり、維持コストゼロ。
対してCFPはFP協会に年会費を払う他、継続教育単位も必要となるため、継続教育テスト費用等がかかります。
合わせて最低でも年間25,000円程度必要となるため、CFPを取得する際はこの年間維持費を払う以上のメリットがあるかどうかをシビアに検討したほうがよろしいでしょう。
FP1級は取得したら終わりにできますが、CFPは維持費がかかるので趣味で取るような資格では無いことは確かです。
FP1級テキスト・過去問とCFPテキストを比較することで、両者の違いをみてみましょう。
FP1級の最大の難関が学科試験で、CFP試験も1級の学科試験と同様の位置づけです。
まずはそれぞれの出題範囲を比較してみます。
1級 試験科目及びその範囲(日本FP協会)によれば、FP1級の金融資産運用は
一方、CFP試験の出題範囲はFP学習ガイド(日本FP協会)に準拠しています。これによれば
具体的に見ていきましょう。
まず1級の範囲にある7.保険商品というのがCFPにはありません。
詳しく調べると、保険料の仕組みや余剰金、配当金、契約手続き、保険料払込、メリットとリスク、ということでしたので、これはCFPの「リスクマネジメント」に出てくる範囲ですね。
逆にCFP側の9.転換社債は1級では見当たりませんが、これは5.株式投資の中にコッソリ含まれています。
あとは概ね、くくり方が違うだけでほぼ同様ということが分かりました。
ということで、金融を見ただけですが、出題範囲は1級とCFPでほぼ同じ印象です。
1級の出題範囲はこちらのテキストで調べました。
きんざいが出版してて「公式テキスト」の呼び声も高いですが、あくまでも「学科試験の頻出テーマを確実に押さえる」というコンセプトですので、分量は少なく、よく言えば厳選されています。
例えばCFPの公式教科書と比較してみましょう。
左が1級特訓テキスト、右がCFP「金融」の公式テキストです。
厚みは特訓テキストの方が倍ありますが、右CFP公式テキストは1分野だけなので、単純計算でこれの6倍あります。
紙の厚さが違うので、ページ数で見ると特訓テキストが554ページ、CFP金融公式テキストが356ページ(いずれも目次込)ですから、ページ数で言えば特訓テキストが1.6倍ぐらい。
まぁざっくり倍だとしても、CFPの6分野分と比較すると、分量としては3分の1程度という計算になります。
さすがに3分の1に厳選されてしまうと、ちょっと物足りないかもしれませんね。
よく、1級学科「基本編」の出題傾向が分からないというネット上の声もあるようですが、恐らくそれは厳選されたテーマしか追っかけてないので、それ以外がフォロー出来ていないということでしょう。
ちなみに1級にも公式テキストがあって、こちら。
CFPの公式テキストと同様の位置づけで、6分冊となっています。
ただ、分量にしてはちょっと高価(定価4,320円)なので、出題範囲が同様なのであればCFP公式テキスト(定価1,944円)の方がいいかもしれません。
こういうテキストも、必要に応じて有効活用していけばいいのではないでしょうか。
効率よく合格を目指すということであれば、割り切って厳選された「特訓テキスト」だけで学習を進めてもいいかも。
1級は受験したことないので自己責任でお願いします。笑
CFPのテキストについては、こちらの記事に詳しく解説しています。
CFP同様、1級も過去問攻略が重要かと思いますが、人気のある過去問集はこちらの2冊。
左がきんざいの1級学科精選問題集(4,500円+税)、右がTACの1級学科過去問題集(3,200円+税)です。
両者の厚みはこんな感じ。同じく左がきんざい、右がTAC。
見た感じ似てますが、きんざいが基礎編255問、応用編25問、TACが基礎編301問、応用編31問とややTAC問題集の方がボリュームで上回っています。
またTACの問題集にはポイント解説がついているので、短時間で要点を確認するのに役立つでしょう。きんざい問題集にもポイントページはありますが、かなり少ないです。
TACは問題と解答が別(次)ページになっているので、問題に集中しやすいです。きんざいは問題と解答が同一ページにあるので、ちょっと工夫しないとどうしても解答にチラチラ目が行って集中できないかもしれません。
一方、きんざい問題集には3回分の過去問コピーがついているので、模試に使えます。
きんざいにはさらに、デジタルドリル(powered by ノウン)の利用権利が付属しているので、デジタルデバイスでの利用もしたいということであれば、こちらの方がいいかもしれません。
どちらもメリット・デメリットありますが、もし僕が選ぶとしたらTACに軍配があがります。
やっぱり、問題と解答は別ページがいいです…。
ちなみに1級学科試験問題は公開されていますが、模範解答が公開されてないのでなんとも微妙なところ。
結局きんざいの模試3回分も魅力的なので、結局両方必要かもしれません。
商売上手いな。笑
もう1冊、1級学科の過去問集をご紹介しておきます。
問題数は基礎編113問、応用編75問の計188問と、きんざい、TACの300問前後と比べて3分の2程度ですが、値段も手頃で、2回目の受験対策や、きんざい・TAC過去問のプラスアルファとしてお勧めです。
きんざい、TACの定番問題集2冊が強いですので、さすがに成美堂出版の過去問は一工夫されています。
左ページに問題、右ページに解答はTACの構成(右ページ問題、左ページ解答)と似ていますが、問題と解答を見開きで確認できるので成美堂出版の方が便利です。
また、問題を解いている間、解答を赤シートで隠すことが出来るので、解答が気になって問題に集中できなくなるといったこともありません。
きんざい、TACの弱点を赤シートで見事に解決してきましたね。^^
ただ、僕は赤シートはちょっと苦手で…だって背景が緑色になったりするじゃないですか。笑
その場合は、普通に厚紙等で解答を隠せば問題ありません。
以上、FP1級学科過去問の調査結果でした。
テキスト同様、「CFP」の過去問についてはこちらの記事で詳しく解説しています。CFPを目指す人はこちらも参考にしてください。
↓
学科試験の体験記事がありました。
参考にしてください。
FP1級の実技試験は、CFP試験には無い1級オリジナル試験です。
(CFP試験は学科と実技を両方含んでいる感じ)
合格率も80%から90%以上と言われていますので、FP1級の学科試験合格者やCFP試験合格者であれば、難なくクリアできるでしょう。
ということで、簡単にレビューしていきます。
もちろん、楽勝とはいえ全く勉強せずに合格することはさすがに無理かと思いますから、こちらの過去問ぐらいは徹底的に解いておくことをお勧めします。
実際に僕も中身を見て、2級実技と見比べてみましたが、ちまたで言われているような2級・AFPレベルというわけではないです。
例えば不動産の建築基準を問う問題では、2級実技であれば1面道路ですが、1級実技では2面道路や土地が2つの地域にまたがる場合などが過去に出題されています。
あー、確かにこれは試験に出たな、という感じで、1級、CFPレベルだと思います。
1級学科合格者、CFP試験合格者レベルであれば難なく解ける問題ですが、2級、AFPがなんの準備もなく受験してもさすがに合格は難しいでしょう。
そういう意味では、1級実技は、1級・CFPレベルかどうかを確認する試験という位置づけかと思います。
FP1級(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)とCFPとの違いをまとめてみました。
FP1級、CFPを目指す人は、ぜひ資格取得の参考にしてください。
CFP試験対策はこちらの記事に詳しいですので、こちらもぜひご覧ください。
↓
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